「美味しい」で終わるお酒と「感動」するお酒の差はどこにある?
いつも深い学びを与えてくれるヴァンパッションのセミナー
きらめくトップ生産者とVPイチオシ銘柄との比較
「味」という本質では全く負けてなくどちらも素晴らしいクオリティ
違いは「すでに有名」か「まだ有名ではないか」のみ
本質が「味」であるなら、まだ有名じゃない方を探すのには価値がある
原石を発掘して研磨し付加価値をつけ世に送り出す仕事を長年続けているヴァンパッションの長けたアプローチは勉強になる。
せっかくなので中々試飲する機会のないワインのコメントを簡単に
▶︎ジャン・クロード・ラモネ シャサーニュ・モンラッシェ2019
ラモネは全て割り当て、即完売するブルゴーニュ白の頂点。
いわゆるラモネ香。樽の香ばしさと熟した果実が融合した香りはいつ飲んでもラモネだ、と教えてくれる唯一無二の個性。シャサーニュ・モンラッシェの赤も素晴らしい品質で手頃なパストゥーグランもエレガントで実に旨い。
▶︎ガヤ ガヤ&レイ・シャルドネ・ランゲ 2018
帝王ガヤ。今やすっかり高騰し買えなくなった。10年前に飲んだソリティルディン1998年はいまだに脳裏にこびりつく程の旨さだった。
ピエモンテ北、バローロの場所の畑で冷涼タイプでエルミタージュブランぐらいの標高、品種はシャルドネ。香りはイタリアとは思えない、冷涼感がある、爽やかで青いニュアンスを纏いハーバリー。アタックは凝縮感があるがタイトでミネラリー、後口まで石を舐めるようなミネラル感が続く。こちら上代30,000円。イタリアの白は総じてパワフルというか明るいキャラクターが多いが、ガヤは引き締まった冷涼感のある白を打ち出した。イタリアのモンラッシェ。
▶︎アルマンルソー ジュヴレ・シャンベルタン クロ・デュ・シャトー2019
ジュヴレ・シャンベルタン村の帝王。頂点のシャンベルタンはDRCより高値がつく。転売は恐ろしい価格になっており、いち早く注意喚起を行っている。香りは赤系の華やかな香りにスパイスが入り交じりエレガント。アタックは滑らかスパイシー、中間からミネラルが効き、後口はエレガントで余韻は硬いが印象は明るい。
▶︎コント・ラフォン ヴォルネイ サントノー・デュ・ミリュー2018
ムルソーの帝王コントラフォンの手掛けるヴォルネイ。
香りは高いトーンで華やか、赤系と黒系が交じる。
ジューシーだが余韻がミネラリーで硬い。
DRCの作り、赤は収量多く、搾り気味の傾向。
▶︎ドニ・モルテ ジュヴレ・シャンベルタン マ・サンク・テロワール2019
偉大な父の後を継ぎ、名声を取り戻したドニモルテ。松茸、華やかな赤系果実、香りかなり良く、房内発酵由来の感じ。アタックは甘やかで滑らかな果実味、タンニンはきめ細かいが存在感がある、骨格しっかり、余韻ミネラリーで強く長い、ストラクチャーがある。これは買うべし。…買えないけど。実はアルノーモルテという名前で畑が違うだけの同じクオリティのワインもスタートしている。そっちは去年ぐらいまではまだあったが、もう無い(笑)
▶︎デュジャック モレ・サン・ドニ 2014
モレ・サン・ドニの地位を高めたドメーヌであり、平川ワイナリー平川敦雄氏も働いていた。香りは腐葉土、熟成由来のエレガントさがある。ふくよかでタンニンきめ細やか、ミッドパレットから滑らかに膨らんでくる。グランクリュは除梗しない、村名は除梗20%ぐらいする。
▶︎クリュッグ ロゼ エディション・25
クリュッグは何と言っても栗のような香ばしいフレーバーと樽のニュアンス、ブレンデッドウイスキーの如し複雑さとバランス感が特徴。香りはマロン、麦わら、香ばしい樽の重厚感。アタックは複雑で骨格しっかり、中間からミネラル感が絡み後口は若々しくのパワフルで巨大。強烈なパワー、樽発酵の強さはクリュッグスタイル。
美味しいで終わるお酒と凄いと思うお酒の差はどこに
綺羅星の如し銘柄をブランドたらしめているのは圧倒的な個性。
減点方式ではある程度のレベルまで到達するものの、最高の1本は生まれない。
土地を活かして、技術を駆使し、個性を追求した先に、
ジャンルの壁を壊すような1本がひねり出されるのだと信じている。