人類のあらゆる問題の根源を解決し、次の社会を作り出す


10年前の3.11の大災害後、絆が意識され、お金よりも命の大切さが誰の目にも明らかとなり、深い自省や反省が行われました。

それは『災害ユートピア』とでもいう人と人が本来的なあり方をした時間でした。

しかしあの時は、やがて揺り戻しが始まり、生きること、暮らすことの本質を問う気持ちは、いつのまにか日々の忙しさの中で、後回しにされてしまいました。

コロナウイルスは、人と人のつながりを呼び起こすのではなく、3.11とは正反対に、人と人の関係の中に不安と恐れをもたらしました。しかしそのことが同時に、いかに社会とは人と人の緊密なつながりによって営まれているものなのか、いかに人は人と人のつながりの中で生かされているのかという実体を私たちの目の前にあらわにしているのではないでしょうか。

普段は「お金」と「モノ」というものに注意が向いてしまい、その背後にある人の行為のつながりによって自分の暮らしの全てがもたらされているという現実に注意が向いていません。さらに有事になると「モノ」がなくなるのではないか、「お金」が紙切れになってしまうのではないかというような不安、心配で頭がいっぱいになってしまい、ますます一番底の底で私たちの暮らしを支えている人や人の行為が見えなくなってしまっているのではないでしょうか。

しかし社会の実体にきちんと目を向けるならば、私たちの暮らし、命そのものを支えているのは、人であり、人と人の分業による社会が、衣食住を支えています。その実体に、私たちが想い、関心を向けることができれば、安心は人の中に生きていることから直接的に来ているのであり、喜びも幸せも人と人のつながりから来ていることを、だれでもが自然に実感することができるのではないでしょうか。

その実際に立ち返ったところから、改めて今の社会を見るならば、私たちに、何が不要不急で、何が本質的で必要不可欠なものかの共通理解が、自ずから生じるのではないでしょうか。人と人が安心して、豊かに、楽しく生きるために何を大切にしたら良いのか、その共通理解は、きっと意見が割れ、激しく論争して、無理矢理に多数決だ、権力だのによって、これだと決めなくてはならないようなものではないと思います。

ぼくが2019年から、鈴鹿のコミュニティ、アズワンで学んでいることの本質はここにあります。

どんなことでも安心して話し合える人間関係とそれに基づく何でも話し合いですいすいと決めていく社会運営。

アズワンはそれを実験するために鈴鹿に2001年に生まれたコミュニティです。

そしてこの目標を実装するために、アズワンコミュニティの日々の暮らしの実験の中から発見された方法が、サイエンズメソッドと呼ばれる良好な人間関係を阻害している要因を、自分の中に発見する対話の技術です。

サイエンズメソッドは、4つのステップに分かれます。

1 人間の考えを知る

2 事実、実際はどうか?

3 本来、本質はどうか?

4 理想を実現する

これだけ書き出すと何のこっちゃという感じですが、自然科学、そしてそこから派生した技術は、驚異的に発展し、人類は、豊かな社会を作り出してきたのに、人間は仲良く幸せに満ち足りて暮らすという一見シンプルで、だれもが反対しないだろう社会を実現できていません。

その原因を探るところ、検討するところから生まれたのがサイエンズメソッドだとぼくは理解しています。単純化して言えば、人間に対して自然科学のような科学的方法論で研究ができていないというのがその理由です。人文科学、社会科学はそれなりに長い歴史を持っていますが、それらの人間、社会に関する科学が、まだ十分に発展していないのではないでしょうか。人間、社会に関する科学と宗教という人間の本原に関わる営みが十分に統合的に理解されていないことや、社会がだれにとっても理想的だといえる状態になっていないことを取ってみても、それは自明ではないかと思います。

サイエンズメソッドは、十分に人文・社会科学が発展しえていない原因を、「人間の考え」の扱い方にあったことを発見することで生まれた人間や社会を研究する科学的方法だと、ぼくは理解しています。

