
【まっぱだか】1週間車中泊からベッドに辿り着いた話④
監督・主演作『1人のダンス』が元町映画館で1週間限定公開された2019年8月31日~9月6日。僕、安楽涼はお金もないので1週間車中泊をしながら舞台挨拶をしました。その時の元町での7日間のお話。ベッドで眠れる日が来るまでのお話。4日目。
2019年9月3日。またもや夏の朝日に炙り起こされる。車外へ脱出。服を脱いで車の上に干す。ルーティンが出来てしまった。まずは元町映画館へ行って携帯を充電しながらスタッフの髙橋さんと林さんに励ましてもらう。朝の他映画の上映回が終わって、帰っていくお客さんにチラシを配ってみる。まずは東京でもやってきた事から。朝は年配の方が多かった。立ち止まって朝から大変だねぇなんて声を掛けて貰う。「行けたら行くね」と言って貰う。地道にやってくしかない。Twitterで宣伝をしたりしながら時間を潰してまた上映が終わる頃に戻ってきてチラシ配り。
ダイさんに薦められた、とんかつ太郎さんへ。マジかよ。美味すぎんだろ。一度食べてみて欲しい。こんな美味いとんかつは初めて。その後、勇気を振り絞り店主の方に話しかける。映画のチラシを渡してみる。「行きたいんだけど、店の営業あるから」との事だったが、興味は示して貰えた。30分くらい全然関係ない話まで発展して、ここら辺の飲み屋の話とかを聞かせてくれてお茶を出してくれた。楽しいひと時。ちなみにこのお店には『まっぱだか』ロケ中に皆んなでご飯を食べにきた。何度でも言うけど激ウマです。
そして、喫茶ポエムへ。甘党なので気になってミルク珈琲を頼んでみる。これまた美味い。ポエムの居心地が良すぎて、いつの間にか寝てしまった・・・仮眠がとれてしまった。後日聞いた事だけど、店主山﨑さんと店員のお姉さん達は気づいたけど、そっとしといてくれたそうだ。この日の帰り、『1人のダンス』見に行きたいと言って貰えた。
そして4日目の上映を迎える。レディースデイどうだ!と元町映画館の皆さんも一緒になってお客さんを待つ。
圧倒的に男性が多かった。昨日と全く同じ人数の一桁であった。今日も元町映画館スタッフの石田涼さん(以降りょーちん)が司会に立ってくれる。よし、舞台挨拶頑張るぞと。まずはお客さんと同じ空気を吸って舞台上に立とうと思い、自分の映画を真剣に見た。この映画のラストカットを見ると僕は未だに泣いてしまう。
りょーちんにも「何か質問して」って事前にお願いし、お客さんに質問も聞いてみた。手を上げてくれる方が居た。嬉しかった。いつも勝手に話して、質問は貰えないパターンが多かったから。帰りのロビーでも映画の事を沢山聞いてくれるお客さんが居た。うおお。なんか俺お客さんとちゃんと話せてるかもしれない。充実した4日目だった。
その後はANCHORへ。今日はガラガラ。マスターのダイさんに今日の事を話したら「調子乗るなよ」と。もう地元の先輩みたいな関係だ。「あんぼー他連れてったるわ」と言い店を早めに閉めて三宮に連れ出してくれた。2日目に会った同級生が働くBARへ。
同級生と昔話に浸っていると、ダイさんのお知り合いのバーテンダーの方々が来店してきた。年配の方から若い人まで7、8人程度。ここら辺の重鎮の方が居るらしい。ダイさんに「行くで」と言われ、その飲みの席に同席する。酒の飲むスピードがエゲツない。置いてかれないよう飲み続け、映画の話をして皆さんにチラシを渡す。朝5時になりベロベロで店を出る。まだまだ元気な皆さんと誰よりもはしゃいでるダイさん。まさかのもう1軒行くとなり怖気ついていたらダイさんがきて「今日は帰りや」と。散々世話になってるのにお酒代まで奢って貰った。当時は映画借金があったのでクソほど助かった。
もう日も上がってきてる中、コインパーキングへ。もう慣れた手つきで車中泊へ。しかし、1時間後には朝日が襲ってくる時間だ。ベロベロになりながらも少し窓を開けて、眠りについた。あれ?もうすっかり明るいな。
続く
『まっぱだか』
2021年/日本/99分
監督・脚本・編集:安楽涼、片山享
出演:柳谷一成、津田晴香、安楽涼、片山享、タケザキダイスケ、大須みづほ 他
8月21日(土)より元町映画館、9月10日(金)より京都みなみ会館、
9月11日(土)より、大阪シネ・ヌーヴォにて京阪神先行ロードショー。
https://mappadakacinema.wixsite.com/mappadaka
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