開業ノウハウ|券売機の導入は正解?不正解?
飲食店での券売機の導入は、意外に古く1960年代に遡るそうです。
最初に導入されたのは、ラーメン店やそば屋などのカジュアルで且つ、迅速なサービスが求められる業態から導入されました。
当初はオフィス街のある都心部から始まり、効率という側面で多くのメリットがあり、現在では様々な業態で重宝されています。
10年ほど前、飲食店のコンサル会社に所属していたころ、講師の方からは「券売機の導入は最後までお客様に決断させない」と習いました。
やむを得ない事情がない限り、テーブルオーダーを進めることを優先させるという指導でした。
圧倒的な効率化が図れる一方で、導入しないメリットにも納得できる理由がありますので紹介します。
券売機を導入しないメリットは、
①メニューをしっかり理解する前にオーダーを決めてしまう
ボタンの表記やメニュー表を吊り下げたり、ポスターでアピールしても、待っているお客様がいるだけで、「早く決めないといけない」という心理が働き、お店のウリやコダワリを伝えきることが困難になる。
②客単価UPの機会を失いやすい
じっくり選ぶことで、サイドメニューや食後のデザート、トッピングなどをの存在をしらないまま、次回に頼まれることがない。
③複雑な設定に向かない
券売機はスープカレーのように、スープの種類、辛さ、メイン、トッピング、ライスの種類、大盛 小小盛どなど、選択肢が多いことで選ぶ楽しさを提供することに向かないため、メニュー表と接客を合わせオススメしたり説明したりするのに向いています。
④接客での誘導ができない
券売機にはオススメや限定メニューを前面にだした情報提供が不安定になりやすく、接客を通じての付加価値の提供や追加オーダーなどの戦略ができないため。
これらのメリットがあるため、券売機の導入を最後まで決断させない理由でした。
しかし、チケット制・事前会計ではないものの、焼き肉店や居酒屋などで広く導入されているタブレットや、お客様のスマホからオーダーさせる手段では優れたユーザビリティさえあれば解消できる点も多くなりました。
それでは券売機のもたらすメリットを紹介します
①オペレーションの効率化
事前会計により、原則スタッフの対応は不要になり、業務に集中できます。
また、実際に会計環境としてレジスターや現金のドロアー、伝票管理、キャッシュレス対応機器などをスムーズにつかえる配置をすると、券売機と同等の床面積を必要とすることがあります。
また、釣銭かんりも比較的楽になります。
不足した小銭の棒金管理も不要でなり、〆の業務でレジ金の過不足もおきません。
売上の計算と過不足調査がボタン一つで完了します。
②人件費の削減
当然オペレーションの効率があがると、そこに人員を割く必要がなくなりますので、結果的に人件費を削減できます。
慢性的な人員不足のお店も多い中、非常に有効な手段と言えます。
③オーダーミスの激減
お客様が操作ミスをしない限りオーダーの食い違いはおきません。
厨房内での食券管理に不手際がない限り、正確な受注が可能になります。
伝票の書き方の問題や、コミュニケーションを通じてのオーダーによる行き違いはなくなります。
④キャッシュレス対応
最近の券売機はキャッシュレス対応となっている機種も増えてきました。
これにより現金の使用頻度が減ることで、釣銭管理の業務も軽くなり、お客様の利便性も上がります。
以上が券売機におけるメリットとデメリットです。
今も昔もかわらないことがあります。
初期導入コストはかかります。
最新モデルになればなるほど、利便性もよく、お店側からの仕掛けを戦略的にしやすくなりますがお金はかかります。
それと、どんなに最新機種だとしても機械である以上、故障やエラーの発生は加味しておくべき状況でしょう。これはタブレットでも同じことが言えます。
会計機能を券売機に依存している状況での故障やエラーは、急な対応を求められます。万が一にそなえ、その際のオペレーションも周知する必要があります。
導入するか?しないか?
それは、人を介することで、お店にとってどのくらいの利益が生まれるか?
自動化することで、どれくらいコストを削減できるか?
売上ではなく、粗利益と経費(人件費)を天秤にかけることでどちらが有効かを判断するのがいいでしょう。
折衷案としてタブレットやスマホからのオーダーも時には有効でしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。