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開業ノウハウ|小規模事業共済ってなんだ?

『小規模事業共済は、中小企業の経営者や個人事業主が退職金を準備するための共済制度です』

というのが基本的な説明となるでしょう。

しかし、開業間もない事業主にとって退職金を考えることより、事業の安定が最優先で日々翻弄されることが多いでしょう。

実は、その状況に最大のメリットがあります。

今回は退職金としての小規模事業共済ではなく、より実践的なメリットの深堀りと、よく一緒に検討される倒産防止共済の説明と、その他の共済との比較です。


開業間もない時に起きやすい状況


資金繰りの不安
事業を始めたばかりはお客様や取引先も安定しにくいです。
そして売上や収入に直結するため、資金繰りが不安定になりやすいです。

初期投資の負担
設備投資や店舗の賃貸、在庫の確保など、初期投資に資金が必要で重荷になることがあります。

経営の不確実性
市場の変動や競合の存在など、将来の収益予測が立てにくく、経営が安定するまでには時間がかかることが一般的です。

福利厚生の整備
福利厚生を整える余裕がない場合が多く、長期的な視点での計画が立てにくくなりやすいです。

いずれも資金が不安定になるという共通点があります。



小規模事業共済のメリット

つまり、開業時には様々な切り口での出来事による予期せぬ出費や、落とし穴があります。
資金に不安や、不安定な状況がついて回りやすいです。

そこで小規模事業共済をうまく活用するのが大切です。

一般的な説明は第一に「退職金」と説明されることが多いですが、実は資金の安定化としてのメリットがあります。

それが開業間もない時から小規模事業共済に加盟する最も大きな理由といえます。


貸付制度の充実

普通貸付
積立金の範囲内で、最大2,000万円までの貸付が可能。事業資金や設備投資、運転資金など、幅広い用途に利用できます。

積立金の範囲内であれば事実上の無審査に近い状態で借り入れが可能になる場合があります。


災害時貸付
災害により被害を受けた場合も同様に、積立金の範囲内で特別貸付が受けられ、迅速な復旧にむけた動きが可能になります。


解約時の返戻金
経営を続けられなくなった場合や解約した場合でも、掛けた金額に応じた返戻金が受け取れるため、リスクを軽減することができます。



その他メリット

退職金の積立
もっともポピュラーなメリットの一つは、やはり退職金の積み立てになるでしょう。
共済掛金を月額1,000円から7万円の範囲で自由に設定でき、事業の利益に応じて柔軟に退職金を積み立てることができます。


税制優遇
掛金は全額が所得控除の対象となり節税効果が得られます。
これにより、実質的な掛金の負担と納税額が軽減されます。



倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは

小規模事業共済とよく比較検討される倒産防止共済は、本来取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための制度です。
この共済制度は、それ以外のメリットや特徴があります。

掛金
月額5,000円から20万円までの範囲で設定可能です。
最大800万円まで積み立てができます。

借入制度
取引先が倒産した場合、無利子で積立金の10倍(最大8,000万円)までの借入が可能です。
急に売掛金の回収目途が立たなくなった場合、非常に有効な手段と言えます。

返戻金
解約時には、積立金の全額が返戻されるため、資金の安全性が確保されています。
しかし解約時の事業の収益状況を上手に判断しないと、最大800万円の特別収益が発生し、納税額が飛躍的に増額する場合があります。

税制優遇
小規模事業共済と同様に、掛金は全額損金扱いとなり節税効果があります。


倒産防止共済も開業間もない時に、非常に有効的な共済ですが、積立金に限度があることや、創業初年度には利用できないという特徴があります。

いずれも掛け金を柔軟に設定できるので、事業の状況にあわせてバランス良く選択するのがいいでしょう。



その他の共済との比較

中小企業退職金共済(中退共)

対象:中小企業の従業員

掛金:従業員一人当たりの月額掛金を事業主が負担

メリット:事業主が従業員の退職金を効率的に積み立てることができ、掛金は全額が損金扱いになるため、税制上のメリットがあります。

デメリット:主に従業員向けの制度であり、事業主自身の退職金準備には適していません。


社会保険(厚生年金・健康保険)

対象:法人や一定規模以上の個人事業主

掛金:事業主と従業員がそれぞれ負担

メリット:年金や医療保険など、幅広い保障が得られる。事業主自身も加入でき、老後の生活保障が確保されます。

デメリット:掛金負担が大きく、特に開業間もない時期には経済的な負担となる可能性があります。


商工会議所の共済制度

対象:商工会議所に加入している事業者

掛金:プランにより異なる

メリット:多様なプランがあり、事業規模や業種に応じた選択が可能です。各種補助金や助成金の情報提供などのサービスも受けられます。

デメリット:会議所への加入が前提となるため、利用者が限定されます。



まとめ

開業間もない時期において、小規模事業共済は事業主のリスクヘッジや将来の準備に非常に有効な手段です。

突発的な状況への貸付制度、事業主の長期的な退職金、年度毎の節税・実質的掛け金の減額など、

非常時、中期的、長期的な状況にあわせた備え
になります。

他の共済制度と比較しても、事業主自身が直接的に恩恵を受けることができる点が大きな特徴です。

特に、税制優遇や充実した貸付制度を活用することで、開業初期の資金繰りの不安を軽減し、安定した経営基盤の構築に寄与します。

また、倒産防止共済も併せて利用することで、取引先の倒産リスクにも備えることができ、より安全な事業運営が可能となります。

私も創業期から現在までずっと納付しています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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