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マヌカハニーの喉や咳への効果

今日は、ちょっと特別なハチミツとして話題に上ることが多い「マヌカハニー」について、喉や咳への効果を中心にまとめてみました。私自身、喉がイガイガするときや咳が出そうなときなどにお世話になることがあるんですが、実際どんなふうに役立つのか、どんな使い方がオススメなのか、そしてどれくらい信頼できるのか(エビデンス)はどうなっているのか

気になったことを、できるだけわかりやすくお伝えします。

マヌカハニーってどんなもの?

マヌカハニーは、ニュージーランドやオーストラリアに自生する「マヌカ(Leptospermum scoparium)」という木の花から採れるハチミツです。通常のハチミツと違って、独特の風味があったり、抗菌作用が強いといわれたりして、ちょっと高級なイメージがあります。

この抗菌作用のカギを握っているのが、「メチルグリオキサール(MGO)」という成分。マヌカハニー独特の成分で、このMGOの量によって効果の違いがあるんじゃないか、と注目されています。

また、マヌカハニーは粘度が高いので、喉の粘膜にとどまりやすく保湿・保護の面でも良いとされています。風邪っぽいときにハチミツを舐めると安心感があるのは、この粘度のおかげかもしれません。

喉や咳への効果は本当? エビデンスも少しご紹介

1. 咳を軽くしてくれるかも

ハチミツ全般に言われていることですが、夜中に咳がひどい子どもにハチミツを与えると、咳止めシロップと同じかそれ以上に咳が減った、という研究結果があります。1)

マヌカハニーに限らず、「ハチミツが咳に効く」というのはけっこう古くからいわれてきたことなんですね。

じゃあ、マヌカハニーはどうなの? となると、一般的なハチミツより抗菌活性が強めなので、喉の粘膜を保護するだけじゃなく、喉周りにいる細菌の増殖を抑えてくれる可能性が指摘されています。ただ、大規模な臨床試験はまだまだ少ないので、「のど飴代わりに舐めておくと安心」くらいのスタンスでいるとよさそうです。

2. 喉の痛みの軽減

マヌカハニーが喉の痛みに効果があるかどうかを調べた小規模な研究では、一定の緩和効果を示す傾向があった、という報告2があります。ただし、まだまだ研究規模が大きくないので、絶対的な効果とまでは言いづらい面も。

それでも、風邪の初期症状や喉がイガイガするようなときに試してみる価値はあると思います。私も喉が弱っているときはマヌカハニーを舐めたり、温かい飲み物に溶かしたりして、自分の体感レベルで「ちょっと楽かも」と感じることは多いです。

3. 抗菌作用と抗ウイルス作用

マヌカハニーの強い抗菌作用は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)まで抑える効果があるともいわれています3。ウイルスに対しても効果があるのでは、という研究もありますが4、今のところ「有望だけど、もっと研究が必要」という段階。とはいえ、自然由来でここまで期待できるハチミツは珍しいので、世界的にも注目されています。

マヌカハニーのオススメの使い方

1. 小さじ1杯をそのまま舐める

喉の調子が悪いときは、単純に小さじ1杯くらいのマヌカハニーを口に含んで、喉全体にしみわたるように舐めるのが一番手軽です。就寝前や起床直後に試すと、咳が落ち着くとか、のどのイガイガが少しマシに感じられたりすることがあります。

2. 温かい飲み物に入れる

紅茶やハーブティーなどの温かい飲み物に加えてみるのもいいですね。ただ、ハチミツに含まれる酵素が熱で壊れることもあるので、あまり熱々のお湯に入れてしまうのはもったいない気がします。ある程度冷ましてから溶かすようにすると、成分をできるだけ活かしやすいかもしれません。

3. うがいやトローチ代わり

水で少し薄めてうがいしてみたり、マヌカハニーをそのまま口に含んで「自然のトローチ」的に喉で転がす方法もあります。甘いので、最後に歯磨きやうがいを忘れないようにしたいですね。

4. 料理やお菓子に使う

ヨーグルトやパンケーキにかけるなど、日常的に食べる方法も良いと思います。ちょっとお値段が張るので、贅沢な気はしますが、贈り物や特別な朝ごはんなどに使うのもアリかと。

マヌカハニーを選ぶポイント

1. UMFやMGOの数値をチェック

「UMF(Unique Manuka Factor)」や「MGO(mg/kgの数値)」といった指標があります。値が高いほど抗菌作用が強いと言われ、一般的にはUMF10+以上、MGO250+以上を目安にする人が多いです。ただ、それなりに高価にもなるので、日常使いならUMF5〜10+程度でもいいかな、と思います。

2. 信頼できるブランドや認証マーク

人気があるぶん、偽物や混ぜ物も出回っていると聞きます。ニュージーランド政府の認証マークやUMF協会の認証番号などを確認できるブランドだと安心度が高いですね。

注意点とまとめ

1歳未満の赤ちゃんには与えない
ハチミツ全般に言えますが、ボツリヌス菌のリスクがあるので要注意です。

糖分なので摂り過ぎには気をつけて
いくら体にいいといっても、甘いのは甘い。糖尿病の方や糖質制限が必要な方は、医師に相談してみてください。

症状が重いときは迷わず受診を
マヌカハニーが役立つこともありますが、長引く咳や強い痛みがある場合は他の原因がある可能性も。医師の診断が最優先です。

アレルギーも要チェック
ハチミツやミツバチ製品でかゆみや腫れなどが出たことがある方は、使用に注意した方がいいです。

まとめ

• マヌカハニーはメチルグリオキサール(MGO)を中心とした抗菌作用が特徴で、喉の痛みや咳の緩和にも期待できそう。

• とはいえ、まだ大規模研究は少ないので、「ちょっと試してみる」くらいの気持ちで取り入れるのがいいかなと思います。

• UMFやMGO表示を参考に、信頼できるメーカーのものを選ぶと安心です。

• 一番シンプルな使い方はやっぱりスプーンで直接舐める! 粘度があるので喉にしっかり馴染む感覚が味わえます。

私の場合、喉がイガイガしてきたら早めに一匙舐めて、できるだけ症状を軽く済ませようと心がけています。ちょっと贅沢な「自然のトローチ」みたいな感覚ですが、興味のある方はぜひ試してみてくださいね。

参考文献(一例)

1. Honey for acute cough in children.
Oduwole O, Meremikwu MM, Oyo-Ita A, Udoh EE.
Cochrane Database of Systematic Reviews 2018, Issue 4.
Cochrane Library

2. Effectiveness of Manuka honey on Staphylococcus aureus and Pseudomonas aeruginosa biofilms.
Alandejani T, Marsan J, Ferris W, Slinger R, Chan F.
Otolaryngology–Head and Neck Surgery. 2009; 141(1): 114-118.
SAGE Journals

3. Free radical production and quenching in honeys with wound healing potential.
Henriques A, Jackson S, Cooper R, Burton N.
Journal of Antimicrobial Chemotherapy. 2006; 58(4): 773–777.
Oxford Academic

4. The evidence supporting the use of honey as a wound dressing.
Molan PC.
Lower Extremity Wounds. 2006; 5(1): 40-54.
SAGE Journals

マヌカハニーはおいしいし、ちょっとした贅沢気分も味わえるので、私は喉のケアだけでなく毎日の食卓にちょこっと取り入れています。みなさんも、気になるときはぜひ試してみてくださいね。

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かずひろ先生(黒澤一弘|解剖学)
私の知識やスキルなどが、どこかの誰かのお役に立てることはとても嬉しいことです。ありがとうございます。