[解剖学編 Vol.9] 筋膜の役割と全身の連動性について
こんにちは!コンさん@施術に役立つ解剖学の近藤優也です。
筋膜は全身を包み込み、筋肉や骨、神経、血管などを連結する役割を持つ結合組織です。その連続性と機能を理解することで、施術の精度を大きく向上させることができます。本記事では、筋膜の解剖学的特徴、全身の連動性、施術への応用方法を解説します!
この記事で分かること
筋膜の解剖学的特徴と役割
筋膜の連続性が全身に与える影響
筋膜を意識した施術アプローチ
新人セラピストはもちろん、筋膜に興味のある方にも役立つ内容です!
1. 筋膜とは?基礎解剖学を解説
筋膜は、身体全体を覆う柔軟で薄い結合組織の層で、筋肉や内臓、神経を包み込みながら、それらを連結しています。筋膜は単なる「包み」ではなく、動きや力の伝達にも重要な役割を果たします。
筋膜の層構造
浅筋膜:皮膚のすぐ下にあり、脂肪組織や血管と連携。
深筋膜:筋肉を包み、筋間隔を形成しながら力を伝達。
内臓筋膜:内臓を保護し、位置を固定。
筋膜の主な役割
構造の安定化:身体全体を支える。
動きの連携:筋肉間での力の伝達をスムーズに行う。
循環のサポート:リンパ液や血液の流れを助ける。
感覚の伝達:神経終末が集中し、痛みや圧力を感知する。
2. 筋膜の連続性と全身への影響
筋膜は「筋筋膜ライン」として全身に連続しており、一部の緊張が遠隔部位に影響を及ぼす可能性があります。
筋筋膜ラインの例
スーパーフィシャルバックライン(後面ライン)
足底から後頭部に至る連続した筋膜で構成。
→ ハムストリングスの張りが首や頭痛に影響を及ぼすことがある。フロントライン(前面ライン)
足先から骨盤、胸郭を通り、頭部に連結。
→ 大腿四頭筋の硬さが腰部の痛みに繋がる場合がある。
筋膜の癒着と制限
筋膜が癒着すると、動きが制限されるだけでなく、全身のバランスが崩れます。
姿勢不良や反復動作による筋膜の硬化が主要な原因です。
3. 筋膜にアプローチする施術テクニック
① 筋膜リリース
筋膜を緩めることで、可動域の拡大と疼痛軽減を目指します。
触診: 筋膜の硬化や滑走の制限を確認します。
リリース: 手掌や指を使い、筋膜を引き伸ばすように圧をかけます。
ゆっくりした動きで筋膜を解放するのがポイントです。
② トリガーポイント療法
筋膜の中にできたトリガーポイントを特定し、局所的に緩めます。
指圧や持続圧で緩和を促進。
筋膜ライン全体を考慮しながら施術を行う。
③ 筋膜ストレッチ
筋膜の癒着を解消し、連続性を回復します。
クライアントに特定の部位を伸ばしてもらう。
筋膜ラインを意識しながら、ストレッチを補助。
4. 症例別アプローチ:筋膜の緊張が原因の慢性痛
症状
長時間の座位で背中や肩が張る。
足裏の痛みが首や腰に広がる。
施術例
筋膜リリース:\n - 背部のスーパーフィシャルバックラインを触診し、癒着部分をリリース。
ストレッチ:
後面ライン全体を意識したストレッチを指導。
セルフケア提案:
姿勢改善エクササイズや筋膜ローラーの使用方法を指導。
5. 筋膜ケアの効果
可動域の向上: 筋膜の滑走性が改善され、動作がスムーズになる。
痛みの軽減: 癒着が解消されることで、慢性的な痛みが和らぐ。
全身バランスの改善: 筋膜ラインの連続性が回復し、姿勢や動作が安定。
6. まとめ:筋膜ケアの重要性と次回予告
筋膜の特徴と役割を理解し、全身の連動性を考慮した施術を行うことで、より効果的なケアが可能になります。筋膜は身体全体を結びつける重要な要素であり、その影響を考慮することで施術の幅が広がります。
次回は[解剖学編 Vol.10] 腸腰筋の役割と骨盤の安定性についてをお届けします!
質問やリクエストがあれば、ぜひコメントで教えてください!一緒に学び、成長していきましょう!