命短し恋せよ乙女
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代表の橋本なずなです。
『恋活・婚活市場において、女性起業家はモテない。』
最近、そんな風に思うことが多々あった。界隈を見ていると起業家は同じく起業家と結婚しがちで、その理由が分かった気がした。
男性は二人、42歳の経営者と29歳のサラリーマン。
彼らは起業家という私の一面を好んではくれなかった。
私といえば “起業家” や “大学生” ということが、一番の個性であろう。
起業が容易い時代になったとはいえ、まだまだ身近には多くないし、ましてや22歳で大学生になった私など面白い人材ではないか。
全くの初対面であれば、まずその話題で2時間制のお店の間は優に持つ。
ただ彼らは、わかりやすくそれらの話を避けた。
番組に出た、新聞に載った、そんなことを言おうものなら、「すごいね」と口から音こそ出るがそこに心は伴っていない。
この現象は二人の男性に共通してあった。
42歳の経営者は、異常なまでの支配欲、忠誠心、共依存を求める人だった。
経営も10年近く行っていて、男気の強さから、はっきり言って経済的な魅力は否めなかった。
はじめてのデートで数万円分の洋服や靴をプレゼントしてくれたり、会員制のレストランに連れて行ってくれたりした。
彼と過ごした時間は非日常的で、住む世界の違いを大きく感じた。
しかし彼は私の話を訊こうとしなかった。
生い立ちも、起業のことも大学のことも何一つ。
ある時、私がおどけて『こう見えても起業家なんで』と笑ってみせると、「この俺によく言えたな」と上がった口角と光のない瞳がこちらを見つめていた。
29歳のサラリーマンは、ゆとり世代とは思えぬ古風な考えの持ち主だった。
学生の本分は学業だ、スキルも無いのに起業しても仕方がない、そんなことを言っていた。
年齢的に結婚を見据えた関係を望む彼にとって、私が学生であることは障壁らしい。しかし私も25,6で結婚、30前後で子どもを持てたら良いと考えていたから、ライフビジョンはそう変わらない。
周りに “彼女、学生なんだ” って言うのが嫌なの?経済的な理由なの?と色々尋ねたが、決まりきった固定概念だと彼は主張した。
そういえば最初に学生だって話をした時、「18歳、19歳の子に交じって勉強してるの?」と笑われたっけな。
――— そんな話を最近勤めはじめたアルバイト先の高峰さんに話していた。
近日再婚を控えている高峰さんは軽い口調で言う。
「そういう男って大概、昭和的な男尊女卑か、年収300~500万くらいの中途半端なやつよ」
私は妙に納得してしまった。
最近知り合った別の男性は若手の弁護士で、私の活動に興味を持ってくれて今度食事に行く約束をした。
その男性のことはまだあまり存じ上げないが、少なくとも私の “起業家” や “大学生” という側面を、面白いと捉えてくれているのだろう。
面白いと捉えられるのは、若さと、優れた経済性が生み出す精神的余裕が故だろうか。
高峰さんは続ける。
「そもそも結婚は、しようと思って相手を探すものじゃなくて、 “この人とずっと一緒に居たい” と思ってするものなのよ」
『なるほど、勉強になります…!』私はエアでメモを取り、
その後も結婚とは、恋愛とは何ぞという話に花を咲かせていた。
また別の日、こんなことがあってさぁ、と友人の石川ちゃんにジョッキグラスを片手に話す。
私より一回り以上離れた石川ちゃんだが、年齢なんて関係なく対等に接してくれるから有難い。
「いやぁ、それは男たち勿体ないことしたよ」
『え、だよね!?そうだよね!?』
「若くて可愛い女の子とせっかく親密な関係になれたのに」
『しかも私って面白いじゃん? “Funny” じゃなくて “Interesting” なほうで!』
私は別に謙遜しない。自分の強みはこれです!とはっきりと言うタイプの女だ。
「潔くて良い」と笑ってくれる石川ちゃんもまた、心に余裕のある人だ。
なんだかんだと言いながら、”女は多少バカな方が良い” という理論の支持率はまだまだ根強いのかもしれない。
私は男性の一歩後ろを歩くような、昔の女性の奥ゆかしさも嫌いではない。
しかし男性で云うところの “会計時、ご馳走されることを当たり前とせず、財布を出す素振りをして欲しい” というのと同じで、
私も “女性に立ててもらって当然ではなく、お互い平等に尊重し合える男性” にこそ、一歩後ろを歩きたいと思うのだ。
起業家が同じく起業家と結婚しがちなのは、やはりモノの考え方が似ているからだろうと思う。
起業云々で人の優劣を図らない、それは至極真っ当のことだ。
起業家だから優れている、サラリーマンだから劣っている、そんなものは幻想だ。
起業家だとか、大学生だとか、ラベリングされたもので判断しない殿方を、
今日も私は追い求めるのであった。
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