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罪悪感の行き先:サクラバイトの報酬を保護猫支援へ
こんにちは。
前回の記事で少し触れたが、私はかつてマッチングアプリのサクラバイトをしていた。この仕事を始めたときは、「楽して稼げる」「自分には関係ない」なんて軽い気持ちだった。まさか後になって、こんな懺悔の記事を書くことになるとは思ってもみなかった。
サクラバイトの闇
サクラバイトの内容は、以前書いた記事を参照して欲しい。詳しい内容は、ここでは伏せておく。
正直に告白すると、最初のうちは「これって、まるでゲームのNPCになったみたいだな」なんて気楽に考えていた。だって、画面の向こうの相手は見えないし、やることは決められた通りなのだから。でも、それは大きな間違いだった。
良心の呵責に気づくとき
変化は徐々に訪れた。相手からのメッセージには、画面越しでも人間味が溢れていたのだ。
「今日は仕事で大変だったけど、あなたからのメッセージで元気が出た」
「休日は何をして過ごすの?良かったら、一緒に出かけられたらいいな」
「こんな素敵な人と出会えて、本当に運が良かった」
一通一通のメッセージには、相手の思いが込められていた。出会いを求める気持ち、誰かと繋がりたいという願い、そして何より、私(のキャラクター)に対する純粋な好意。
特に心に残っているのは、ある40代の男性からのメッセージだ。
「実は、婚活って何度も挫折してきたんです。でも、あなたとの出会いで、もう一度頑張ってみようって思えました」
このメッセージを読んだとき、胃が重くなる感覚を覚えた。彼の人生の一部に、偽りの希望を植え付けてしまっている。この罪の重さは、想像以上に大きかった。
罪悪感との日々
夜、布団に入ってもモヤモヤしてよく眠れない日が増えた。スマホの通知音が鳴るたびに、「また誰かを騙すことになる」と胸が締め付けられた。
報酬が振り込まれる日は特に辛かった。
振込通知を見るたびに、「これは人の純粋な気持ちを踏みにじった代償だ」という思いが込み上げてくる。
まるで、お金が呪われているかのようだった。
ある日、夫が私を見て「最近、元気がないけど大丈夫?」と心配そうに声をかけてきた。
その言葉で、自分がどれだけ精神的に追い詰められていたか気づいた。
実はサクラのバイトをやっていたことは夫に言えていない。夫に隠し事をするのは良くないと思っている。お金のためとはいえ後ろめたいことでもあるし。
贖罪への道
結局、サクラバイトを続けることはできなかった。しかし、それを辞めても罪悪感は消えない。
むしろ、「逃げ出しただけじゃないか」という新たな後悔が加わった。
そんな中で思いついたのが寄付という選択肢だ。私は保護猫たちのために寄付しようと考えたのだ。
ただし、普通の寄付では気が済まなかった。「報酬金額の倍を返さなければ」という思いが強かった。なぜ2倍なのかと聞かれると、科学的な根拠はない。ただ、それくらいしないと心が納得しないと感じたのだ。
なぜ保護猫支援を選んだのか
寄付先を考えるとき、私の膝の上で幸せそうに喉を鳴らす愛猫を見て、答えが見つかった。
我が家には2匹の愛猫がいる。地元の愛護センターから引き取った兄弟だ。
詳しい経緯は知らされていないので分からないのだが、子猫だった彼らは幸運にも保護され、ミルクボランティアのもとで大事に育てられたあと、譲渡会で私たち夫婦(当時はまだ恋人だったが)に出会ってくれた。
彼らは今では私の心の支えであり、大事な家族の一員となっている。
疲れて帰宅したとき、玄関で出迎えてくれる彼らの姿に何度救われたことか。
育児や仕事や人間関係に疲れたとき、黙って傍らに寄り添ってくれる彼らの存在が、どれほど心強かったことか。
そう考えたとき、保護猫支援という選択肢が自然と浮かんできた。
人を騙した報酬を、無条件の愛を与えてくれる存在のために使う。この巡り合わせに、何か意味があるように思えた。
寄付後の気づき
寄付を終えたあと、確かに心は少し軽くなった。特に、支援先から送られてきた保護猫たちの写真を見たときは、胸が熱くなった。
新しい家族と出会い、幸せそうな表情を見せる猫たち。
彼らの未来に、少しでも貢献できたのならば。
しかし、同時に新たな疑問も生まれた。
「これは本当の贖罪なのか?」
「単なる自己満足ではないのか?」
「保護猫たちに、自分の罪を押し付けているだけではないのか?」
答えは、今でも見つかっていない。
ただ、この経験を通じて学んだことがある。罪悪感から目を背けるのではなく、それを何かに変えていく。その過程で、思いがけない発見があるのかもしれない。
これから先へ
この記事を読んで、「サクラバイトってどうなんだろう」「やってみたいかも」と考える人もいるかもしれない。正直に言おう。やめておけ。本当に。後で必ず後悔する。
そして、こんな長文を書いて懺悔することになる(笑)
そして、もし何か心に引っかかることを抱えている人がいるなら、その気持ちと向き合ってみてほしい。
罪悪感は辛いものだが、それを何かに変えることはできる。
私の場合は保護猫支援という形だった。誰にでも、自分なりの償い方があるはずだ。
最後に、実は記事の最後に支援団体のリンクを貼ろうか迷ったのだが、それはまた別の機会に。
今日は純粋に、私の経験と気持ちを共有したかった。
もし、この記事を読んで保護猫、保護犬に興味を持ってくださった方がいるのなら、とても嬉しい。
まずは是非あなたの住む地域から探してみてほしい。
自分の家に迎え入れることが難しくても、そこにいる猫たち、犬たちのおやつを奢ってあげることはできる。
手を差し伸べる方法はいくらでもある。
たった数百円でも、その日一日のおやつ代にはなるかもしれない。暖かいベッドを置いてもらえるかもしれない。
(追伸:我が家の2匹へ。君たちのおかげで、私はまた前を向いて歩けている。これからもよろしくね。)
(追伸2:マッチングアプリのユーザーの皆様へ。本当に申し訳ありませんでした。そして、素敵な出会いが見つかりますように。)
今日も読んでいただき、ありがとうございました。