おっさん趣味スリー
若い頃はテレビなんかをみておっさんが語る、筋トレ、ゴルフ、キャンプなんかをおっさんの趣味として小馬鹿にしている側の人間だった。運動については前回の「謎の運動部アドバンテージ」というベクトルが邪魔をしていたし、ゴルフについてはサッカーをやっていたのが影響しているのか野球などの静的なスポーツがどうも苦手というか、好きになれなかった。
さてキャンプである。誰と隠すこともなく、初対面の人からも生粋のインドア派として認識されてしまう自他ともに認めるインドア派の自分だ。アウトドアで辛い思いをしながら自然を楽しむより、いいホテルに泊まりたいと思ってしまうタチなので、これまではまったく興味がわかなかったのだが、最近ついにアウトドアムーブメントが訪れた。ただしキャンプに行ったことは、まだ ない。
なぜ、キャンプなのか?と問われると、ひとつは独り暮らしであることに危機感が芽生え、最近防災グッズとしてアウトドアグッズから良さそうなものを探しているのだが、ちょっとずつアイテムが溜まってきてしまっているのである。これを使いたい。
もうひとつは、都会に飽きた。
仕事をし始めてから、20年近くも東京で働いている。外出しても新宿・渋谷周辺から変わらないのでなかなか変化は見込めないため、そろそろ東京の景色にも見飽き、行くところがなくなって家に籠もることが多くなった。家にいるとまたインターネットの誘惑が襲ってくる。
最近は特にiPhone、iPad、パソコンそして手軽に起動するゲーム機と至るところに適切なデバイスがあるせいか、情報がひっきりなしに降ってきてその洪水に流されていながら、それを心地よいと思ってしまっている自分もいる。あの箱の中は、映画、ゲーム、漫画、エロ、情報、コミュニケーション(のようなもの)とコンテンツの悪魔的な誘惑が詰まっていて、一度開けてしまっても最後に希望は出てこない。時間だけがどんどん切り取られ、誰に話すこともないまったく必要のない無駄な情報だけがちゃくちゃくと溜まっていく。さらにそれを博識と勘違いしてしまうから厄介この上ない。
この日常的ルーティンから少しでも変化が欲しいという感覚が日に日に強くなってきた。
都会から逃げたくなったり、人生に一区切りつきこれまでとは別のものに目が行くようになったり、純粋に癒やしを求めたり、単純に気分転換だったりといったものが、ひとつの道に集ってきているのがおっさんの趣味なのかもしれないという境地に至る。
そんなことを思っている間に、季節は秋。
初心者がキャンプをやるにはつらい時期になってきた。
いまは、とにかくまずテントを買わないことにはなにも始まらないということで、テントに絞って比較検討をしているが、とにかく実物を見るのが困難というのもあり一歩進んで一歩下がるという所謂なにも進まない状態になってしまった。いつか森の中でひとりでテントを張り、本だけ読んで暗くなったら早く寝るという1日を過ごすべく日々キャンプ用品探しに勤しんでいる。最近はYoutubeにあるおっさんが独りソロキャンプで画面に向かって語りながら、酒盛りを始めてしまうという悲哀溢れまくった動画ですら見てしまう始末だ。
いざ、おっさん!という段になってみると色々見えてくるものがある。いや絶対興味ないでしょう。と思っていたものも、おっさんになるとこういった趣味を理解できるようになるのが必然ということがわかってくるから不思議なものである。
なんとかキャンプを実行し、その失敗談をエピソードトークとして語れる日が来ることを自分自身がひとり願ってる。
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