清水エスパルスはPENETRATEできたのか ~2021年をデータで振り返ろう 前編~
こんにちは。あんどう(@and0432)です。
2021シーズンのJリーグの全日程が終了しました。ラスト3戦の劇的な3連勝で、最終節にして見事残留を決めた我が清水エスパルス。
コロナ禍の影響で全20チーム38試合という特殊なシーズンの中、スローガン「PENETRATE」を掲げ、名将ロティーナを招聘し、過去に類を観ないほどの大型補強を敢行しました。今年こそは、と期待に胸膨らませたシーズンでしたが、蓋を開けてみれば勝ちきれない試合も多く、3年連続シーズン中の監督解任の上、またもや残留争い。こんなはずじゃなかった!と思ってるのは僕だけじゃないはず。
社長を変えても、GMを変えても、エンブレムを変えても、監督を変えても、選手を変えても、このクラブに待っているのは同じ結末。一体何故なのでしょうか。
そこで今回は、今シーズンの軌跡をデータでまとめ、個人的な備忘録も兼ねて2021年がどんなシーズンだったかを振り返りたいと思います。
サッカー戦術的な事は専門の人がいると思うので、今回は数値として残っている項目に着目し、僕なりの視点でつづれればと思います。
と、データを色々まとめてたら量が膨大になったので、前後編の2回に分けます。
先に断っておくけど、だらだらと長いだけで大したこと書いてないからね!
!!!!!注意事項!!!!!
以下の内容は、私個人が趣味の範疇でまとめたものであり、記載内容の是非やデータの正誤については一切の責任を負いません。個人の見解を好き勝手つらつら書いているだけですし、手集計につき、絶対どこか間違っているので。
以上をご理解頂けた方のみ、ご覧いただけますと幸いです。
2021年の清水エスパルスはPENETRATEできた(突き破れた)のか。振り返っていきましょう!
順位表を振り返ろう
まずは今シーズンの順位表を確認しましょう。
38試合10勝12分16敗の勝ち点42。最終的には柏まで抜いて14位でシーズンを終了。最終節まで残留争いをしつつ、最後に順位を上げてフィニッシュするという、近年お馴染みのスタイルで今年も終えました。清水エスパルスってすげぇよな。最後までドキドキたっぷりだもん。
ちなみに過去10年分の順位の推移はこんな感じ。
ゴトビ体制の終焉と共に急降下、2015年にはついに降格を経験。小林体制で劇的なJ1昇格を果たし、2018年には北川ドウグラスの活躍もあり8位まで躍進。その後、方向が安定せず悪化の一途を辿っていましたが、今季は最終的に昨季より2つ順位を上げ、14位となりました。
こうして改めて順位の推移見ると、乱高下が激しいのが分かります。複数年間、同じ体制(方針)を継続することが出来ず、監督がコロコロ変わることで、戦い方が安定してないことが原因でしょうか?
過去10年間の勝ち点推移を示したグラフが下記。
※2016年はJ2なので除く、2021年は38節分を34節分に換算しています。
勝点の積み重ねとしては、残留した年と概ね同程度の推移です。多少の増減はあれど、おおよそ「試合数=勝ち点」の推移に乗っていたように見受けられます。
今シーズンの清水の特徴の一つとして、連勝が少なく、大きな連敗が少ないことが挙げられます。
今季の連勝は1回のみ、最後の3試合だけでした。中位に進出したシーズン(2012,2013,2018年)で連勝が多くあることから考えると、上位進出には、波に乗る力(自分たちで波に乗せていく力)が必要なのかなぁと感じます。
逆に連敗に関しては、2連敗が2回(7,8節&14,15節)、3連敗が1回(32~34節)と、近年で見ると少ない傾向にあります。(※注:鍛えられた清水サポの意見です)
大崩れはしないものの、爆発も少ない。粘り強く(だらだらと)勝ち点を重ねたシーズン、といったところでしょうか。連敗は無いにせよ、「波に乗れない」ことも、選手のメンタル的には辛いものがあったと推察します。
…にしても、去年の戦績は伝説だな。
ユニフォームは2020年が過去一で好きです。
残留するには負けないことが大事、という話
そんなの分かってるよ!という感じですが。
今シーズンのJ1各チームの勝敗比率をグラフにするとこんな感じ。
今季の清水は比較的引き分けの多いシーズンでした。38試合のうち12試合が引き分け。リーグ4位タイの多さです。
敗戦数は16試合。これは中位のチーム(東京,札幌,セレッソなど)と比較しても同程度の数値です。逆に降格した4チームと見比べてみると、敗戦数が少ないことが分かります。
以上のことから、今季は敗戦数が少ないこと(引き分けに出来たこと)が残留できた要因とも言えそうです。まぁ逆を言えば、勝ち切る力がなかったことで残留争いをした、とも言えますが…。
下のグラフは、今季のJ1各チームの先制/被先制の比率を示したものです。
上位のチームはやはり先制点を多く上げていることが分かります。一方で、多少の個性はあれど、中位(福岡)から下位(大分まで)はそんなに大きく比率が変わっていないように見受けられます。
上位のチームはさておき、中位~下位では、先制できる/先制されるまでは各チーム【そこまで】大きく差異はなく、その後の試合運びで明暗が分かれているように感じます。
