愛の経営(『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』2)
「経済性を完全に捨てて愛を優先する。それが、結果として、究極の経済合理性をもたらす」というシンプルな発想は、実は、極めて合理的なのだが、資本主義経済の常識からはかなり異常に見える。
私は本社でちょっとした「狂人」あつかいとなり、解雇前には、精神科にかかるか、半年休職するかを迫られ、東京本社の社員は沖縄にいる私との接触をされた。
愛に生きること、愛の経営を再び実現すること、が人生の目的になり、それまで重要だと思っていた一切のことに関心がなくなってしまった。
一人ひとりの人間が自分を愛すること、が幸せな社会を実現するための必要条件であるならば、社会を良くするということの本質は、縁があって、今、目の前にいる人が、より自分を愛するようになる、その手助けをすることであるはずだ。
社会問題を根源的に治癒することができるのは、常に、一人の人間だ。
社会問題の根源的解決とは、あらゆる立場の人が、「いま、自分が、目の前の人のために、どう役にたつことができるか」という問いに答えを出し、行動に移す、ということ以外にない。
私は、社会変革とは、キャンドルサービスのようなものだと思っている。キャンドルサービスで、今、この瞬間に火を灯すことができる相手は、ほとんど、いつも、一人だが、その「瞬間」は、人生が続く限り何度もやってくる。
社会で最も大きな力とは、一人の力である。
「コロナ後の世界」は、一人ひとりの人間が自分を愛することを目的として、デザインされる。なぜならば、それが、人間が幸せに生きる唯一の選択肢だからである。
樋口耕太郎
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?