はじめに
お読みくださってありがとうございます。私は家内料理人となりもうすぐ11年になります。
この連載は、私が淡々と日々の家内料理人としての記録をつけていくものです。
実際の献立、学んだこと、気づきや考え、何でもです。言わば、日報兼雑記帳のようなものです。
これを始めるきっかけになった出来事がありました。
家内料理人のストライキです。
ずっと前からじわりじわり夫に腹を立ててまいりました。夫婦ではたまにある事ですが、それでも私たちはそこそこ楽しく暮らしていたところ、ある時「ふんがー!」となった事で始まりました。
「もうちゃんと話すまでご飯作ってあげへんっっ!!」
あと2か月で現家内での勤務11年はですが、初めてのストライキです。
悲しみたまえ!困りたまえ!という思いがなかったわけではありませんが、
このストライキが今思わぬ感じに来ました。
そう、ストライキを始めてから、私は家内料理人という職について本気で向き合ったのです。
「ふんがー!」はきっかけでしかなかったのです。
私は長い間家内料理人の役割について面倒に感じる事がありました。そして、そんな気持ちを抑えきれずサボったことも少々ありますが、ほとんどはそんな時、心を無にして立ち上がってまいりました。自分の中に抱いた「面倒に感じた気持ち」、「品数の少ない夕食」、「手抜き(工数の少ない)料理」「思ったほどの味ではない料理」に人知れず罪悪感まで抱いていました。そして、けっこう良い出来の時に「おいしい(^^)」の賞賛の嵐が出ない事へのガッカリ感に不満も抱くことがありました。
幸い私の夫は料理に口出しは皆無です。文句を言われることはありませんが、同時にそれは「なんでもいいんだ」とやりがいを失うことにもなります。
そして11年という年月での飽き。
完全に飽きてましたね。綺麗さっぱりと。
飽き性の私がよくここまで頑張った。※ここの部分については後日私の狂気的な主婦業務食事担当者の過去として書きます。
なるべくしてストライキにはいった私がたどり着いたところ、
それは味噌汁への強烈な興味でした。なんでやろうね。今でも不思議です。
味噌汁に関する本をひたすら読みました。
合わせて一汁一菜の本なども。
読めば読むほどワクワクしてきました。
オラ、ワクワクすっぞ。
そして気づきました。
家内料理人になった当初は、相手の健康や喜びの為にはじめた料理が楽しかったこと。いつの間にか義務感が大きくなって楽しめなくなった事。その中に「現代の家庭料理とはかくあるべき」という衣をいつの間にかまとっていたけど全然似合ってなかった事。
私が纏った衣は、「好きだけど全然似合ってない」ものでした。
私と同じ家内料理人の人には経験があるかもしれません。
これについては連載の中で紐解いていきましょう。
似合わない衣に気づいた私はまず、それを脱ぐことから始めました。
ストライキは失敗。要求は飲まれず。
されど、私は久しぶりに料理にわくわくした気持ちをとりもどしました。
私は自分に似合いそうな衣を見つけたので自分で作ってみようと思ったのです。
まず始めて。
似合わない所は修正していきましょう。
自分にあったスタイルを見つけることはファッションと同じです。
好きでも似合ってなければ、身の丈にあってなければダサいわよ結局。
私らしさに罪悪感を持つことがないよう、わたしはスタイルとしてあえて掲げることにしました。それが、
「時々本気出す」
です。
そんな家内料理人の再出発記録です。