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ショートヘアを諦めている人へ|キャリアだけじゃなくファッションのカウンセラーもやってるワケ
知り合いの女性が髪をバサっと切っていた。襟足なし、顔まわりスッキリなボーイッシュショート。めちゃくちゃ素敵だった。
髪を切った彼女に、周りにいた女性みんなから「思い切ったね」「でも素敵」というポジティブコメントが集まった。なお、コメントを一番浴びせまくったのは他でもなく私である。キモかったと思う。
女性がショートヘアにしているのが好きだ。ショートヘアの女性が好きも正しいっちゃ正しいが、より正確を期すとやはり、「女性がショートヘアにしているの」が好きだ。
髪は女の命、なんて言葉がある。そんなことはないと個人的には思っているが、現実問題、女性が髪を短く切ろうと決心するのには、大なり小なり踏ん切りってものはいるとは思う。
髪を切った彼女に対して「素敵」「かわいい」「似合うね」とあたたかい言葉をかけた女性たちは、みなこう続けた。
「ショートはかわいくないとできないよね」
「私は若くないから…」
「おしゃれな人しかショートはダメよね」
「私には似合わないからできない」
髪を切るのに踏ん切りがいる理由は、こんな言葉に表れている。
そんなことない。そんなことないんだよ……!!
私は心の中で叫ぶ。いや、割と口に出てる。
もちろん、やりたくないなら全然やらなくていい。ロングヘアが大好きとか、今の髪型が気に入ってるとかなら、私もあなたもハッピーだ。
でも、「本当はやりたいけど、自分なんかには相応しくないから」と諦めているとしたら、私はめちゃくちゃに悔しくなってしまう。
何があなたにそう思わせているのか、何があなたを躊躇わせているのか、何があなたの自信を失わせているのか。
様々な理由があると思うが、私の経験と想像力では、ポジティブな理由が思い浮かばない。
ショートにしたら可愛くないと言われた。
勇気を出して切ったのに変な感じになった。
髪を切ったら女性らしくないと馬鹿にされた。
顔が大きく見えそうで恥ずかしい。
自分はおしゃれじゃないから。
悔しい。そういうふうに思わせているナニモノかが憎い。
そんなふうに感じるから、女性がショートヘアにしていると、勝手に嬉しくなるのである。この人は、憎きナニモノかに心を縛られていない人なのかな、と勝手に想像して。
かくいう私も、この憎きナニモノかに苛まれてきた1人だ。
髪はずっとショートだった。我が家はショート一族でだったからだ。でもこだわってショートなわけではなく、手入れやアレンジなんてめんどくさい、というかそもそも、やったことがないからやり方が分からないという消極的な理由だ。
そしてその根底には、「私が可愛くなれるわけがない」「なったって仕方ない」「可愛くなろうなんておこがましい」のような、自己否定感情があった(家族は分からないが、少なくとも私にはあった)。
しかし様々な経験をとおしてその感情がほぐれたことで、自ら好んでショートヘアにしている。今はパッツパツのおかっぱヘアーだ。おしゃれだ、似合っている、と言われると、もちろん嬉しい。でも何より、憎きナニモノかをいなし、自分が好きな自分でいることを選べていることが嬉しい。誇らしい、の方がより近い。
だから見た目に対する否定感情をほぐしてくれた「様々な経験」を届けたいと思うのだ。それゆえにキャリアカウンセラーではなく、キャリア&ファッションカウンセラーをやっている。
ショートヘアは自分なんかにはできない。そんなふうに、好きな自分でいることを諦めようとしている人に、きっかけをつかんでもらいたい。「自分のこと好きだな」と思いながら、自分の髪型を、ファッションを決められる。そんな自分でいるきっかけを。
ショートヘア、できますよ。素敵ですよ。大丈夫。