開業ノウハウ|民間の金融機関から開業時に融資を受ける場合のポイントとコツ
前回までは2回に渡り日本政策金融公庫の創業融資について記述してきました。
開業時、民間の金融機関からの融資はハードルが高い理由をお伝えしてきましたが、まったく融資されないというわけではありません。
今回は開業時に民間の金融機関が窓口になって融資を実行する[制度融資]についてポイントとコツを記述します。
基本的なポイントとコツは前回の[創業融資のポイントとコツ]をご覧ください。
|制度融資とは
中小企業および個人事業主等の方が、資金を円滑に調達できるよう地方自治体が設けている融資制度となります。
日本政策金融公庫やゆうちょ銀行などでは制度融資を利用できません。
窓口は自治体が指定する金融機関になります。
銀行や信金など多くの金融機関が取扱いの対象となっています。
|創業融資との違い
創業融資と異なり、保証人が法人の場合必要となります。
通常は代表取締役個人の保証となり、個人事業主の場合は不要となります。
そして最も大きな違いは[信用保証協会の保証付]が条件になります。
|信用保証協会とは
信用保証協会が保証人となり、融資をする金融機関のリスクを減らします。
返済ができなくなった場合、信用保証協会が代わりに銀行などに返済します。これを代位弁済といいます。
開業者には信用保証料という形で金利のように費用が発生します。
結果的に金利に信用保証料が合わさると、公庫の創業融資との金利差はあまりなくなります。
|審査をするのは?
審査をするのは窓口の金融機関と信用保証協会になります。
そして一般的に審査基準が厳しいのはリスクの大小に比例するといわれます。
金融機関は返済が滞っても代位弁済をしてもらえますので事実上のリスクは信用保証協会が負っているといえるでしょう。
そのため審査機関は最短でも1ヶ月はかかります。2ヶ月近くかかることも少なくありません。
審査中も信用保証協会の担当者と直接会うのはもちろん面談もなく、多くは窓口の金融機関担当者を通じて質問等が電話などでされます。
公庫の面談のようなアピールが直接できないというのも大きな違いです。
|信用保証協会との面談がない際のコツ
融資申請書のほかにアピールすべきことはすべて[書面にして提出する]ことがコツでありポイントになります。
例としては、
◇お店ができるまで(貸借対照表)とお店ができてから(損益計算書/キャッシュフロー)を分けてシミュレーション
◇同上による根拠のある運転資金の設定と返済計画の設定
◇同一業態、類似業態の競合店調査(戦う相手は誰か?)
◇同上とのポジショニングマップの作製(周辺エリアにおける位置づけ)
◇3Dパースによるイメージしやすい作図
上記は弊社が無償で行っている代表的なサポートと同様です。
また、目標売上などの数字にストレスをかけたシミュレーションを提出するのが好まれる場合があります。
|保証協会が代わりに返済するわけではない
最後に、[信用保証料を払っている]からといって信用保証協会が返済を肩代わりしてくれるわけではありせん。
事業者の代わりに一時的に返済をしただけで、返済相手が金融機関から信用保証協会になります。
このような流れがありますので、開業時は日本政策金融公庫の創業融資を受け、事業が安定してきたら信用保証協会の保証付き融資、返済実績ができてきたら金融機関が全リスクを負うプロパー融資という段階を経てそれぞれの金融機関と一緒に事業を育んでいく方が多くなります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。