AppsFlyerがシリーズCで約64.4億円の資金調達と、せっかくなんでアプリ計測サービス 3選
先週、アプリ計測サービスを提供しているAppsFlyerがシリーズCで$56M(約64.4億円)の資金調達をしました。合計で$84M(96億円)になります。
すでに年間$60億のプロモーションを、毎月3000億のイベントを計測しており、すでに規模の面では世界レベルのサービスであったので、ここで調達をしたのは、少し驚きました。
少し説明すると、アプリ計測サービスとは、スマホアプリ向けの行動分析や、広告効果測定を行うものです。
今までのブラウザでの計測と違い、Storeでの購入やインストールが伴うこと、Cookieが使えない環境であるため、ブラウザ向けとは違うプレーヤーが台頭してきた経緯があります。
今では、計測で終わるのではなく、データのセグメント、フィルタリングによるユーザのエンゲージメントを推進していくことや、第3者の計測という立場から、アドフラウド(ex. ロボットでの広告クリック)防止を提供していくようになっています。
こんな発表があったので、アプリ計測について、今の日本での状況と、アプリ計測サービスを紹介していきます。
日本のこれまでの流れと今
2007年頃からスマートフォンでのアプリが主流になるに従い、アプリ計測サービスが提供されてくるようになってきました。
最初は海外勢のサービスが盛り上がっているのを参考に、ベンチャー企業からサービスが提供されました。
その後は、広告の出稿が増えてくるに従い、既存の広告代理店や、ネットワーク各社が次々にサービスを提供してくるようになりました。
当たり前ですが、既存プレーヤの動きは遅かったです。
ブラウザでの計測で十分な収益がある中、なかなかアプリの計測に注力するということができなかったというのが印象です。
その判断は本当に難しかった想像します。スマホへの転換時期の遅さ、すでに収益を上げていることゆえに、それが敗因の一つになっていたでしょう。
その後は、当たり前ですが、プレーヤーが増えて、淘汰が始まる。そして現在は、海外製品が主流となっています。
私なりの理由としては、「資金力」と「集中」することの差と考えています。
最初に話した調達金額からわかるように、相応の資金を獲得して、かつ、それを「計測」だけにつぎ込んでいる戦略をとっています。
料金体系も、計測数の従量課金として、プロモーション費の獲得などには目もくれず、計測だけを研ぎ澄ましています。
日本では広告を獲得するためのツールというスタンスが強く、獲得できるならやるけど、できないならやめようか、という力学が働きます。これは経営者としては間違っていない判断とも言えるでしょう。
そのため、そのプロダクトの差は歴然です。SDKや、計測できる範囲、UI/UXなど、かなりの部分で負けが顕著になった次第です。
私も日本企業の中にいた一人のため、この力の差を、強烈に覚えています。
開発スピードとフォーカスしていく姿勢は、本当にすごかった。認めたくないですが、太刀打ちできなかったは事実ですね。
アプリ計測サービス 3選
では、現在主流となっているアプリ計測サービスを紹介していきます。
AppsFlyer
2011年に設立された、イスラエル発の計測サービスになります。
http://global.appsflyer.com/jp/
世界に8カ国にオフィスがあり、1,200以上のネットワークパートナーと連携済みです。あまり話題に出ませんが、中国市場でのシェアが高く、かなり普及している状況にあります。
日本では、2015年10月ごろから日本向けにサービスを提供しています。カントリーマネージャにCriteo出身の大坪さんが就任した時は、話題になりました。
・FB/TWの認定パートナー
Facebook、Twitterからモバイルメジャーメントパートナーとして認定されています。認定されているため、FB/TW広告経由の計測ができます。この認定がないと計測ができません。
・システムの堅牢性
99.95%の稼働率、アップタイムを保証しています。感覚値になってってしまいますが、障害があったと聞かないのも事実です。
・シンプルな料金体系
広告経由(オーガニック以外)が課金対象になります。
・提携パートナー数
連携パートナーの多さも特徴の一つです。世界中の広告ネットワークへのコンバージョン、課金などのデータ連携を行うことが可能です。
Adjust
ドイツのベルリンで設立され、2013年に$4.3M、2014年に$7.6Mの資金調達をしています。
当初はEU内でのサービスを提供していましたが、その後は、アメリカ、日本、中国への進出を行なっており、東京と上海に、2014年11月に拠点を設立しています。
・FB/TWの認定パートナー
Facebook、Twitterからモバイルメジャーメントパートナーとして認定されています。
・優れたUI/UX
かなりシンプルです。キャンペーンごとに各数値をパッとみえるようになっており、広告担当向けに作られている印象が強いです。
・提携パートナー数
連携パートナーの多さも特徴の一つです。ただ、他のサービスと違い、連携自体はユーザが登録する必要があります。柔軟に対応できる面もありますが、自分たちで設定しないといけないのは負担になるかもしれません。
Metaps
Metapsは「世界の頭脳になる」というVisionを持つ、日本企業です。人工知能や、データからの意思決定など、かなりデータのフォーカスしたサービスを提供している会社になります。
当初はリワード広告サービスを展開して、その後、データ分析領域のプロダクトに注力してきました。
世界に8拠点を持ち、現在は中国、台湾、韓国など、アジアに注力している状況です。
代表の佐藤 航陽さんは、かなりとんがった人なので、書籍やBlogで確認していただければと。本当に面白い考えを持つ方です。
プロダクトの特徴としては、以下のとおり。
・優れたUi/UX
デザインに注力している企業でもあり、その管理画面もシンプルで、綺麗なものになっています。日本企業ということもあり、海外製品を日本語化しただけということはなく、日本人が使いやすい製品となっています。
・スマホに特化しており、ブラウザ、アプリ共に対応
スマートフォン向けというスタンスを取っており、アプリ、ブラウザ、共に対応しています。
・広告の効果測定 / 特に動画に注力
効果測定機能はありますが、動画領域への注力しており、動画指標も豊富です。
・Web接客、Pushなどにも対応
計測だけでなく、Web接客やPushなど、ユーザとのコミュニケーション施策も1つのSDKで提供可能です。
いかがでしょうか?
これ以外にもTune、Flurry、Mixpanelなどのサービスもありますが、今回は日本市場でシェアが高い3つを紹介しています。