D16 ロックダウンのNZで封じ込め戦略のその先を考える
本日の定例会見で、ニュージーランドの死亡者が1名増えて2名になってしまった。
90代のこの患者は、先日ある老人ホームで発生したクラスター患者の一人で、家族は最期を看取ることができなかった。この病気の恐ろしさは、ここに尽きると思う。自分の親や家族、友人が、もしこの病気にかかり、重症化した場合、彼(女)はそのまま病院に隔離され、誰にも会えないまま最期を迎えることになってしまう。こんな残酷なことがあるだろうか。
ニュージーランドが賞賛されている?
それでも、現在の世界の状況を見れば死者が2人というのは、悲しいことにせよ、大健闘と言って良いだろう。このところ、色々なところでどうやらニュージーランドがうまく行っているらしい、というニュースを見かけることが増えてきた。
最新のレポートでも、見直したモデリング楽観シナリオに沿って現実が推移していることがわかってきた。
政府が早期に国境封鎖を決め、レベル4のロックダウンに踏み切った時、私の職場でも賛否両論があった。しかし、何が正解かわからない中で、政府が早期に大胆なアクションを起こすとまず決め、最初にプランを見せて、説明した。そして、プラン通りに作戦を運用して見せて、賛否両論だった国民の信頼を獲得し、結果を出しつつある。
一見、素晴らしいことに見えるが、しかしニュージーランドも無傷ではないし、今後も楽観は許されない。それはもう、全く許されないのだ。
ニュージーランドの真似をしても、根絶はできない
気になるのは、だんだんと「Eliminate(根絶)」という言葉を使うメディアが増えてきていることだ。
「根絶」とは集団免疫を獲得するか、ワクチン接種により達成されると理解しているが、ニュージーランドは今の所、このどちらも持っていない。
この記事でも書いたが、ニュージーランドが目指しているのはケースをゼロにすることではない。ロックダウンを永遠に続けない限り、それは不可能だ。なぜなら、国境の封鎖をといた時点でまた、誰かがウイルスを持ち込み、それを見逃した時点で振り出しにもどるからだ。
強力な行動規制(左半分の網掛け部分)を行っても、規制を解除したあと遅かれ早かれ同じカーブを描く(黄緑と水色)
だから、ニュージーランドが目指しているのは、ロックダウンを緩めたあとも、国内の日毎新規感染例がゼロか、ほぼゼロに近い状態でホバリングしている状態を維持し全ての新規感染者を直ちに把握して隔離する「スタンプアウト」作戦であり、これはワクチンができるまで続くマラソンだ(もちろん、罹患による集団免疫は獲得しようがない)。
ロックダウンの解除をどうやるのか
たくさんの方々からサポートをいただいています、この場を借りて、御礼申し上げます!いただいたサポートは、今まではコーヒー代になっていましたが、今後はオムツ代として使わせていただきます。息子のケツのサラサラ感維持にご協力をいただければ光栄です。