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(結果的に)お金の話|飲食店【棚卸】って必要なの?

個人的な主観ですが、個人もしくは数人で運営している飲食店で毎月棚卸を実施している方は非常に少ないと思います。

しかし、コンビニなどで棚卸作業中に来店した人は少なくないでしょう。
棚卸を専門に生業とする業者さえ存在するということは、費用をかけてまで正確に棚卸をする意味があるということになります。

それでは棚卸とはいったいなんなのか?
ご存じの方には退屈になると思いますが、以下になります。

【棚卸】
保有する在庫の数量や価値を確認し、正確なデータを取得するための業務

と、なります。
それでは、その目的は?



棚卸の目的

主な目的として

  • 在庫管理: 現在の在庫状況を正確に把握し、過剰在庫や不足在庫を防ぐ。

  • コスト管理: 売上原価の計算や在庫回転率の向上を図る。

  • 損失防止: 不良在庫や盗難などによる損失を防ぐ。

そして、

  • 財務報告: 財務諸表(貸借対照表や損益計算書)に正確なデータを反映させるため。

主に、このような目的があります。
棚卸という一つの業務が様々な目的のために行われています。
今回は、その中の『債務報告』に焦点を当てます。
結論を申し上げると、棚卸の業務は結果として税金に関わってきます
そしてコントロールするこも可能なケースがあります。



棚卸の必要性と財務諸表

棚卸は単なる在庫管理の手段だけでなく、財務諸表の作成や税務対策にも深く関わっています。
貸借対照表(バランスシート)と損益計算書(プロフィット アンド ロス ステートメント)を交えて、最終的には節税にどのように役立つかを説明します。

1. 棚卸と貸借対照表(バランスシート)B/S
貸借対照表は、ある特定の時点における企業の資産、負債、および資本の状況を示す財務諸表です。

飲食店の場合、棚卸は主に以下のような資産に関連します:

  • 原材料在庫: 食材や飲料などの原材料。

  • 消耗品在庫: 紙ナプキン、ストローなどの消耗品。

これらの棚卸を正確に行うことで、これらの在庫の実際の価値を把握し、貸借対照表に正確に反映させることができます。
これは、財務状況の透明性を保ち、健全な経営判断を行うために欠かせません。

続いて、

2. 棚卸と損益計算書(プロフィット  アンド  ロス  ステートメント)P/L
損益計算書は、一定期間における企業の収益と費用を示し、最終的な利益や損失を明らかにする財務諸表です。

棚卸は、損益計算書の以下の項目に影響を与えます

  • 売上原価: 棚卸の開始在庫と期末在庫を考慮して算出されます。売上原価の計算は次の式で表されます

売上原価 = 期首在庫 + 仕入れ - 期末在庫

棚卸を正確に行うことで、売上原価が適正に計算され、純利益が正確に反映されます。




棚卸と節税

棚卸を適切に行うことは、税務対策にも大きな影響を与えます。

まずは在庫と売上原価どちらに計上するか?で利益、すなわち課税額(税金)が変化します。

在庫の状態は資産となり、損益計算書の売上原価ではなく、貸借対照表の資産の一部となります。
つまり、原価は小さくなり、その分利益が大きくなります。
税金は、あくまで損益計算書の純利益(所得)に対してのみ課税されます。正確な棚卸をすることで利益(課税額)は変動します。この状況を前提に、具体的な方法で節税効果をすることができます。

在庫評価方法の選択
FIFO(先入先出法)やLIFO(後入先出法)など、異なる在庫評価方法を選択することで、課税所得額を調整できます。
例えば、物価が上昇している場合、LIFOを選択することで売上原価が高くなり、課税所得が低く抑えることが可能になります。

棚卸減耗費の計上
不良在庫や過剰在庫を適切に評価し、減耗費として計上することで、課税所得を減少させることができます。



まとめ

飲食店における棚卸は、単なる在庫管理以上の重要な役割を果たします。
正確な棚卸を行うことで、貸借対照表や損益計算書に正確なデータを反映させることができ、健全な経営判断と適切な税務対策が可能となります。

棚卸を通じて、節税効果を最大限に引き出し、企業の財務健全性を高めることができるのです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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