ペディンのジレンマ
韓国の冬は超寒い!
とは充分に知っていたつもりなものの、いざこうして冬が来ると想像するよりもずっと寒い。
12月は零下10度からスタートした。
その3日前まで最高気温17度前後くらいだったような気がするのだけど、急に冷凍庫の中に放り込まれたようにキンキンに寒くなり震えた。
冬将軍の猛攻に肌がチリチリと痛め付けられ、日本から持ってきた初冬用のコートは私を何一つ守ってはくれない。
持っている服の中で一番暖かいコートの無残な敗北と寒さに震えていると、韓国人の同僚は「これが始まりだよ」というような怖いことを言った。
今の装備のままだと寒さが原因で会社を辞めるまである。
早急に韓国の冬に向けた分厚くて暖かいアウターを手に入れよう。
というわけでアウターをやっと探し始めたのだけど、アウター探しにおいて絶対に目を逸らせないのがペディンである。
ペディンとは日本でいうダウンジャケットのこと。
どうしてペディンというのか由来などは何も分からない。
由来は分からないけど、とにかく暖かいということはみんな知ってる。
「ペディン着たらその下は下着でもいけるよ」
と捕まりそうなことを言う同僚。
なるほど暖かくて軽そう。
寒すぎてデザインよりなによりも、とりあえず暖かいかどうかが最重要事項になるので、その点においては申し分ない。
韓国と言ったらペディンみたいなところあるし、みんな着てるし、通勤用に1着くらい買っておくか~と財布のヒモを緩めかける。
が、そこで一旦正気に戻る。
このノースフェイスのペディンは3万円以上するのだ。
大して惹かれてる訳でもないアウターに3万?
ならそのお金に少し足して美しいコートを買った方が有意義なのでは?
という考えがついつい頭をよぎってしまう。
ペディンは確かに暖かいんだろうけど、ちゃんとした冬用のコートだってそれなりに暖かいしな・・・
ノーブランドで1万円代くらいのペディンを買うか?などと思ったけど、あまり暖かくなかったときのダメージが大きすぎる。
ペディンの良いところなんて暖かいことくらいしかないのだから、買うのであれば確実に暖かく、向こう5年は買い替える必要のないものを買いたいのだ。
しかもペディンの中でも序列もあるらしく、そんなのテッペン目指したくなってしまう。
ペディンの王はモンクレールかあ、、
これまで名前しか聞いたこと無かったくせに、序列表の1番上にいるのを見たとたん欲しくなってしまうミーハー心。
この、ペディン暖かいから欲しい、けど見た目ダサいものに大金はかけたくない、けど安いと寒くて結局損というジレンマは極少数の韓国人も抱えているらしい。
同僚の内の1人は「私はペディンダサいから買わない」と宣言し、コートで耐えている。オシャレは我慢とはこの事。
(ちなみにこの同僚以外は全員ペディンを着ている)
ペディン問題を様子見という名目でひたすら先送りにしていた私は、突然氷河の上に立たされた様な寒さの今、早急な決断を求められている。
思いきって良いペディンを買うか、そのお金で暖かくてデザイン性の良いコートを買うか。
うん
うーん
うーーーーん….
だめだ決めらんねー!!!
ペディンを買ったら最後、絶対にそれしか着なくなる未来が見えている!
でも絶対に暖かい!!!
という訳でもうしばらく悩みます。
悩んでる内に冬終わったりして。