【まっぱだか】1週間車中泊からベッドに辿り着いた話③
監督・主演作『1人のダンス』が元町映画館で1週間限定公開された2019年8月31日~9月6日。僕、安楽涼はお金もないので1週間車中泊をしながら舞台挨拶をしました。その時の元町での7日間のお話。ベッドで眠れる日が来るまでのお話。3日目。
2019年9月2日。相変わらず夏の太陽は恐ろしい。炙られるか如く車内で目が覚める。昨日同様に車外へ脱出。汗で濡れきったTシャツを絞って、車の上に干す。まだ眠い。我慢して寝た。そして東京にかえる前に片山享さんが起こしに来た。知らぬ間に写真を撮られまくった。片山さんと少し話してお別れ。ありがとう片山さん。『まっぱだか』は共同監督作。
ついに1人になった。考えてみれば、この二日間全然自分から人に話しかけていない。怖気ついて、しばらく駐車場付近をふらふらした。とりあえず元町映画館へ。涼しくて少しゆっくりとした。元町映画館の酒見さん髙橋さん達と話す。酒見さんはお坊さんでもあるらしい。謎だ。髙橋さんは毎日日報のメールをくれる方でもある。毎日一言優しい言葉を添えて送ってくれる。携帯の充電をさせて貰って。まずはモーニングへ。
はた珈琲店さんへ。朝はパン!思い、シュガートーストと珈琲を注文。この街はまじで全食事美味いんじゃないの!?なんて思いながら大満足。いざ、店主さんに話しかけよう!と思ったものの、勇気が出なくて声を掛けれず退店。美味しかったのに・・・片山さんのパクりで ♯1人のグルメ というハッシュタグがここで誕生した。話しかけられなかったから、せめても「ここにいるぞ」っていうアピール。
1人じゃ全然ダメな自分に気づいてしまった。20歳の頃、愛想が悪すぎたのかバイトの面接15か所連続で落ちた事がある。す○家とかの大手チェーンの軒並み落ちた。そう、僕は知らない人と話すのがめっぽう苦手だ。次に行く足取りが重くなった。東京の友人DEGとかに「大変だ」みたいなラインをしながらフラフラと。お店に入ろうとしては悩んで辞めて。ウロチョロしていた。涼む為にゲームセンターへ入ってみる。UFOキャッチャーがあったので、やってみた。まさかの取れちゃった。ハンディカメラ。
映画館スタッフの石田涼さん(以降りょーちん)に誘って貰って、公開を控える『みぽりん』のイベントを見に三宮のBLUEPORTへ。入ると凄い沢山の人でびっくり。唖然としてチマチマ酒を飲んでたら、りょーちんが宣伝しなよと皆の前に上げてくれた。ビビりすぎて何言ったか覚えてない。ただお客さんも『みぽりん』の皆さんも優しかった。ちなみにここで『まっぱだか』の主演の津田晴香さんと神戸では初めて会った。BLUEPORTもロケ地としても使わせて貰って、スタッフの皆さんも出て貰った。店主の川内さんは主題歌まで歌って貰ってる。ここまで繋がるなんて。
そんなこんなで3日目の上映時間を迎えた。この3日で会った人がまた来てくれた。月曜の夜はお客さん減るとは聞いてたけどガクッと減った。一桁になってしまった。少し落ち込みながらいたんですが、上映終わりに凄く嬉しい感想を伝えてくれる方がいて、元気を貰った。人数じゃないよな。1人1人が楽しんでもらえたらな。なんて思った1人の3日目。でも毎日元町映画館の石田涼さんは舞台挨拶に付き合ってくれる。恥じないようにしよう。
この日も勿論飲みにANCHORへ。地元の人達が沢山飲んでた。紛れられるか不安だった。でも、マスターのタケザキダイスケさんが色んな人を紹介してくれて、皆とインスタを交換した。店内のお客さんも減り、ダイさんに自分のこれからについて相談した。映画のお客さんが少ないのであれば、来て貰った人により楽しんで帰って貰おう思い。「どうやったら舞台挨拶って面白くなるんですかね?」と関係ないダイさんに聞いみた。答えは「映画監督っていう、そのカッコイイ感じ辞めたらええねん。舞台上から降りて話すくらいの気持ちでやったらええねん。人と人やから。お客さんに質問とかもして貰えたらおもしろいんちゃうん?」的な事でした。そんなつもりは無かったけど、言われてみれば壇上に僕は立ってるんだなぁと思った。夜な夜なダイさんに人に話しかけるコツとかを聴いた。よし、明日から仕切り直しで1人でやるぞと店を後にした。
今日も夜は暑い。そろそろ車内が汗臭い気がした。パイセン片山からラインが来てる。やたらと心配してくれる。そして寝る。毎日朝のあの暑さを迎えるのが怖い。こえー。
続く
『まっぱだか』
2021年/日本/99分
監督・脚本・編集:安楽涼、片山享
出演:柳谷一成、津田晴香、安楽涼、片山享、タケザキダイスケ、大須みづほ 他
8月21日(土)より元町映画館、9月10日(金)より京都みなみ会館、
9月11日(土)より、大阪シネ・ヌーヴォにて京阪神先行ロードショー。
https://mappadakacinema.wixsite.com/mappadaka
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