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今月のひと駅-2025年2月

関ケ原(東海道本線)

せきがはら駅 岐阜県不破郡関ヶ原町
明治16年開業

天下分け目の頂に立つ

 大垣から米原までは、特急を除けば緩行電車ばかりで快速の運行はなく、短い3両編成の区間運転が多い。垂井を挟んで長々と続いてきた登り坂の道は、下り専用の迂回線も合流してきて関ヶ原駅で一息つく。その名の通り、ここは関東と関西を分かつ中山道の関所、不破の関の周りに広がる高原の地だ。

 天下分け目の大いくさで誰もが知る地名ではあるが、決して観光で栄えているわけではない。古い跨線橋の架かるホームから改札に向かえば、三河三谷などでも見られた洋風のリフォーム駅舎が出迎える。古戦場のイメージが強すぎて、その中途半端さにちょっと不釣り合いな感を覚えるが、駅舎脇には、徳川家康や石田三成をはじめ、合戦に参加した諸将の家紋がずらりと並んで壮観だ。

 駅前は少し拡張されて「いざ!関ケ原」の看板を掲げる観光交流館が建つ。平成27年にできたランドマークから発して、中山道の不破の関を訪ねるもよし、諸将の陣跡を巡るもまた一興。それに加えて強調したいのは、関ケ原駅が中部地方で最も古く、明治16年に開業した唯一の駅だということ。難所から先に着手した技術力にも驚かされるが、まさしく天下分け目の頂点に立つ、この駅の魅力も磨いてほしい。

駅横の家紋ペナント群
駅正面には観光交流館

【2017(平成29)年取材】

『駅路VISION第24巻・東海道本線Ⅱ』より抜粋