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「ウェブサイト 競合比較 レポート」最速作成術

この記事を読んで欲しい方

本記事は、自社またはクライアントのウェブサイトの改善提案に関わっている方を対象に、書かせていただきました。

「ウェブサイト競合比較」とは?

皆さんが「急いで高速バスのチケットを予約しなければならない」という状況になったとします。恐らくGoogleで「高速バス 予約」などで検索して、下記のようなサイトにたどり着くことでしょう。

高速バス予約サイトの例。上記以外にも、高速バス予約ができるサイトは複数あります。

一番左側の「ハイウェイ バス ドットコム」のサイト運営担当者が、こう考えたとします(実際に取材した話ではなく、あくまでも仮定の話です)。「見込み客を『高速バスドットコム』と『高速バスネット』に奪われている。手を打たなければ」

そういう状況下で行われるのが「ウェブサイト競合比較」です。この記事では、「ウェブサイト競合比較」レポートの作成方法を解説させていただきます。

本記事で扱う「比較」の対象

なお、「ウェブサイト競合比較」の「比較」とは何を指すかですが、本記事では、下記の表の一番右側の列に「〇」が付いている要素の比較を前提として、話を進めさせていただきます。

本記事で扱う「比較」の対象

「ウェブサイト競合比較」レポート 作成手順

サンプルテーマ

サンプルテーマ

この記事の冒頭で例として挙げたのは、高速バス予約のウェブサイトでした。高速バスの予約の場合は、ニーズが発生してからコンバージョンまでの時間が、それほど長くはないはずです。

一方、「住宅の購入」「自動車などの高額商品の購入」「保険などの継続的な支払いが発生する商品・サービス」については、高速バスの予約に比べると、「検討する時間」がずっと長くなるはずです。「検討する時間」が長ければ、複数社のウェブサイトを見て、検討する時間が長くなる可能性があります。この記事では、検討期間が比較的長いと考えられる「学資保険」をサンプルテーマとして取り上げます。

「ウェブサイト競合比較」レポート 作成手順

下記のような手順で、「ウェブサイト競合比較レポート」を作成することをおすすめします。

「ウェブサイト競合比較レポート」作成手順

「カスタマー ジャーニー マップ 設定」が出来ていない状態で「競合比較」を始めてしまうと、「どういう観点で何を比較すればいいのか」が分からないという状態に陥ってしまう可能性があります。「カスタマー ジャーニー マップ」の各プロセス毎に競合比較を行うと初めから決めておけば、何を比較すべきかで迷うことは少なくなります。

そのために、競合比較を開始する前に、「カスタマー ジャーニー マップ設定」をしておくことをおすすめします。そして、「カスタマー ジャーニー マップ 設定」を行うためには、先に「ペルソナ設定」が必要です。それぞれ、下記の目的で設定を行います。

「ペルソナ設定」
  
どんなユーザーがサイトを訪れるかを予想して明文化する。
「カスタマー ジャーニー マップ 設定」
  ユーザーがサイト内でどんな行動をするか想定して、図にする。

【ステップ1】ペルソナ設定

学資保険の契約を検討している見込み客のペルソナを設定します。下記が、実際の設定例です。

ペルソナ設定

【ステップ2】カスタマー ジャーニー マップ設定

下記の図のような「カスタマー ジャーニー マップ設定」を設定します。

カスタマー ジャーニー マップ設定

・フェーズ
「学資保険」という言葉を聞いたことはあるが、予備知識が無いユーザーがが、「認知」フェーズを出発して「問い合わせ」フェーズに至るまでの“ジャーニー”を5つの「フェーズ」に分解します。
・ユーザー行動
それぞれのフェーズにおいて、ユーザーがどのような行動をとるかを「ユーザー行動」行に書き込みます。
・ユーザーが知りたいこと
ユーザーがそれぞれのフェーズの「ユーザー行動」を行う際に、ユーザーが知りたいことを「ユーザーが知りたいこと」の行に書き込みます。

【ステップ3】競合選定

対象デバイスの確認

対象デバイス

競合選定の際に、対象デバイスについても、決めておく必要があります。たとえば、クライアントのウェブサイトにおいて、ユーザーの8割超がスマートフォンユーザーであれば、レポート作成の工数削減の観点から、対象をスマートフォンのみに絞るということも検討すべきです。

