【メンバー紹介】北欧の大学院に通いながら会社立ち上げ中。合同会社&ante創業メンバー、大滝文一です。
合同会社&ante(以下&ante)は、人と組織の可能性が広がる場を共につくる会社です。原田優香(ゆか)、大滝文一(ぶん)、木村希(のん)の3人で11月末の設立のための準備をしながら、これから様々な角度から事業をつくっていきます。
&anteにどんな人がいるのか・どんな思いを持っているのかを知っていただけるきっかけをつくりたいと考え、これから各メンバーへのインタビューを行い、定期的に思いを綴りお届けします。
今回は第二弾。合同会社&anteの創業メンバーであり現在スウェーデンで大学院生でもある大滝 文一に「会社設立への思い」を語ってもらいました。
聞き手:木村希
記録:原田優香
「『学び』の可能性を広げたい」
(のん)ぶんはスウェーデンに留学してもうすぐ2年だよね。スウェーデンの生活はどんな感じ?
(ぶん)そうだね、今は社会人大学院生をやっているよ。あと半年ちょっとで卒業だ! 大学院では「学習科学」と言われる領域で、フィードバックの研究をしているよ。
(のん)フィードバックの研究かあ。ぶんはなんでその研究をしようと思ったのかと、研究ではどんなフィードバックが良いと言われているの?
(ぶん)進学した大学院でフィードバックについて研究をしている教授に出会ったことがきっかけだね。誰かの仕事や取り組みに対して周りが意見や考えを伝えるフィードバックって学校や会社など色んな所で頻繁に行われているけれど、皆が経験則、手探りでやっているよね。
これまでの研究ではフィードバックをどう効果的に伝えるかとか、主に伝える側や伝える内容に重きが置かれてきたんだけれど、フィードバックって、意外と伝え手が思った通りに伝わってないことも多いよね?
教授と自分の研究ではフィードバックの「受け取る側」に注目しているんだ。受け手の「反応」を中心に置いて前後の一連のコミュニケーションを含めて「フィードバック」と捉え、その中で何が起きているのかを細かく見ていく試みをしているんだよね。
例えば、自分にとって「痛い」、批判的な内容を相手からフィードバックされた時、フィードバックを受けた側はつい「防御的に」なって相手を否定するような反応をしたり、もしくはなんとか自分の正当性を伝えようとして色々と「説明」したりするよね。そうするとフィードバックの中で受け手が取る「反応」の種類がある程度見えてくるわけで、どんな反応をしている時の方が「より良いフィードバック」つまり次に生かすためのより良い学びの機会に繋がっているのか? ということも見えてくる。……と、ちゃんと説明しようとするとそれだけでインタビュー終わっちゃいそうだけど(笑)豊かなフィードバックの可能性を探って定義していくことで、より豊かな学びの可能性に繋がると良いなと思っているよ。
(のん)面白いなあ。大学院の研究についても別でインタビューしよう!(笑)今まではどんな仕事をしてきたの?
(ぶん)大学卒業後、新卒で教育のNPOに入って、表現教育の場作りを丸5年ほどやってきたよ。歌とダンスを通して、参加した人の心を開く教育活動。約3日間で初めましての300人が一緒にショーを創っていくんだけど、その中で自分や周りを信じて一緒に場をつくる。机の上では学べないような生きた学びの場づくりをやってきたんだよね。
(のん)その後に、個人事業主になったんだね。
(ぶん)そうだね。自分が実現したかった留学という夢に向き合った結果、準備のためにNPOを卒業して地元の旭川に戻ってきたから、個人事業主になったのは本当に出会いとタイミングで。生きた学びを提供する「人生の学校」を作りたいなと大学卒業前から思っていたんだけど、旭川に戻って来た時に共通する想いを持っていた人との出会いがあって、意気投合して「世界で学ぶ放課後学校」というコンセプトでアフタースクールを立ち上げることになったんだよね。
(のん)そこから、会社を設立しようと思った理由を教えてください!
(ぶん)きっかけは、個人事業主で活動している時にゆかと出会って、一緒に対話実践ラボという対話を大切にする事業を立ち上げたこと。目指したい世界観、大事にしたい価値観が一緒だったのは大きいね。設立すると決めた一番大きい理由は、ゆかから「一緒に会社を設立したい」という相談をされたこと。素直に嬉しかったのと、個人としてできることの限界もあるなと思っていたところだったからね。僕もNPOの中でたくさんの教育の現場を見てきたけれど、それぞれが素敵な想いをもってやりながらも、それぞれの経験則でやられていることが多くて。その経験則とアカデミックな研究で溜まっていて活かされていない知を繋げられる、社会と接続できるような事業をしたいと思っていた。大学院の活動と並行して、「会社」という個人を超えた枠組みの中で一緒にできることがあると良いなと。実際に両立しようとしてみたらめちゃめちゃ大変だけど(笑)
(のん)ゆかと一緒だったという「目指したい世界観、大事にしたい価値観」はどういうものだったんだろう。
(ぶん)そうだなあ、「持続可能な社会」とか、「本当に大事なものは何か」を立ち止まって考えることかな。例えば「より良く」というけど、「より良い」ってそもそもなんだっけ?とか、答えのないことを深く考えていくような。
(のん)なるほどね。ゆかと一緒の部分もあると思うけど、逆に違うと感じるところはある?