アズワンのHPには以下のように説明されています。
サイエンズ(ScienZ) は、Scientific Investigation of Essential Nature(本質の科学的探究)の頭文字 SCIEN と Zero(零・無・空・・・)の Z によるものです。「科学的本質の探究」をやさしく言うと、どこまでも「分かった」、「できた」等、結論づけない営みとも言えます。人の言動や、あらゆる事象について、固定・停滞なく、ゼロから、その背景や元にある内面・真相・原理を知ろうとする考え方を「サイエンズ」と呼んでいます。サイエンズは、人間の知能を最大に活かして、科学的に本質を探究しながら、実現をはかる考え方を表しています。人間を知り、人間らしく生きる営みとも言えます。
http://as-one.main.jp/HP/scienz_method.htm

自然科学は、数学が基礎にあり、数字によって記述されます。人文科学、社会科学は、言葉が基礎にあり、言葉によって記述されます。自然科学は、探求の結果、観測自体が観測に影響を与えるという自己言及的な構造は発見しました。それに比べて、人文/社会科学は、人間の心というものを扱っているのに、そのこころに言語、考えそれ自体が、どのように影響を与えているのかという点に十分には自覚的でないまま言葉によって、人間の心、人間、社会を記述しようとしてきたのではないでしょうか。

サイエンズメソッドは、その言葉、人間の考えがどのように心に影響を与え、その結果、社会がどのようになるかを探求して行く方法論です。そして方法論としては、上記の4つのプロセスしかないのでシンプルです。

ですから、サイエンズメソッドを学ぶとは、方法論を知識として学ぶというよりも、サイエンズメソッドを使って、自分とは何か、人生とは何か、社会とは何かということをグループのオープンダイアローグを通して直接的に知って行く方法です。サイエンズメソッドを学ぶサイエンズスクールでは、日本に昔からある自己探求法である「内観」を加えて、プログラムが構成されています。

自分を知り、人間を知り、社会を知ることで、自然に理想を実現して行くということになる理にかなった方法とも言えます。
それは自然科学が宇宙の理を発見し、その理を応用することで、さまざまなことを実現してきたこととパラレルな感じがします。

人間の考えが、人間の心、感情、行為にどのように影響を与え、どうして仲良く幸せに満ち足りて暮らすというシンプルな理想の社会を作れないようにしているのか、それがサイエンズメソッドによって一人一人に見えてきます。そしてその原因が分かれば、自ずから人は本来のところに立ち返り、そこから自然に理想的な暮らし、社会が営まれて来るようになります。

人間の考えによってではなく、サイエンズメソッドによって発見された人間の理、宇宙の理に沿って、20年の年月をかけて実際に生まれ、発展してきたのが、鈴鹿のアズワンというコミュニティです。この理論とその理論に基づく実際のコミュニティ運営、そしてそこで起きる新たな事象を研究し、また実験していくというサイクルも科学的です。 

http://as-one.main.jp/HP/suzuka.html

コロナウイルスによって半ば強制的に社会の有りようが根本的に問われようとしているこの時に、一人でも多くの人が、人間の考えによって、事実、実際が見えなくなっている自分の心の状態を知り、それによって、事実、実際の方へと自然と注意、関心が向き、そこから本来の人間の姿を発見し、理想が自ずから立ち上がって行くようになればと思います。

コロナだけではなく、一向に解決されない戦争、紛争、暴力、持続不可能な資本主義の行き詰まり、気候変動による人類存続の危機、あるいはAIや巨大テクノロジーが人類に及ぼす想像もできない強大な力への不安など、人類が抱えているすべての問題は、安心して何でも自由に話し合える人間関係、安定した人間関係を、人類が築けていないという根本の原因に行き着きます。

サイエンズメソッドとその方法によって生まれた安定した人間関係を基に20年間持続し、いまも発展しているアズワンコミュニティという実証実験成果は、その人類の根本問題への解決策を提供している、と僕は思います。

これらのことに関心を持っている人すべてに、自分の目でアズワンやサイエンズメソッドを確かめてもらいたいと思います。

アズワンを訪ねる体験ツアー、サイエンズメソッドを学ぶサイエンズスクール、オンラインでのさまざまな無料のお話会などが開催されています。

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