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【イベントレポート】京急アクセラレータープログラム 採択スタートアップに聞く、創業〜現在まで(前編)

昨今のスタートアップブームの中で、起業を志す人々が増えている。そんな中、実際にイノベーションの第一線で活躍するスタートアップは、どのような道を辿り、事業を成長させることができたのか。

オープンイノベーションコミュニティ「AND ON SHINAGAWA」では、「京急アクセラレータープログラム」の採択スタートアップ4社に創業から現在までを語るパネルディスカッションを開催した。

イベントレポート前編では、登壇スタートアップ4社の事業概要を紹介する。

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モデレーター

■ 橋本雄太
大手新聞社、外資系コンサルティングファームを経て2017年4月、京浜急行電鉄に入社。スタートアップとのオープンイノベーションによる新規事業創出を目指し、「京急アクセラレータープログラム」を立ち上げ、プログラムの設計・運営、採択企業との事業連携を推進。同社におけるオープンイノベーション戦略の企画・実行をリードする。また、2019年7月にはオープンイノベーションコミュニティ「AND ON SHINAGAWA」を立ち上げ、新しいエコシステムの形成を進めている。

■ 坪田拓也
サムライインキュベート1989年大阪府出身、京都大学卒業。オプトにてWebマーケティングや新規商材企画を経験後、グループ会社で複数のtoCサービスの企画〜運営における事業責任者等を経験。2017年にサムライインキュベート入社。大企業の新規事業立ち上げ支援に従事した後、現在では投資部門にて投資先の事業支援・スタートアップへの新規投資を担う。

オープンイノベーションコミュニティ「AND ON SHINAGAWA」がつくるエコシステム

本オンラインイベントは、AND ON SHINAGAWAを運営する京浜急行電鉄株式会社新規事業企画室の橋本雄太氏と、サムライインキュベートの坪田拓也氏のモデレートのもと、スタートアップ4社のピッチ、パネルディスカッションの2部構成で展開された。

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橋本さん(以下、橋本):AND ON SHINAGAWAは、特に「モビリティ×ライフスタイル」の領域に特化したイノベーションコミュニティです。スタートアップや大企業などによるエコシステム形成を目指し、京急電鉄を中心に、サムライインキュベートなどが事務局となって運営しています。

登壇する4社は、株式会社JX通信社SEQSENSE株式会社scheme verge株式会社株式会社Nature Innovation Group。いずれも京急電鉄とサムライインキュベートが開催する「京急アクセラレータープログラム」に参加し、京急グループとの事業共創を進めるスタートアップだ。

株式会社JX通信社「報道の在り方を根底から変える」

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取締役 兼 CXO 細野雄紀さん(以下、細野):弊社は、「記者のいない通信社」を目指すベンチャー企業です。2つのサービスを展開し、ひとつは「FASTALERT」。リスク情報や社会的なニュースをいち早く検知して配信するサービスで、日本全国のほとんどのテレビ局で活用されています。ニュースの消費者提供映像などでよく報じられる画像は、実は「FASTALERT」が元になっていたりするので、実は皆さんにも間接的に関係があります。もうひとつは「NewsDigest」という、BtoCでニュース速報アプリです。

■ 細野雄紀
株式会社JX通信社 取締役兼CXO。1990年生まれ。2012年にJX通信社にジョイン。主にユーザー体験の創出や事業開発などを担当。2016年より、湘南ベルマーレのSNSアドバイザーを務める。

SEQSENSE株式会社「自律移動ロボットで警備の問題を解消」

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代表取締役 中村壮一郎さん(以下、中村):弊社には、自律移動、クラウド、AI、ハードウエアなど、ロボットに関わるあらゆる分野のスペシャリストが在籍し、自律移動型警備ロボット「SQ-2」を開発しました。自律移動性が極めて高いのが特徴で、人混みの中でもぶつからずに動けます。すでに8ヶ所で実用化されています。日本の警備員の主業務である①施設内の巡回と設備確認、②立哨業務(ビルの入り口で案内をするなど)を担い、近年の警備現場が抱える人不足問題を解消します。