(ぶん)ゆかは、初速や仕事を進めるスピードがめちゃくちゃはやい。わからないことがあればメンバーの会議中でも先方に速攻電話するとか(笑)巻き込み力も半端ないよね。僕はまず考えて、最善は何なのかを見極めてから動く慎重派タイプだから、うかうかしているとゆかはどんどん先に進んでいる感じ。だからこそ、自分にできることもあると思っている。全体の意思決定の質を上げる、とか。
(のん)ゆかはそうだよね。(笑)ちなみに、ぶんから見た私はどんな感じ?
(ぶん)のんは安定しているよね、芯が強いというか、こだわりも3人の中で一番強い。社会や納得できないことに対しての怒りの感情をうまく扱っているよね。怒りに身を滅ぼされる人は多いと感じているのだけど、のんは自分の中に沸いた怒りと健全に向き合いながら行動に移していると思う。
「『アンダンテ』を会社として大切にするってめちゃ大変(笑)」
(のん)それは嬉しい。(笑)こんなメンバーで成り立っている訳だけど、チームで仕事をするにあたって特別に意識していることはあったりする?
(ぶん)自分の特性を優先してしまうと、「そんなこと言ってても進まないよね」という時はある。特に会社立ち上げみたいに色んなやることが山のようにある時は尚更だよね。3人の特性はそれぞれ違うから、&anteとしてじゃあどうしようっていう部分を3人で対話して進められれば良いなって思ったり。この3人だからこそ、考えられる部分がありそう。
(のん)たしかにそうだね。今までのプロセスにおいて、チームで動く上で特に困ったこととか大変だったこととかある?
(ぶん)どうだろう。これから会社が立ち上がる所だから、これからの方がありそうかな。ゆかは代表としての責任感と、猪突猛進な特性を生かして立ち上げをリードしてくれている。自分は今大学院をフルタイムでやっているから、そもそものコミットできる量も限られていて。自分が費やせるエネルギーや時間はゆかほど割けないし、のんも個人事業主として自分の仕事をしているよね。3人の状況がそれぞれ違う中で、お互いがどこまで理解して進めていけるかのすり合わせは大切な気がするなあ。
(のん)このメンバーは常に動いているから、やっていることや住む場所も定期的に変わったりするよね。
(ぶん)大事にしたいところが一致しているからこそ、3人の状況が違うことで諦める理由にはならないかな。ただ言うは易し行うは難しで、&anteの目指すところみたいな組織を作っていくって思った以上に難しいなと思う。余白は大切で、「アンダンテ」という歩くようなはやさという大切なコンセプトを会社として掲げているけれど、皆が全力で走ろうとしているこの資本主義の社会で歩きながら活動していくって、めちゃめちゃ大変。(笑)自分の生活をギリギリまで追い詰めてやり切る、ということが大事なタイミングもあるけどそれは持続可能ではないよね。だからこそ目指す価値はあると思っているからやるんだけどね。
(のん)定期的に振り返っていきたいね。そもそも「歩くようなはやさって何?」っていう。ただただ走っている人よりより多くの物事を考えていかないといけないよね。
(ぶん)わかりやすい数字目標とか、この業界で1位になりますとか、掲げること自体って結構簡単だと思っていて。もちろん達成するのは大変だけど(笑)そういう分かりやすい目標にひた走れば良い時代もあったと思うけど、ポスト資本主義が議論されるようになったり気候変動への対応に世界が追われ始めていたり、世界の色んな枠組みにガタがきているよね。だから「なんでそれが大事なんだっけ?」「その先にある社会は? 世界は?」とかを考えていくことがこれからは大切になると思う。
共通する想いや価値観を持っている人たちはきっといるから、会社として目指すところに共感する仲間を増やしながら活動していけたらいいね。
「今を楽しみながらも自然と先のことを考えられるような世界に」
(のん)&anteとしての世界観でやってみたいこととかある?
(ぶん)自分と社会を問いで繋いでいくことかな。自分ごととして、「何が大事なんだろう?」と対話を続けながら自然体で動いていけるような世界を作ること。想いがある人って結構いるし、誰かをわざと傷つけたりしたいと思ってやっている人はあまりいないと思っていて。だけどそんな想いがある人の「自分の目指す方へ」が強すぎたときに、周りを強く引っ張りすぎて側にいる人たちが疲弊してしまったり。もしくは想いがある人同士のお互い大切にしたい世界観が実は近かったり共通してたりするのに、その手前の目標とかやり方が違うことで、無駄にぶつかったり離れてしまったりすることがある。自分も心当たりはあるけれど、すごく勿体無いことだと思うんだよね。
100年後は自分も含めて今生きている人たちは基本的にみんないなくなっているはずで。そうすると、がんばって自分のために貯めたお金とか、自分のために積み上げた実績とか経歴とか、一見重要そうに見えていたものも「消えて無くなる」訳でさ。今を楽しむことも大切なんだけれど、今を楽しみながら「本当は何が大切なんだっけ? 自分たちより下の世代、子どもたちにどんな価値観や社会を残せてたらいいんだっけ?」ってことにも意識を向けたい。一部の人たちだけじゃなく、今を生きている皆が肩肘張らず、自然と考えて繋がりながら行動できている世界をちょっとずつでも目指せたら良いなと思うよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
心の琴線に触れるものが少しでもあり、共感で繋がることができればこれ以上嬉しいことはありません。このnoteが&anteとのコミュニケーションツールの一つになることを目指して今後も発信を継続していきます。どうぞご期待ください!
\合同会社&ante設立記念トークイベント/
2022年11月30日(水) 20:00-22:00 @zoom
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