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【Pythonコードあり】OECD諸国のリアルタイムの経済指標を取得する

本記事ではOECD Data Explorerを活用して、その当時知り得たリークのない経済データを取得する方法を紹介しています。Pythonで取得する場合のコード例も載せています。

以前はOECD.StatのOriginal Release Data and Revisions データベースから各国の経済指標のヴィンテージデータを取得できましたが2024年3月でサービス終了しています。そのため、まだまだ情報の少ない後継のデータベースサイト、OECD Data Explorerを利用した方法を紹介しています。

なぜリアルタイムデータが重要なのか

多くの経済指標はまず速報値が公表され、その後に修正された確報値が続きます。そのため過去のデータを取得するときには、その値がどの時点で発表された値なのかに注意が必要です。

特に経済指標を用いた投資戦略のバックテストを行う際には、その当時に投資家が知り得た情報を使わなければ再現性のある結果が得られません。

何も知らずにバックテストを実行したらすごく良い結果が得られたけれども、経済指標の発表ラグを考慮したら有効性が消えたというのはよくある話です。

OECDのCLIは過去遡及が激しい

具体例としてOECDが算出しているCLI(景気先行指数、Composite Leading Indicator)を取り上げます。OECD加盟国を中心に、共通の手法でCLIが算出されているため、各国の景気動向を横比較・分析する上で便利な指標です。

しかし、その計算方法上、毎月新しい値が出るたびに過去の値も改訂されてしまう問題点があります。下図は米国のCLIを示しています。異なる時点で計算されたバージョンを比較していますが、それなりに値が変わってしまっていることがわかります(特に2021年から2022年にかけての期間は, 2022.01のバージョンでは長期平均の目安とされる100前後を推移していますが、後の改訂ではこの期間は100を優に上回る値に修正されています)。

米国CLI, 過去遡及, 修正
米国のOECD CLIの値を異なるエディションで比較

しかし投資家がその時点で知り得たCLIの値を取得するにはひと手間必要です。BloombergやDataSteamなど有料のデータ・ベンダーのサービスでも容易には過去遡及前のデータを取得できません

OECD Data Explorerで
リアルタイムのデータを取得する

ここでは米国のCLIを例に、OECD Data Explorerから各時点で知り得たリアルタイム(ヴィンテージ)のデータを取得していきます。

ウェブサイト上で操作して直接データをダウンロードする方法と、
Pythonでデータを取得する方法の2つを紹介します。

CLIに限らず、鉱工業生産、消費者物価指数(CPI)、GDPとその内訳、雇用、失業率、財の輸出入、経常収支などのヴィンテージデータも同じ方法で取得可能です。

なおPythonを利用した方法については公式の説明がありますが、今回取得対象とするデータベースでは、説明通りに実行しても上手く行きませんでした。そこで修正したものをご紹介します。

手動でウェブサイト上でダウンロードする方法

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