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Revit用アドオンパッケージ「BooT.one」についてまとめてみた

こんにちは。ANDPAD ZEROの埜林です。
前回書かせていただいた記事「【BIM担当者必見!】BIMをより便利に使えるアドオンツールをまとめてみた」にて、BIMのアドオンツールを5本ほど紹介しました。

今回は、様々なアドオンツールとその特徴について解説をした前回記事の続編として、その中から「BooT.one」というアドオンツールを取り上げてさらに深掘りしていこうと思います。


「BooT.one」とは

前回記事の復習になりますが、「BooT.one」をおさらいしておきたいと思います。
「BooT.one」は、建設コンサルティングや建設向けITソリューションを提供する応用技術株式会社が2019年に提供開始したアドオンです。
Revitを簡単に扱うためのアドオンとして、ファミリやテンプレート、ガイドライン、トレーニング&サポート、エクステンションといった機能が供えられており、Revitをこれから始める方に向けたベースがそろっています。

「BooT.one」は、基本的には建物の設計段階のモデリングをサポートするために作られていたアドオンですが、現在では、仮設足場といった施工にフォーカスしたエクステンションも追加され、建物の施工計画の段階などにも利用できるツールになっています。
「BooT.one」のHPはこちら。(noteのKVは、こちらのHPの素敵な写真を拝借いたしました。)

「BooT.one」の使用感

実際に、私のチームでも日々Revitを活用するなかでBooT.oneを活用しています。

Revit単体で利用すると、モデリングや作図途中で足りない線種を増やしたり、ファミリを探したり、作成したりと作図の手を止めていることも多かった中、BooT.oneを利用することで、設定やファミリなどが整備されて手を止めることが少なくなり、スムーズな作業ができるようになっています。凡例などは手を加える必要があっても、サンプルやガイドラインを参考にできるので、作業しやすい環境を整えることができています。
また、のちほど紹介するエクステンションというコマンドの追加機能については、使用以前は「コマンドが多くなってしまいかえって大変そう…」と思ったこともあったのですが、実際に使い始めてみると、モデリングや図面化を助けてくれるコマンドがそろっているおかげで、負担感よりもメリットを多く感じています。特に、寸法のコマンドは、壁寸法を入れる時のクリック数を激減させることが可能になっており、私自身特に多く使っているコマンドだったりします。

「BooT.one」の構成要素

ここからは、「BooT.one」の構成要素について解説していきたいと思います。
「BooT.one」には、
・エクステンション
・テンプレート
・ファミリ
・ガイドライン
・トレーニング
といった機能を備え、そのほかにもリクエスト機能などユーザーからの声を届けることができる形式をとっていることも特徴です。それぞれどういった機能なのか、どのように活用できるのかについて、一つずつ見ていきたいと思います。

エクステンション

エクステンションは、Revitをより使いやすくするための拡張コマンドのことです。
エクステンションとしてのコマンドが400個以上用意されており、建築・構造・設備・施工など各分野に必要なコマンドをユーザーの要望を取り入れながら開発されています。エクステンションを取り入れることで、モデリングする際の操作回数やクリック数を減らしたり、標準にはない操作ができるため、設計から施工の方等に幅広く活用されているように感じています。
エクステンションは、「BooT.one」をインストールすると、画面上部にある “B.”から始まるタブに追加されます。エクステンションの機能が多い分、タブの数が増えてしまうことにネガティブな印象を持たれる方もいらっしゃると思います。この点については解決用のコマンドもが用意されていますので、次回の記事にでも記事の後半でご紹介できればと思いますします。

エクステンションコマンドを活用した画面イメージ

テンプレート

テンプレートでは、プロジェクトに必要な情報やタグの連動性、線種や塗潰しパターンなどプロジェクトを始めるうえで必要な要素や設定を取りそろえたベースとなるものです。Revitで新規プロジェクトを立ち上げる時に選択するもので拡張子は「.rte」となっております。
整備されたテンプレートを利用することで、プロジェクト開始時に各種設定が不要になり、すぐにプロジェクトをはじめられたり、図面出力やCAD出力時に整合性を持たせたりすることが可能です。
「BooT.one」では1000個を超える設定がされています。Revitをよく操作されている方でもここまで細かい設定を行える方は少ないのではないでしょうか?

ファミリ

ファミリとは、構造や建物モデルに使用する部材や、図面のタグや記号などのRevitプロジェクトを構成する要素の総称のことです。「BooT.one」では3000個以上のファミリが取り揃えられており、モデリングする際にファミリを作成したり探す時間を減らすことができます。Revitの標準ソフトにもファミリが取り揃えられていますが、数が少なく利用できるものはわずかであり、これを補うために「Boot.one」が用いられているといえます。

BooT.oneで提供されているファミリ例(構造柱、衛生器具)

ガイドライン

ガイドラインは、「BooT.one」のコンテンツサーバー内に公開されている解説書のようなものです。「BooT.one」を利用した際の図面のサンプルとガイドラインが公開されています。ガイドラインには図面に対してコメントが書かれており、図面の運用方法や設定についての解説が付属しています。Revitの操作マニュアルは書籍などで販売されていますが、モデルと連動して図面化するガイドラインをオンラインで公開している点は特にユーザーに優しい設計だと感じています。

コンテンツサーバー内のガイドライン

トレーニング

トレーニングは、その名のとおり、初心者ユーザーに向けた機能練習・チュートリアルです。ガイドライン同様「BooT.one」のコンテンツサーバー内で公開されています。モデリングに必要な内容が公開されており、実際の操作を行っている動画も併せてみることができます。ガイドラインは実務向けであることに対して、トレーニングではRevitの操作を練習できるので、ユーザーの立場や熟練度によって使い分け可能です。

コンテンツサーバー内トレーニングページ

リクエスト

BIMに関するツールでは、ヘルプデスクやFAQがあるのは一般的ですが、リクエスト機能があるのが「BooT.one」の特長です。
リクエストは掲示板形式になっており、自身のリクエストを投稿できるほか、利用者のリクエストも見ることができます。リクエストに対して、既存コマンドで対応できるものであれば解決済みの表記がされていたり、リクエストに対しての実装予定や実装済みの状況も確認できます。検索機能もあるので、自分が投稿しようとしていた内容がすでにないのか、確認することもできます。リクエストページを見ていると、リクエスト毎に実装済みや実装決定の文字が多く、ユーザーと向き合って開発につなげている企業努力も窺えます。

リクエストについて、「実装済み」「実装決定」「未解決」といった情報も随時更新

おわりに

ここまで、BooT.oneの概要、使用感、構成要素についてご紹介しました。

実際の図面にあった標準設定が可能なテンプレート機能、豊富で情報粒度の揃ったファミリ、感覚的にBooT.oneを理解しやすいガイドライン・トレーニング機能など、Revitをさらに使いやすくするBooT.oneのメリットについて感じていただけたかと思います。

実は、エクステンションの機能について、さらに細かくご紹介しようと思ったところでしたが、少し文量が多くなってしまいそうだったので、次回に持ち越したいと思います。
ぜひより多くのみなさんにBooT.oneをより理解いただける手助けとなれば幸いです。

お読みいただきありがとうございました!

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