【2-8(1)】循環器系 - 下肢の脈管 解説
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【2-8 循環器系 - 下肢の脈管】
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− 学習のポイント −
1. 下肢の動脈
外腸骨動脈 → (血管裂孔) → 大腿動脈 → (内転筋腱裂孔) → 膝窩動脈 → (膝窩筋の下縁) → 前脛骨動脈と後脛骨動脈に分かれる。前脛骨動脈は伸筋支帯をくぐって足背動脈に移行。後脛骨動脈は、下腿後面を下行途中に腓骨動脈を分岐。足底に至り、内側・外側足底動脈となる。
2. 下肢の静脈
大伏在静脈:内果の前を通り下腿内側、大腿内側を上行し、大腿三角内の伏在裂孔より大腿静脈に注ぐ。
小伏在静脈:外果の後方を通って下腿後面を上行、膝窩で膝窩静脈に注ぐ。
3. 下肢のリンパ
鼠径リンパ節を通り、腰リンパ本幹に至る。
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■ 1. 下肢の動脈
下肢の動脈の根幹は外腸骨動脈です。外腸骨動脈は血管裂孔より大腿動脈となります。
血管裂孔を通過した大腿動脈は、大腿三角の皮下にでてきます。大腿三角は長内転筋、縫工筋、鼠径靭帯で作られる三角です。
大腿動脈は膝に向かって下行するに従い大腿の深部に入り、大内転筋の停止腱に開いた孔(内転筋腱裂孔)をくぐり膝窩動脈となって大腿後側へと至ります。
膝窩動脈は膝窩筋の下縁にて、前脛骨動脈と後脛骨動脈に別れて終わります。
前脛骨動脈は下腿骨間膜の上端にできた裂孔を通り、下腿前側へと出てきます。前脛骨動脈は深腓骨神経と伴行し前脛骨筋の外側を下行しながら下腿伸筋群を養い、足背動脈へと移行します。
後脛骨動脈は脛骨神経と伴行し下腿を下行し、下腿屈筋群を養うほか、腓骨後面にそって下行する腓骨動脈を分岐します。
後脛骨動脈の本幹は、足首では足根管を通過して、土踏まずの深層で足底にはいり内側足底動脈と外側足底動脈に別れて終わります。
▶ 大腿前側部の動脈(大腿動脈とその枝)
<浅層:大腿動脈と大腿神経>
こちらは大腿前側部、血管裂孔を通過した大腿動脈の様子です。
血管裂孔は鼠径靭帯のほぼ中央。脈を触れることができます。血管裂孔の位置がわかれば、そこから上前腸骨棘に向かってやや外上方が筋裂孔です。腸腰筋と大腿神経が通過する部位です。腰椎の前弯が強いタイプの「反り腰」型腰痛では、腸腰筋のリリースが大切です。股関節と膝関節を屈曲させた状態で保持し、優しく柔らかく押圧してあげるといいと思います。
これは、解剖から見た手技のほんの一例ですが、解剖をしっかりと理解することが臨床力に直結すると考えています。ぜひ、国試対策を入り口として、その先の活きた解剖学を勉強してもらえると嬉しいです。
さて、戻ります。血管裂孔を通過した大腿動脈は大腿三角部にでてきます。
解剖学で「・・・三角」とでてきたら、三辺をかならず覚えてください。
大腿三角のゴロ
「三角なのに長方形」
長:長内転筋
方:縫工筋
形:鼠径靭帯 です。
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