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3Dスキャンはどこまで撮れる?狭い部屋や暗い部屋で検証してみた

こんにちは。ANDPADZEROの平塚です。
前回執筆した「「ANDPAD 3Dスキャン」で、スマホ3Dスキャンのうまい撮り方を検証してみた」は読んでいただけましたでしょうか?現在私はインフラ業界以外の幅広いお客様と3Dスキャン活用について会話をさせていただいているのですが、その中で「狭いところって撮りづらいよね?」、「暗いと撮れないよね?」など疑問を頂いていたので、実際に「どのくらいまでいけるか?」検証してみました。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!


検証の目的と背景

商談を様々なセクターで実施する中、屋内系の活用を想定されているお客様から、『狭い空間ではどう映るのか?』『暗い場所でスキャンするとどんなふうに見えるのか?』『雨が降っていても撮れるのか?』といったご質問をいただくことが増えてきました。

実際のスキャン結果は、環境や対象物の条件によって見え方が変わるため、場所や照明の違いでどのように影響が出るのかが気になるところかと思っております。
特に、最近では、改修工事の現地調査をはじめとした薄暗いシーンでの利用についても、関心が高まっています。たとえば、電気が通っていなかったり、照明器具が未設置の状態での調査が必要なケースです。

こうした背景のもと、狭い部屋や暗い部屋といった特殊な環境条件をケースとして、どのようなスキャン結果・見え方になるのか実際に検証するとともに、撮影のポイントをまとめてみました。現場における3Dスキャン活用のご参考となれば幸いです。

検証内容一覧及び使用機器

今回実施する検証一覧及び使用した機器は以下のとおりです。

  • 検証内容

    • 狭い空間での検証

      • トイレ個室の撮影

      • 自販機スペースの撮影

      • 4人用会議室の撮影

    • 暗い空間での検証

      • 調光できる部屋の撮影

      • 夕方(15分刻み)の撮影

    • 雨天時での検証

      • 雨天時の屋外での撮影

  • 使用した機器

    • iPad 15 Pro(手持ち)

狭い空間での3Dスキャン結果と撮影のコツ

狭い部屋や限られた空間ではスキャン結果がどのように見えるか、さまざまなタイプの空間で検証しました。

【トイレ個室】

まずは、狭い空間の代表例として、トイレの個室で検証しました。
いわゆる洋式トイレのドアを締めた状態で、空間全体及びトイレ(便器)本体もスキャンすることを試みました。

結果
トイレ個室におけるスキャン結果は、実際の写真と比較して問題なく空間を取得することが可能でした。
検証においては、限られた空間で一筆書きの動線を確保することが難しく、対象物に近づきすぎてエラーが生じやすかったです。
何度か動線を試行錯誤して、床・壁・天井という動線で撮影したところ、綺麗なデータを取得することができました。

結果を踏まえた撮影のコツ
トイレのような狭い個室でスキャンする場合、限られた空間で一筆書きの動線を確保するのが難しい上、対象物に近づきすぎてしまうことでエラーが生じやすくなります。
撮影前に可能な限り動線をイメージし、一筆書きでの動線を保ちながら、対象物から1.5m程度の距離を取ることで綺麗にスキャンすることができます。

【自販機スペース】

次に、自販機が置かれているような少し広めの空間でスキャンを行ってみました。この空間では対象物との距離を確保しやすく、トイレより広い動線が確保できる環境です。

結果
対象物との距離が保てたため、全体的に安定したスキャン結果が得られました。トイレと比べてエラーの発生も少なく、空間の輪郭や対象物のディテールも明瞭に取得することができました。

結果を踏まえた撮影のコツ
スペースがある場合でも、対象物から1.5m程度の距離を保つことで、安定したスキャンが可能です。一筆書きの動線をイメージしながら、広い動線を確保することで、綺麗にスキャンすることができます。
端末を適度なペースで動かすことで、対象物の詳細がより正確に反映されやすくなります。

【4人用会議室】

さらに広い4人用の会議室でスキャンを行い、全体の空間と隅の部分もスキャンすることを試みました。

結果
広い会議室では、対象物との距離を取りながらスムーズにスキャンでき、エラーがほとんど発生しませんでした。隅の部分では若干の歪みが見られることもありましたが、綺麗にスキャンすることができました。

