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『王様ランキング』暗闇を照らすスポットライトの光と影【寄稿】

・書かせていただきました。『王様ランキング』において、言葉を上手に話せないボッジ王子と会話できる人物の共通点をあげ、ボッジの言葉を理解できることはなにを象徴しているのかという問いについて考察した記事です。

・アニメの放送話数が進むにつれて、ボッジの言葉を理解できる人物のひとり「ヒリング」王妃の株は上がっているように思えます。第1話でヒステリックボインババァと(カゲに)称された一面とのギャップが大きく影響しているのだと感じます。

・『王様ランキング』の冒頭では、周りから馬鹿にされている孤独なボッジと、一族を皆殺しにされて孤独なカゲが、お互いに穴を埋める関係を描いています。まわりが暗闇で染まっているからこそ、小さなスポットライトに照らされたふたりが際立つ構図だと感じた次第です。

・暗闇を演出していたキャラクターの新たな側面にスポットライトを当てる作品も多いですが、注目する点が分散してしまい、主人公への共感が小さくなってしまうなど、物語がぼんやりしてしまうリスクもあります。

・『王様ランキング』においても複数の人物にスポットライトが当たります。しかし光が当てられる一面の明るさとと共に、影となる一面も描いている印象を受けるのです。

・1巻「第2話」では気に入らない人間に対し“死刑”という言葉を発するヒリングは、1巻「第7話」では瀕死のボッジを“生き”返らせようとする。

・1巻「第3話」で圧倒的な“強さ”の象徴として描かれたボッス王は、1巻「第9話」で人間として“弱い”一面が明かされる。

・スポットライトを当てたときに照らされる部分と共に、その陰となる部分が浮かび上がり、ふたつが対比の関係を成す。キャラクターの光となる1面と影となる1面が互いを引き立て、暗闇を照らすスポットライトの1つひとつが際立つのだと思った次第です。


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