<家庭医、総合診療医、救急医のための整形外科的トレーニング>症例22 17F 指痛
はじめに
このnote記事は「フローチャート整形外科診断」を書き散らかしたふじたつが、外来で経験した典型的な症例を用いて、恐れ多くも家庭医、総合診療医、救急医のためにトレーニング形式でそのノウハウをシェアする場です。読者の方々と一緒に研鑽を積めたら嬉しいです。
アンカークリニック船堀では短期〜長期の整形外科外来研修を受け入れしています。興味ある医師の方はご一報ください!
◆ご覧いただきたい方
整形外科診療に携わるプライマリケア医
救急外来でWalk in症例を診る初期研修医
卒後3年目の駆け出し整形外科医
※3次救急というよりは地域の1次2次救急外来やER、クリニックなどを想定しています
※上記以外の専門医の方も「Advanced」の項目は是非見てみてください
◆解決する課題感
「肩痛や腰痛の患者さんを診る時にどのように対応してよいかわからない」
「膝痛を訴える患者さんで見逃しちゃいけない疾患はなんだろう」
などなど
このような課題を解決するために、冒頭紹介した書籍「フローチャート整形外科診断」に加え、本記事で追加の症例解説をしていきます!
なので、熟練の整形外科医にとっては当たり前の内容かと思いますが、
ただただ、わかりやすさを追求し、たとえ初めて整形外科疾患を診る医師でも「できる」内容として記載するように努めています!
ぜひこれから一緒に学べたら嬉しいです!
より短時間で確認したい方はこちら!
以下会話形式での解説です!
◆登場人物
[症例22] 17歳女性 右環指痛
2日前にバスケ練習中に、右環指にボールがあたった。今日になっても痛みが続き、腫れているため夕方救急外来を受診した。
R:いわゆる突き指ですね。マレットで。
O:他には?
R:えーっと
R:まずは外傷ですね。
O:ok。フローにそっていこう。
R:傷はなさそうです。
O:いいね。
R:はい。指だから右に進むと。
O:ok。そしたら鑑別はこんな感じかな。
O:病歴はどう?
R:バスケ練習中にパスカットにいって、過伸展したとのことです。
O:いいね。過伸展損傷かな。そしたら痛みはPIP掌側にある?。
R:そうですね。皮下血腫もありました。
O:疼痛部位からするとマレットはなさそうかな。次は検査だね。
R:まずは単純X線検査ですね。
O:あ、側面忘れないようにね。
R:なんでですか?
O:掌側板損傷に伴って中節骨の裂離骨折があるかもしれないんだ。正面斜位だと見逃しも多いから側面必ず撮るようにね。
R:なるほど!
R:裂離骨折は、、、なさそうです。
O:そうだね。そしたら超音波で軟部組織評価にいこう
R:わかりました!
R:掌側板肥厚しているように見えますが、超音波でも裂離骨折はなさそうです。
O:いいね、その通り。
R:治療はNSAIDs、安静ですか?
O:なんでもNSAIDs入れりゃいいってもんじゃないよ。
R:すません。
O:いや入れるんだけどねw
R:やっぱ使うんじゃないですか!
O:大事なのは固定だよ。固定。
R:アルフェンスですね!
O:buddy tapeでよいよ。
R:あ、そうなんですね。運動許可も聞かれそうですが、どうしたらいいですか?
O:僕はbuddy tapingの上、痛みの範囲内で運動許可しているよ。文献的には質の高いエビデンスはないけれど、早期ROMokとしているものもある。ただ痛みに応じてかな。
R:わかりました!
▶︎Advanced もし自分が外来で診るなら〜PIP関節過伸展損傷〜
保存治療が基本だが、文献は不十分で固定方法、期間などの推奨はない。いくつかの文献では固定はバディテーピングで十分とされ、早期ROMも痛みに応じて許容される。固定期間は1-3週間という報告がある。
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