結果を踏まえた撮影のコツ
会議室のような広めの空間では、動線を自由に設定できるため、対象物から適度な距離を保ちつつスムーズにスキャンができます。
端末を一定速度で動かし、一筆書きのように進めると、隅の部分も正確に取得しやすくなります。


暗さによる3Dスキャン結果と撮影のコツ

暗い場所や光量の違いが3Dスキャンに与える影響を検証しました。

【調光できる部屋での撮影】

まず、照明の明るさを調整できる部屋でスキャンを行い、100ルクス、50ルクス、10ルクスの明るさでの違いを確認しました。

結果
100ルクスでは問題なくスキャンができましたが、50ルクス以下になるとスキャンデータに欠損が発生しやすく、エラーも頻発しました。特に10ルクスではエラーが多く、隅や細部がぼやけてしまいました。

結果を踏まえた撮影のコツ
暗い部屋では50ルクス以上の明るさがあると、隅やディテールも明瞭に取得しやすくなります。
光量が低い環境では、端末の動きをゆっくりとさせることで、綺麗にスキャンしやすくなります。

【夕方に15分刻みで外の暗さを記録】

次に、日没にかけて自然光が徐々に弱まっていく環境でのスキャンを試みました。30分おきに暗くなっていく様子を記録し、光量の変化によるスキャン結果の違いを確認しました。2024年11月15日(金曜日・東京都)の日没時刻16:34を基準に、30分ごとに撮影を行いました。

結果
都内の外環境は明るさが十分なため、日没を過ぎて撮影を行っても安定してスキャンすることが可能でした

結果を踏まえた撮影のコツ
自然光がある外での撮影では、光量が多少落ちても安定したスキャンが可能です。
暗くなってきたら、対象物からの距離や端末の動きを調整すると、ディテールが保たれやすくなります。

雨の日での3Dスキャン結果と撮影のコツ


次に、雨が降っている屋外でのスキャンを試みました。特に、水たまりや濡れた地面でのスキャン精度を確認しました。
降水量が40mmの中で撮影しております。雨の日のスキャンでは、LiDARセンサーが濡れないようにすることで撮影が可能です。

結果
雨の日でもLiDARセンサーが濡れなければ大まかな形状は問題なく撮影できましたが、水滴や水たまりによる反射で一部の輪郭がぼやける箇所がありました。したがって、センサーが濡れていない中では、降雨によって撮影結果に影響があるというより、降雨の結果の地面の反射率の変化が撮影に影響があるようです。

結果を踏まえた撮影のコツ
雨天時にはLiDARセンサー部分が濡れないように保護することで、スムーズにスキャンが行えます。
水たまりがある場所では、反射の影響を避けるため、角度や動線を工夫するとより安定したスキャンが可能です。

まとめ

今回の検証のまとめです。

狭い空間でのスキャン

端末を上下に大きく動かさず、一筆書きのようなスムーズな動線を確保することがスキャン精度向上のポイントです。
対象物から1.5m以上の距離を保つことで、エラーを防ぎ、安定したスキャンが可能になります。

暗い空間でのスキャン

光量が低い場所でスキャンする際は、50ルクス以上の照度を確保することで、部屋の隅や細かいディテールも精度高くスキャンできます。屋外での暗い環境では、反射や水滴による影響を避けることが精度向上につながります。

雨天でのスキャン

雨の日には、LiDARセンサー部分を水から守ることでスムーズなスキャンが可能です。水たまりの反射による映り込みがあるため、スキャンする際はそのことを承知の上で行う必要があります。

おわりに

今回の検証はいかがでしたか?
3Dスキャン機能を使用する際の「狭い空間」「暗い空間」「雨天」などの環境条件について、どのような見え方の違いを検証しました。またこれらの撮影時のポイントを押さえておくことで、より見え方が綺麗なスキャンデータを得ることができます。

今回の検証を通して、撮影のコツをおさえて工夫次第で3Dスキャンの可能性がさらに広がることを実感しました。狭い空間や暗い場所でも、ちょっとしたコツでより鮮明に撮影できるので、皆さんもぜひ色々な場面で試してみていただければと思います。
多くの方にこの3Dスキャン機能を活用していただき、さまざまな現場で役立てていただければ幸いです。
今後も、役立つ情報をお届けしていきますので、ぜひチェックください。また、弊社の機能にご興味をお持ちいただけましたら、お気軽にご連絡ください!

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