読んだ本①「数値化の鬼」
読んだ本の簡単なまとめ
リーダーの仮面を書いた識学の安藤広大さんの本。題名の通り、物事を数値化することによって「仕事ができる人」になるための考え方が書かれた本。基本的には数値化することの重要性やそれを仕事の中にどう取り組んでいくか(PDCA、KPIなど含む)、そして識学の考え方も含めた組織マネジメントの考え方をタイトルの数値化と紐づけて書いている。
学んだこと(3つ以内)
・数字は不足を見るためのもの
数字化することの意味はある到達点に対する達成度や図るもの。数字にしないと仕事に対していくらでも言い訳ができてしまう。自分の仕事の成果、成長度合いを数値化すれば「不足」を埋めていくアクションがとれる。
・最初は行動量と記録が重要
まずは行動を数値化しないといけない。考えも行動しないと意味がないし、行動の量がないとその推移や変化に気づくことはできない。最初からすべての行動の意味を徹底的に考えると行動ができなくなる。まったく意味のない行動をやるのはもちろんダメだが、意味は遅れて理解できるという考えも重要。
・長期を評価に加える
人間は短期を重要視するようにできている。それを無理やり長期思考にするには長期成果を評価に加え、無理やり長期思考にすること。例えば数年後に効果が出る経費削減システムを導入する場合、導入・構築は短い成果ではあるがそれだけを評価してしまうと導入することがその人の目的になってしまう。そうではなく、効果が数年後に出るのであればその時に評価をするということが重要。そうすれば長期視点で考えられるようになる。
・その他
・数値化するときはチームあっての個人ということに気を付ける
・変数に気づけるようになる
・変数を減らす
・分けることが重要
”個人的な”感想と考え
学びの量 ★★★★☆ 4
面白さ ★★★☆☆ 3
わかりやすさ ★★★☆☆ 3
(この本によるとこの評価方法も感覚的で数値化できていないが、自分の不足を示すものではないので客観的な数値化はしない)
この本の前にKPIマネジメントとリーダーの仮面を読んでおり、自己啓発本に書かれているものも多いため、★が少なくなったがそれらがなければ★5になったかもしれない。
この著者の本を読むと個人の仕事へのモチベーションを上げることが会社にとってどんな意味があるのかを考えさせられる。モチベーションが上がったから業績が上がった、モチベーションをあげよう、は間違いだと書かれているため。ただ以前読んだ「OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める」という本では職場風土と業績は相関関係があると示されていた。では識学の考え方のどこにもモチベーションはないのかと考えるとそうでもない気がする。
識学の考え方をしっかり理解できているかわからないが、根底に正しい方法をとれば全てのものは進捗するという考え方がある気がする。例えば正しい方法をとれば個人は成長するし、結果として成果は上がるし、それは企業業績につながる。これらは実はモチベーションを上げる方法だと一般的に言われている方法になる。
ではなぜモチベーションを否定するような言い方に見えるのか。おそらく「個人のモチベーションを上げること」と「企業の安定的な業績が必ずしも等価ではないからだと思った。
例えばモチベーションを上げるために何もできてなくてもとりあえず褒めておく、インセンティブで個人直結のモチベーションを引き出す、これらは確かに企業の安定的な業績向上に寄与しない。だからモチベーションを上げることを目的化せず、モチベーションを上げることはプロセスの中の一つの働きであって、その人間の仕組みも利用するだけとする。
またモチベーションを上げることは与える方、与えられる方の両方の人間性など個人の特性に偏るために安定性がないし、仕組化ができない。そのため長期で考えるとこれに頼るのは問題だというのも理解できる。
企業にはカリスマ経営者によってたまに最大風速がでるときがあると思う。例えば現在のワークマンなどがそれにあたる気がする(よくは知らないが)。あれは点数としては120点が出ている状態であれを維持し続けるのは人に依存しすぎるし確かに難しい。それに対して識学は70~80点を常に出し続けることを目的にしているように見える。自分がカリスマでないと思うのであれば従うべきは後者だろうと思う。
ただ、本を読んだ後にその会社で働きたくなったかといえばそうではないので、そのあたりに簡単に真似ができない理由が潜んでいる気がする。長くなったのでまた今度機会があったら考察しよう。