以上を踏まえたうえで、先制した場合の各チームの勝敗結果が下図のような形。
※「先制点」→「勝敗」で集計。「逆転された後の同点弾」のようなパターンは見てません。
先制点を挙げながら、追いつかれた試合数が広島と並んでリーグ1位の7試合。幸先よく先制するも勝ちきれない試合が多くあり、勝ち点を落としていたことが分かります。ただ、そんな中でも逆転負けは1度のみ(3節セレッソ戦)。
先制後に追いつかれる試合が多く勝ち点をこぼしたので残留争いに巻き込まれた、とも言えそうですし、追いつかれはしたもの逆転まではさせずに勝ち点を拾った(それで残留できた)、という見方もできるかなぁと思います。
この引き分けの7試合のうち、1試合でも2試合でも勝てていたら、もう少し楽なシーズンになったかもしれません。言うまでもありませんが、来季さらに上位に行くためには、先制した試合できっちりと勝ち切ることが鍵になるのではないでしょうか。
個人的に勝ち切るべきだったと思う試合の一つ。
ここから何かが狂いだした気がする。2019年と同様、流石のサロモンソン。
逆に、先制された場合の各チームの勝敗結果は下図のような形。
※「被先制」→「勝敗」で集計。「逆転した後の被弾」のようなパターンは見てません。
清水より上位のクラブを見ると、やはり先制されてる数が少ないですね。当たり前のことですが、被先制試合をいかに減らせるかが大切なのが分かります。
被先制後の勝敗を見ていきましょう。着目すべきは降格した4チーム。今季先制された試合で勝つこと(逆転勝利)はありませんでした。そんな中で、清水は先制された20試合のうち、2度の逆転勝ち(開幕戦と最終戦)を収めています。残留したチームを見ても、ほぼすべてのチームで逆転勝ちを経験していることが分かります。(名古屋だけ逆転勝ちなしだが、そもそも被先制の試合が川崎と並んで最小)
以上の結果(だけ)から述べると、
① まずは先制される試合を減らすこと
② 先制されたときにいかに勝ち点をもぎ取れるか(逆転する力があるか)
が、残留を手繰り寄せるファクターなのかもしれません。
とまぁデータ並べてみたけど、容易に想像つくことばっかだな…。
今季の最重要課題
皆さんは今季の清水の最重要課題ってなんだったと思いますか?
…え、いっぱいありすぎるって?
僕は、2年連続最多失点の「守備組織の立て直し(守備組織の構築)」が最重要課題だと思ってました。その認識の方が大半だったんじゃないかと思いますし、クラブもそう考えていたはず。そんな中で、Jリーグで守備に定評のあるロティーナ白羽の矢をたてたことは至極当然の流れだったと思ってます。(それで本当に招聘できるとは、大熊さんには脱帽でした)
そんな中で、今季のチームの得失点がどうだったかを振り返っていきたいと思います。
縦軸を得点数、横軸を失点数で表示
→グラフの左上に行くほど強い(得点が多く失点が少ない)
→グラフの右下に行くほど弱い(得点が少なく、失点が多い)
今季の清水は、得点数37点、失点数54点の得失点差-17でした。2年連続最多失点でしたが、今季は下から6位の結果。だいぶ失点は減らしたぞ。解任こそされましたが、流石ロティーナというべきでしょうか。よしよし。
無論、褒められた成績ではありませんが、失点が減っただけでも1つのミッション達成だと個人的には思ってます。
にしても、湘南の割り切り方はすごいな…。
同じグラフで、清水の過去10年分の得失点分布は下記のような感じ。
※2016年はJ2なので除く、2021年は38試合分を34試合分に換算しています。
ロティーナを招聘し、2019,2020年と2年連続最多失点だった守備を立て直したら、なんと得点数が過去10年で最低水準になってしまいました。なんてこった。
点は取れてるから、あとは守備の改善だと考えていたのに、守備を改善したら点が取れなくなっていました。サッカーは攻守一帯のスポーツですが、こうも両立できぬとは。非常に難しい問題です。クラモフティーナみたいな人がいれば何とかなるのかな…?(錯乱)
それか、いっそロティーナが点を取れば解決なのでは?(名案)
上位進出のためには、最低限今シーズン以上の守備レベルを保ちつつ、得点力UPを狙わなければならない。この非常に難しいミッションを果たすために、来期以降どうしていけば良いのでしょうか。
前編まとめ
とりあえず、データ並べてみて分かったことは下記です。
・連勝が少ないシーズンであった。また、近年の中では大きな連敗が少ないシーズンであった。
・引き分けが多いシーズンであった。先制するも追いつかれてのドローがリーグ内最多であった。より上位に行くためには、先制した試合で勝ち切る力が必要。
・失点数は例年から減少。しかし、守備に奔走した結果からか得点が過去10年で最低水準になってしまった。
…うーん、データ並べなくてもなんとなく感じていた通りの結果ですな。
大した考察もできてきませんが、前編はここまで。
後編では、「得失点の傾向」と「選手起用」について振り返り、「来季以降どうするか」について考えてきたい(余力があれば)と思います。
それでは!
(このまま投稿が途切れませんように…。)