競合比較の対象となるウェブサイトの確認

必ずしも、競合を全く同じ業種の中からのみ選ぶ必要はありません。たとえば、「ユニクロ」と「無印良品」のように、あるアイテム群については競合しているが(アパレルについては競合)、「無印良品」は「ユニクロ」と全く競合していないアイテムを多数扱ってもいる、といった競合の形もあります。

競合と言えば「スターバックス」と「ブルーボトル」のように想像しやすいものから、「それも競合なのか?」と言えるものまで含まれます。「Netflix」と「Nintendo」は、全く別の業種でありながらも、「ユーザーの娯楽に使える時間を奪い合う」という点では競合しています。「ソニー生命」と「マネックス証券」は、「子供の将来のために、お金を残す」という切り口で見ると、競合していると言えなくもありません。限られた個人の資金を、保険と投資が奪い合う、ということが起きているかも知れないからです。

「限られた時間の中で、何を比較すべきか」をクライアントとレポート作成側は、一緒に検討することが重要です。双方が「競合比較によって、どんな知見が得られれば満足できるのか」という点を、よく確認しておく必要があります。

競合比較の対象となるウェブサイトの一覧
(※このレポートは、このnoteの記事のために新規に作成したサンプルです。弊社の実案件ではありません。)

競合は4~5社選定することをおすすめします。レポート作成側から見て工数的に大変すぎず、また、クライアント側から見て、レポート完成時の満足度を考えると、競合は4~5社がベストだと考えられます。

【ステップ4】競合比較

「カスタマー ジャーニー マップ」の各フェーズ毎に、競合比較を行っていきます。

この記事では、「カスタマー ジャーニー マップ」の
「認知」
「概要理解」
「比較検討」
「絞込み」
「問い合わせ」
の5つのフェーズのうち、「認知」「比較検討」「絞込み」の3つのフェーズについて、具体的なレポートの作成方法を解説させていただきます。

レポート例1:「認知」フェーズ

このパートでは、「認知」フェーズについて、レポートを作成する方法を解説します。

「認知」フェーズ


「認知」フェーズで、ユーザーが知りたいことは?

ここでは「認知」フェーズの中の、

「学資保険」とは?

というユーザーのニーズに対応するコンテンツについて解説させていただきます。具体的には、

初心者向けの「学資保険」説明コンテンツ

についての比較を行います。

実際にレポートを作ると、下記のようなイメージになります。

初心者向けの「学資保険」説明コンテンツ 比較レポートサンプル(※このレポートは、このnoteの記事のために新規に作成したサンプルです。弊社の実案件ではありません。)

クライアントのサイトには、初心者向けの「学資保険」説明コンテンツが用意されているので、競合と比較して劣っていることはありません。競合を含めた6社の中で、学資保険TOPのファーストビューに「初心者向けコンテンツへの導線」が用意されているのはクライアントのサイトだけであり、最も分かりやすい状態になっていると言えます。

このように、クライアントのサイトに課題が見られない場合でも、競合サイトに「取り入れた方がよい要素、切り口」があれば、それをレポートとして報告する必要があります。ここでは、N生命が初心者向けに動画コンテンツを使っている点が報告すべき対象となります。

動画の活用を提案
(※このレポートは、このnoteの記事のために新規に作成したサンプルです。弊社の実案件ではありません。)

「クライアントのウェブサイトに無い要素」で、有効と思われる要素があれば、上記のように、報告します。

このようにして、「カスタマー ジャーニー マップ」の各フェーズの「ユーザーが知りたいこと」に関して、各社がどのようなコンテンツを用意しているのか、あるいは、コンテンツを用意していないのか、ということを確認して、レポートを作成します。

同様に、「比較検討」フェーズと「絞込み」フェーズについても、実際のレポート作成例を見ていただきます。

レポート例2:「比較検討」フェーズ

このパートでは、「比較検討」フェーズについて、レポートを作成する方法を解説します。

「比較検討」フェーズ
「比較検討」フェーズで、ユーザーが知りたいことは?