■ 中村壮一郎
SEQSENSE株式会社 代表取締役。
京都大学ではアメリカンフットボール部主将、ALL JAPANにも選出。大学卒業後は、三菱東京UFJ銀行にて中小企業融資を担当。その後、シティグループ証券に転職。2006年から2008年はニューヨークオフィス勤務。2012年に独立。2015年よりSEQSENSE立上げプロジェクトに参画。2016年10月創業と共に代表取締役就任。東京工業大学アメリカンフットボール部ヘッドコーチも務める。

scheme verge株式会社「スマートシティ領域で正面から闘う」

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代表取締役CEO 嶂南達貴さん(以下、嶂南):弊社は、「テクノロジーを使って世界の都市化に革命を起こす」をミッションとした、スマートシティ領域のスタートアップです。都市ドメイン、交通ドメイン、AI・IoTドメイン、ビジネスデベロップメントのメンバーが連携することにより、社会実装にこだわって事業を進めています。起業のきっかけは、私が内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)で自動運転実用化研究に4年間関わったことです。

従来のモビリティの進化は、幹線道路を作り大都市への動線の確保を主としました。さらに、主要都市の駅周辺にビルを集中させ、海外のハイブランドを配置してきました。しかし、もはやグローバル化によってハイブランドも飽和状態ですし、人口減少問題が顕在化しています。モビリティとデータを活用し、地域の特性を生かした街づくりに取り組んでいく必要性を感じているところです。

弊社では、「Horai」というMaaS(Mobility as a Service)アプリを開発・提供しています。瀬戸内海でサービスをスタートし、今回のアクセラでは京急さまとともに三浦半島でも展開準備中です。従来の鉄道・幹線アプリでは拾えなかった、フェリーや旅客船、乗り合いの海上タクシー含めた旅程を利用者に知らせ、さらに予約・決済にも対応します。

■嶂南達貴
scheme verge株式会社 代表取締役CEO。
東京大学工学部都市工学科卒後、 ライドシェアや メディアの事業立ち上げに参画。 後同大学院にて内閣府SIP-adusに参加し自動運転の社会受容性を研究。2018年7月にscheme verge株式会社を設立。 瀬戸内のアート旅 を充実させる海陸空のMaaS アプリ 「Horai」 を展開し、国交省「新モビリティサービス推進事業」にも採択。

株式会社Nature Innovation Group(アイカサ)「急な雨に困らない傘のシェアリングサービス」

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代表取締役 丸川照司さん(以下、丸川):弊社は、日本初の傘のシェアリングサービス「アイカサ」を提供しています。具体的には、傘の自動販売機のようなもので、無人販売の機械からレンタル・返却できるサービスです。傘1本1本にICチップを埋め込み、傘の位置情報・利用者を管理しています。

皆さんはこれまで、急な雨に遭うとコンビニで傘を買っていたと思いますが、コンビニのないところでも24時間70円という金額で使えます。都内では、一雨降ると150万人が雨に困り、15万人が傘を買い、日本全国で毎年8000万本の傘が廃棄されているのです。去年の4月頃の京急での採択を皮切りに、現在は駅を中心にサービスを展開し、利用者は10万人を突破しました。傘の表面をスポンサーの媒体にするといった取り組みもしています。

■ 丸川照司
株式会社Nature Innovation Group 代表取締役。日本と台湾のハーフ。日本の大学に進学したが、興味を感じられず中退し、「新興国の勢いをこの目で見たい」とマレーシア大学に留学。車、タクシー、自転車など、さまざまなジャンルでシェアリングビジネスが浸透していることに衝撃を受ける。もともと、「社会のために何かをしたい」という想いがあったことから、傘のシェアリングを事業化しようと思い立つ。


以上、前編では、登壇スタートアップの事業概要についてお伝えしてきた。イベントレポート後編では、創業期から現在にかけての苦労や、取り組んできた工夫といったテーマを中心としたパネルディスカッションの様子を紹介する。

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主催

■ AND ON SHINAGAWA
「デジタル時代のモビリティ×ライフスタイル」を生み出す、オープンイノベーションコミュニティ。「デジタル時代のモビリティ×ライフスタイル」をテーマ領域に、スタートアップ、大企業、VCなどによるイノベーションエコシステムの形成を目指しています。品川駅至近のワークスペースの提供や、ピッチイベントの開催などによるネットワークづくり、起業支援プログラムの提供などを行う。

【「AND ON Startup Garage」のお知らせ】

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AND ON SHINAGAWAでは、起業検討中・直後の方を支援する新たなプログラム「AND ON Startup Garage」を始動しました。

常設型なのでいつでも応募でき、VCとして経験豊富なサムライインキュベートがアイデアのブラッシュアップにも協力します。さらに、応募から1ヶ月後にはピッチ審査を経て、出資判断をします(最大1,000万円)。出資後は1年以内の社会実装を目指して、京急グループが中心となった支援を行います。

クイックにプロダクトを開発して、早くサービスを社会実装させたいスタートアップにオススメのプログラムです。

→書類提出はこちらから。

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