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矛盾は自分で乗り越えるしかない。
さて、奥義で仕込んだパターは順調、評価は上々。ただし、C-catのときに必死こいて覚えたパターは実際のインストラクションに使えなすぎて、採用していない。多少その痕跡は残っているが、ほとんど自分でリニューアルした。1000時間以上飛んできて何を強調するべきか、自分なりの考えというものが出来てきた。それをパターにまとめる。Cの時に何をやってきたのか、Bの試験ではそれが問われる。
それにしても強烈な北西風。メカニカルタービュランスで間欠的にバットで殴られたような衝撃が来る。足と手を上手く使って、3軸の動きの変化を起こさないように。どんなに揺れても、インストラクションの声は低めでクールに。
通常のアプローチは60ktだが、風が強いのでReduced Flapの75ktを試してみた。操縦は当然しやすいのだが、フレアでもの凄く伸びる。RWY35は短い。ゴーアラウンド。さすがにやり過ぎか。チーフさん曰く、「70ktでアプローチして、ショートファイナルで最終フラップにしてみろ」とのこと。デモでは滑走路の手前をエイミングにして滑走路長を稼ぎ、かなり最後まで頭下げていって、スレッシュホールド直前でフラップをおろして、気持ち浅めに入っていた。その後はひたすら沈みがくるまで滑走路上で耐える!浮かないようにー、でもノーズからいかないようにー。。。接地まで1/3のちょい超えくらいまでいったがこれならなんとか。ってこりゃ完全にGAの飛ばし方だな、と思いつつもそういうこともできるようになりたいので張り切ってやってみる。クロスに対応する為に入れたエルロンを少しとりすぎて左に流れた。でもアホみたいなフロートはなくなった。こんなもんか。
ただ、いつも思う。「強風でガストがあるときはアプローチは速めに」というのは分かるのだが、「流される可能性を出来るだけなくすためにさっさと脚をつけたい」。この二つは、矛盾だ。だいたい着陸直前がぐわっと揺られるから、そこまでスピードは持っておきたい。頭(AOA)を低くしておきたい。でも、そうするとその余分なエネルギーは返し操作(フレア)中に滑走路の上を地面効果でプカプカ漂いながら削るしかない。特にアプローチの姿勢がノーズアップにならない飛行機は難しい。着陸の為に頭を上げなければいけいないのだが、余分な速度をもって滑走路上で頭を上げると浮いてしまうからだ。浮かないようにするには姿勢をキープして速度が落ちるのを待ち、飛行機の沈みを姿勢で徐々にキャッチして頭を上げていくしかない。伸びる伸びる。
じゃぁショートファイナルあたりでパワー減らして沈みを作って頭を上げ始めると、15mくらいの一番いやな高さでガスッと入る。これはやっぱりいやだ。
一番厄介なのは、風が強くなくて、気温が高くて、巻いているときと、風は強いがクロスウィンドになるとき。クロスウィンドでガストが最悪だ。やっぱりバランスを見て、適切な範囲で速度を足し、タービュランスの状況をモニターしながら頭を上げるタイミングを測るしかない。最後まで突っ込む場合は、伸びるのを覚悟してコントロールしきることと、そのための十分な滑走路長を確保することだ。
実際、次にやったショートフィールドアプローチでは、フルフラップの65ktでやったけど、風のタイミングがよかったのか、割とすんなりいった。結果としてずっと短く止まれた。ただし、これは風の状況がラッキーだっただけだ。同じようにやっても、タイミングによってはゴーアラウンドかもしれない。ここは操縦技術も大事だけど、モニタリングとアセスメント、その結果としてのジャッジメントが最も大事だ。
もともとこのアプローチは、小型機が天気とか微妙な故障とかその他諸々の理由で、飛行を継続するのが危険と判断したときに、エンジンが生きているうちにその辺の野っ原に安全に短くおろす為の技術だから、アプローチに障害物がないかとか、それに伴うタービュランスはないかとか、ベースでスターボードドリフトをしっかり確認してファイナルでちゃんと向かい風になるかとか、ダメだった場合の間髪入れないゴーアラウンドとか、そういうことに頭を使わないとだめ。短く止まる為に、ただ遅いスピードにすればいいんですね、ではダメだ。そりゃ短距離着陸には遅い方がいいに決まっているけど、前述のように風がそれを許さないこともある。じゃぁ、どこで削り始めるか、それは日によって、もっと言えばアプローチ一本一本によって、その時のラッキーかどうかによって違う。よく見て、感じて、自分で決めて、コミットすること。
結局、決まった答えなんてないのである。
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