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c6h6n10
砂漠のまち (別枠)
0-2
まるで別人だ。半年前と今の自分を比較して、ケントは自分のことを、そのように思っていた。古い友人や知人が自分を見たとしても、すぐには気付かない程度には変身を遂げているはずだ。そう思いながら、玄関の扉を開けて、ブーツの踵をコツコツと鳴らしながらポーチの階段を足早に降り、静かになった街に溶け込む。
冷たい風がケントの頬を撫でる。人の気配もなく静まり返った夜の空気は、いつからかケントの心を落ち着かせてくれるようになった。
ケントが顔を上げると、ビルの合間からいくつかの星が輝いているのが見える。何処からか聞こえてくる機械音と風の混じったような耳障りな音が、適度な緊張感を呼び起こす。
この静かな街を徘徊することに慣れてきたと思ったのは、数か月も前のことだ。もうすっかり、ケントは生活の軸を夜の街に置いていた。
遠くから獣の遠吠えと銃声が聞こえる。
ケントは片手に握るリボルバーを軽く持ち直すと、指先でトリガーの遊びをトトンと軽く弾いた。