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中学時代の友達と再会したら勧誘されて勤行までした話

前振り


こんにちは。私は美少女。かわいいかわいい妖精だ。うそつけ
皆は「顕正会」という宗教をご存じだろうか。よく駅前で新聞で配っている例の団体といえばこれを指す人が多いと思う(選挙期間になると政党とか色々あるけど)。


日蓮大聖人の仏法、駅前で貰ったことがある人も少なからずいるはず


私はこういう宗教的であったり政治的なビラは、どんな思想であっても基本的にはもらいに行く主義なので、何度か勧誘を受けたりしたことがある。ちなみに顕正会の人と仏教について30分近く話していて、入信を勧められたときは「明治大学を志望しているので塾に行かなければならない」と嘘をつき、退散した。なお私は明治はおろか法政にすら落ちたので、少なくとも仏法の効果に関しては嘘だと思っている。ちょっとしたおまじない程度に考えるのがよさげかもしれない。

本題

そろそろ本題へと移ろう。これは1月のある日曜日の事だった。
私がベッドで横たわっていたところ、中学時代の友達から急に「遊びに行こう」というLINEが届いた。編入試験に落ちて無気力な日々を過ごしていた私にとって、彼との再会は朗報そのものであった。
Aくんとは中学校の文化祭で二人で漫才をしたことがある。私がボケ役で、彼がツッコミ役を担当していた。漫才劇は大成功に終わり、二人で喜び合ったのは今でも記憶に残っている。

池袋駅で少し待っていると、中学時代の友達と知らない人がもう一人いた(固有名詞を使いすぎるのはくどいので、これ以降は中学時代の友達をAくん、知らない人をBさんとする)。少し不審に思ったので、その人は誰かと尋ねた。Aくんは「僕の友達」とだけ答えた。Bさんとは初対面だったが、Aくんとは漫才のような感じの掛け合いをするほど仲が良かったので、いつものノリで話したら自然と話せた。Bさんは私やAくんより数歳ほど年上の人で、大学を卒業していたため自分より人生経験が深かった。バイトの話になった時に「単純作業より、テキパキ動かざるを得ない大変な作業の方が時間が早く過ぎるよね」と言っていた。ただ私が最初に会ったときは、私はBさんのことを同い年であると勘違いしていたが。
私はこれからAくんやBさんと三人でゲームでもして楽しく過ごすのではないかと思っていた…、この時までは。

私とAくんとBさんは埼玉へと向かうために電車に乗り、Bさんの友達がいるところまで行こうということになった。私はAくんのことをよく知っていたので、Aくんの話をしたり、AくんとBさんがどのようにして出会ったかについての話をした。どのように出会ったかについて、Aくんは「道に迷っていた時にBさんに話しかけられて、そこから仲良くなった」と語っていた。このような出会い方は友達作りとしてはあまりないのではないかと少し疑問には思っていたが、この時はまだ三人で何か遊ぶのではないかという期待のほうが勝っていた。なぜなら私は数年ぶりに友達と会えたというだけで、すごくワクワクしていたからだ。

東武東上線でもなぜか川越市駅や朝霞台駅のような大きな駅ではなく、上福岡駅とかいうクッソ微妙な感じの駅で降りてから私たちはBさんの友達がいるという家に向かった。その道中でBさんは、急に話題を変えた。

「仏法って知ってる?」


私はこの言葉を聞いて、Bさんがなんか怪しいという感じは確信へと変わった。私は仏法に関して少しは知っていたので、「なんか仏法って創価学会とかそういう感じのやつっすよね?」と答えた。
それを聞いてBさんは「あー、そういう他の仏法やってる所ってお金儲けのためにやってるんだよね、うちでは数珠とか御経だけだから安いし」と返した。そうこう言ってるうちに、少し古い感じの集合住宅に着いた。おそらくここがBさんの友達(?)のCさんの家だろう。古い団地のアパートだった。そういえば、Aくんの家もこういう感じだったな。
Bさんの友達(?)のCさんは、おそらく30代~40代くらいの男の人で、友達としては少し不釣り合いに思っていた。少し怪しいなと思い部屋の襖を開けてみると…

なんと仏壇の他に、浅井昭衛先生の肖像画と日蓮大聖人の仏法がまるで北朝鮮の金日成や金正日の肖像画のように小綺麗に飾られており、誰が見ても異様と思うような部屋がそこにはあった。

私はようやく、ここが顕正会で勤行をする部屋なのだと悟った。ただ来てしまった以上、引き返すのは難しい。私はBさんに言われるがままに、数珠と御経を手渡されて勤行をした。

「南妙法蓮華経…南妙法蓮華経…南妙法蓮華経…」

という3人の声と、たまに木魚の音だけが響くような落ち着いた空間が広がっていた。自分は仏教とはあまり関係がなく、葬式も神式だったためか仏教の勤行は初めてであった。この時の私は、「なんでBさんは、バイトの話をした時に矛盾した事を言ったのだろうか。勤行こそ、単純作業じゃないか」と思っていた。
それでも私の怒りは収まらず、再会を台無しにしたAくんには勤行中に中指を立てて、ささやかな抗議を示した。「もう彼とは関わりたくない」という私なりのメッセージだ。

そして勤行が終わり、これ以上いると危険だと思った私は「もうすぐバイトがあるので帰らなければならない」と言った。それを聞いたのか、AくんとBさんはあっさりと帰る支度をしてこの部屋から立ち去った。顕正会のことだから、なにか言いつけて帰らせてくれないだろうと思っていた私は少しびっくりした。
帰り際に「繋がりが欲しいから電話番号を交換しないか?」とBさんから言われたが、友達のに入っているはずだと答えてなんとかはぐらかした。LINEは上福岡駅のホームで2人ともブロックし、電話帳も削除した。もう会うことは二度とないだろう。

私は帰り際に、彼と再会したことへの後悔と、悲しみの気持ちが急にこみ上げてきた。

一緒に漫才をしたり、笑い合ったりケンカしたりした彼はもう戻ってこないのだろうか。そう思いつつ、一人寂しく帰途についた。


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