決戦の地は弘前れんが倉庫美術館
高気圧&高気圧。降り注ぐ日差しは午前中からすでに南国のそれでジットリ嫌な汗をかいていた。しかし今日に限っては日差しによるものかプレッシャーによるものか判断がつかなかった。いっそバックれてしまおうか。いや私は責任感のある大人なのだから行かねばならない、とすぐに打ち消す。
H-MOCAライブ「本とお酒と街のこと」今日は「弘前れんが倉庫美術館」で行われるこのトークイベントに出席しなければならないのだ。誰が?私が!見学者じゃなくて登壇者の方で!だ。
人がトークイベントの登壇者を経験するのは全人類で何%なんだろうか?明らかに50%以下だよね?40%?30%?もしかすると20%?とにかく私は今日その何%だかの経験者側に入るのだ。見た目には何も変わらないが、内なる私は大きな変化を遂げる(のか?)
実は自店での自前のトークイベントは経験済みだが、それは店の常連を相手にした完全に内輪のもの。なので例えて言うなら私はまだ素人童貞だったのだ。違うか。
今回は泣く子も黙る弘前れんが倉庫美術館主催のトークイベントなのだ。先日もフランスの権威ある「フランス国外建築賞(AFEX Grand Prix 2021)」のグランプリを受賞したばかり。そんな権威ある美術館になんとなく生きてきた私が足を踏み入れていいのだろうか。普段は訳知り顔でカウンターに立っているが、その実何も考えていないのだ。
やっぱり逃げよう。犯罪者は北に逃げるのがセオリーだ。犯罪者ではないが北に逃げよう。ここも北なのに。(©︎潮騒のメモリー)などと不毛な逡巡を繰り返していたら、もう出発時間。
弘前へは車で行くことにした。せっかく弘前まで行くのなら、行ったことのないブックオフに寄ってディグろうと考えた。(結果、青森市弘前市で4店舗回ったのだが長くなるので割愛)
10数年ぶりに訪れた弘前はとても洗練されていて驚いた。弘前駅前から遊歩道が伸びていて、両サイドにはオシャンティショップが並んでいた。かつて、常連の東京の建築士が弘前を評して「青森県唯一のおしゃれシティ」と言ったが、まさにそれだった。
現在、地元八戸では本八戸駅から新美術館に至る街までの道路が新設されているが、完成ののち現道路をこのようにしたら街が面となって広がって素敵だろうなと思ったが、まあ無理なんだろうな。だって八戸だもん。
夕刻、いよいよイベント開始の時間となった。参加者は関係者含め40名弱とのこと。やれんのか2021夏。
喧々諤々口角泡を飛ばし議論紛糾労使交渉決裂事件迷宮入り!することはもちろんなく穏やかに上品なイベントとなった。私も過度に緊張することもなく普通に喋れたと思う。(内容は別にして)一時間半があっという間だった。八戸だったら二次会トークでみんなでうちの店になだれ込みたかったくらい。ちなみに個人的な裏テーマである津軽弁vs南部弁は人数のハンデがありながらもなんとかドローに持ち込めた。この夜、自分を労い痛飲したことはご想像の通り。
最後に、今回このようなジョルノ的なゴールド・エクスペリエンスを提供してくれた、引田さんはじめ美術館の皆様や同席した「まわりみち文庫」の奈良さんには感謝しかありません。ありがとうございました。
また何かやりましょう。僕らはやっと始まったばかりなのだから。