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ANDPAD HOUSE プロジェクト(3/3回)-ANDPAD HOUSEとはなんだったのか?-

こんにちは、ANDPAD ZEROの今井です。
今回はトータル3回のANDPAD HOUSE企画の締めくくりとなります。

ANDPAD HOUSEは2020年末から企画し、翌21年から1年かけて設計・施工を実施、22年今年の1月に引き渡しをされました。そういう意味でも、この記事を22年内に納めることで、来年以降のアクションにこれからは目を向けていきたいと思っています。

さて、第1回、第2回の記事はこれまで発表されてきた内容のダイジェストでしたが、今回は少し趣向を変えて「で、ANDPAD HOUSE プロジェクトとはなんだったの?」という問いに答える形で進めていきます。

そもそもなぜ始まったのか?

まず大前提として、ANDPAD HOUSEは全てのコストを自社で賄っており、スタートアップにはそれなりの負担があります。収益不動産を目的としたものではなく、純粋なR&D(研究開発)という位置付けとなります。

その始まりは弊社代表 稲田の一言でした。
「今井さん、家つくってみようよ。」
そんな感じでスタートです。

いざ企画を考えていくと、稲田がこれまで考えてきた想いや発想も含めてヴィジョンが広がっていきました。アンドパッドが家をつくるならば、テクノロジーの粋を極めたものでなくてはなりません。結果、1-2ヶ月かけてプロジェクトのゴールや価値を決めていきました。

やりたかったことはできたか?

やりたかったことは、「10年先の家づくり」でした。

この知見の提供先はアンドパッドの顧客である住宅業界の方々に。また、当時から増え始めていたゼネコンのお客様にも価値を提供できるよう、分離発注形式を採択し、スケール以外は参照できるような構成を考えました。なので、「10年後の建物づくり」が実は裏テーマでもありました。

上記を達成するため、
①設計ー製造ー施工をフルBIMで実現する
②設計定例から現場まで最大限リモートでプロジェクトを進める
③先行する実証実験は最大限やりきる 
をミッションとしていました。

UGVによる遠隔検査(協力:センシンロボティクス様)

実際にプロジェクトを進め、概ね結果を得ることができました。
また、上記とANDPADの連動性も当然確認し、5年後・10年後にANDPADにどんな機能があると良いのか?の知見を得ることもできました。例えば、「遠隔臨場をする際に、オフィス側から現場スタッフの位置・向きを捕捉できないと、画像を共有していても効果的にワークしない」などは、やってみないと分からない発見でした。

予想外のことはあったか?

ANDPAD HOUSEのプロジェクトを始めた時に、全く想定していなかったことがあります。
それは、国土交通省が実施する「令和3年度 BIM を活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」への採択でした。そもそもプロジェクト開始時は"申請する"という選択肢が頭になく、GR(Goverment Relation)責任者でもある岡本に「こんなのありますよ、出してみます?」と教えてもらい、申請書類を作成していきました。

ちなみに、申請書と報告書は、卒業論文のような文章量で、このワークが最も予想外だったかもしれません。申請書の作成時は岡本に、報告書の作成時はANDAPAD ZEROのメンバーである曽根勝にもサポートしてもらい、何とか乗り切ることができました。

モデル事業採択時の概要資料

個人的には、アンドパッドのようなIT企業が日建設計さん、竹中工務店さん、大和ハウスさん、スターツさんなど業界最大手のリーディング企業と並んで発表されたことはとても感動的な出来事でした。

その頃から、アンドパッドは建設業界に価値を提供するVertical SaaSだから、Construction Techにもっとしっかり向き合って事業やプロダクトを開発していきたい、という思いが強くなった気がします。その結果なのか、ZEROのメンバーは全員業界出身者となっていきました。

結局、ANDPAD HOUSEとはなんだったのか?

21年、22年を振り返ると、大きく3つの広がりがありました。

1つは、メディアへの掲載。
21年1月から22年1月にかけて、実に40回以上もWEB、紙面問わずメディアに取り上げていただくことができました。やはり、スタートアップが家を先端技術でつくるというユニークネスと実際に新しいことをしていたことに興味を持っていただけたのだと思います。対外的にアンドパッドという企業がIT企業に留まらない動きをできることを示せたのは大きな価値でした。

2つめは、業界との更なるつながり。
多分ですが、ANDPAD HOUSEをきっかけに建築情報学会や建築学会などのイベントに呼んでいただき、登壇させていただくことができました。この際に出会った方々との繋がりは、その後のアンドパッドのカンファレンスや先端知見の共有など、ネットワークは大きく広がっています。

3つめは、上記2つの派生でもありますが、新たなプロジェクトです。
「アンドパッドなら新しいことを一緒に取り組んでもらえそう。」と大なり小なり業界のプレーヤーの方々に受け止めていただけたことで、いくつかのプロジェクトが生まれました。例えばプレスリリースも出している、東邦ガス様との3Dスキャナーを用いた取り組み。その他にも、まだお伝えできませんが、本取り組みをきっかけにいくつもプロジェクトが動いています。

ANDPAD HOUSE 2.0へ

先述したように、既にいくつか新たなプロジェクトが動いています。おかげさまで、自社R&DではなくPoC(実証実験)として各社からフィーをいただきプロジェクトを進めつつ、新規の事業やプロダクトへ繋げていくような持続可能な取り組みとなってきています。

お披露目会の様子

ANDPAD HOUSEが無かったら、上記のような取り組みができていたか? 
可能性はゼロではありませんが、顧客やパートナーがZEROへ依頼する納得感は少し低かったかもしれません。事実は常に線形に繋がっているわけではないですが、前後のプロジェクトの類似性を勘案すると、それなりの太い線で繋がっていると捉えるのが妥当だと考えます。

したがって、「ANDPAD HOUSEとはなんだったのか?」と問われれば、「第2、第3のANDPAD HOUSE的な先端的なプロジェクトを始める呼び水となった」というのが私の答えです。
また引き続き、ANDPAD HOUSEに続くプロジェクトをお伝えできること、楽しみにしております。

それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!


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