「カスタマー ジャーニー マップ」で「比較検討」フェーズに進んだユーザーは、学資保険の「返戻率(へんれいりつ)(受取率)」に関心を持っている可能性が高いと考えられます。「返戻率」とは、保険の払込保険料総額に対して、総額どのくらい受け取れるのかを表したものです。 「返戻率」が高いほど、払込保険料総額に対して、受け取ることが出来る金額が高くなります。「受取総額÷払込保険料総額×100」という計算式となります。

学資保険TOPにおける「返戻率(へんれいりつ)(受取率)」の見せ方
(※このレポートは、このnoteの記事のために新規に作成したサンプルです。弊社の実案件ではありません。)

上記のようなレポートを実際に作ってみたところ、学資保険TOPにおける「返戻率」の見せ方は、どのサイトもほぼ横並びでした。

しかし、N生命は下記のレポート例にあるように、「具体的で分かりやすい」という印象を与えるための工夫がされていたので、レポートで報告する必要があります。

N生命の「返戻率」の見せ方
(※このレポートは、このnoteの記事のために新規に作成したサンプルです。弊社の実案件ではありません。)

競合の方が「情報の見せ方が上手い」という状況になっている場合は、上記のように、「なぜ、具体的で分かりやすい印象を与えているのか」をレポートで報告する必要があります。ちなみにN生命の方は、「返戻率」の読み方(=「へんれいりつ」)も書いてあって、ほんの僅かな違いではありますが、親切な印象を与えている可能性があります。

レポート例3:「絞込み」フェーズ

このパートでは、「絞込み」フェーズについて、レポートを作成する方法を解説します。

「絞込み」フェーズ
「絞込み」フェーズで、ユーザーが知りたいことは?

「競合比較」フェーズまでで、一通り「学資保険」の比較が終わったら、次は、「問い合わせてみる」「保険会社の話しを聞いてみる」という段階に入ります。しかし、学資保険の契約は今回が初めてというユーザーの場合、「各社とも、それなりに良さそう」「各社とも、大きな違いはなさそう」など、「絞り込むのが難しい」という状況になる場合も多いと予想されます。

「なかなか決められないが、6社全部に問い合わせるのも大変」となった場合に、「絞り込む」ことが必要になります。その時にユーザーが参考にするコンテンツの一つとして考えられるのが、「選ばれる理由」のコンテンツです。

「選ばれる理由」の比較(※このレポートは、このnoteの記事のために新規に作成したサンプルです。弊社の実案件ではありません。)

「選ばれる理由」について比較したところ、クライアントのサイトが最も分かりやすいという結果でした。「クライアントのサイトが、最も優れており、改善の必要性が無い」という場合も、そのことをレポートで報告します。

「よくあるご質問(FAQ)」の競合比較

「ウェブサイト競合比較」レポートの作成時に最も重要なのは、

「競合の優れた点を見落とさない」

ことです。「見落とし」を少なくするためには「カスタマー ジャーニー マップ」設定時に、「ユーザーが知りたいと思う項目」「ユーザーが悩む可能性がある項目」をできるだけたくさん拾い上げる必要があります。しかしこの作業は、白紙の状態から自力で行うには限界があります。

そこで、おすすめしたいのが、「よくあるご質問(FAQ)」の競合比較です。

FAQ 質問項目の有無の比較

上記のように「『自社にない』かつ『他社にある』」項目を整理することで、「ユーザーが知りたいと思う項目」「ユーザーが悩む可能性がある項目」の見落としを防ぐことが出来ます。

本記事でご紹介する、「ウェブサイト競合比較レポート」の作成例は以上となります。

まとめ

ウェブサイトの競合比較を行うことは、「競合サイトの担当者の“目”」を通して、自社サイトを訪れるユーザーを捉え直すことになります。ウェブサイトの改善に行き詰った時に、突破口を開いてくれるのが、「ウェブサイトの競合比較」であると言えます。

「ウェブサイトの競合比較」は、ツールを新たに導入したりする必要はなく、社内で十分内製化できる作業です。ただ、人手が足りないといった状況もあるかと思いますので、弊社にお気軽にご相談ください。
ご相談、お問い合わせは、下記の弊社サイトのお問い合わせフォームよりお願いいたします。

and,a株式会社 公式サイト

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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