崩壊学: 人類が直面している脅威の実態』4
「まず第一に、熱工業文明ーエネルギーと金融の組み合わせーのエンジンは、エンスト寸前になっていることがあげられる。限界に達しているのである。いつの日か再び経済成長をもたらす可能性はすべて、決定的に葬りされている。つまり、債務をベースにするシステムへの死刑宣告……債務が返済される事はもう決してないだろう。
2番目は、私たちの文明の指数関数的な物質的拡張が、その土台である複雑な自然システムを、取り返しのつかないほど混乱させたことである。境界を越えてしまったのである。
3番目は政治や金融、仮想空間を機能させている、食料や水、エネルギーを供給するシステムが複雑になる一方で、必要とするエネルギーも増大していることだ。
これら3つの段階はもはや取り返しがつかない上に結合しており、行き着く先はひとつしかない。崩壊である。過去には多くの文明が崩壊したが、いずれもある地域に限定されていた。しかし現在、グローバル化によってグローバルなシステム系リスクが生まれ、歴史上初めて、極めて大規模で、ほとんどグローバルな崩壊の可能性が視野に入ってきた。
化石燃料の消費を早急に、大規模に減らす事しかないのである。現在の再成長か緊縮かの議論はすべて気晴らしに過ぎず、根本的な問題からそれている。
これら全てを理解して、発想を逆転させることである。ユートピアが突然、立ち位置を変えたと見るべきだ。現在のユートピアは、全てが以前のまま続くと信じている人である。現実主義は逆に、早急で徹底的な移行に向け、残された気力を全てつぎ込んで、レジリエンスのある地域、土地であれ人間であれ、の構築を目指すことなのである。」
パブロ・セルヴィーニョ、ラフェエル・スティーヴンス『崩壊学: 人類が直面している脅威の実態』
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