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2020年 上半期に聴いた最高な洋楽アルバム/アーティスト

今年に入ってからほとんど家に籠もっていたから、好きな音楽を聴きながら仕事をできたという人も多いと思いますが、在宅期間中の音楽ライフはどうでしたか?

ということで今回は2020年の半年の間に発売された洋楽アルバムと、今年発見したアーティストもあわせて一挙紹介しようと思います。
なぜかアルバムとアーティストをごちゃ混ぜにしているのですが、それはアルバムが出ていないだけで紹介しないのはもったいないなと思ってしまったら。
2020年まとめのアルバム紹介はこちら

ではどうぞ!

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Easy Life

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新人の登竜門、BBC Sounds of 2020にも選出されたUK・レスター出身の5人組。今年絶対にオススメしたい新人バンドだから、アルバム紹介と言いながら一番上に持ってきた!
90年代なチルなスロウビートにラップ調の語るようなメロディが心地よく響く。ゆるっとしたリズムに乗りながら体をすこし揺らして、口ずさめるようなポップさも魅せてくれるバンド。ロックファンの中でもHIP-HOPに惹かれてきてしまっている人も多いと思うが、そんな人とロックを繋ぎ戻す存在になるのかもしれない。アルバムこそ出ていないがすでに準備は万端というほど楽曲があり、9月のSupersonic出演まで予習は万全な状態。

The 1975 『仮定形に関する注釈』

仮定形

エレクトロニカ的なアプローチでアルバムを重ねてきた彼らだが、今作は少し方向転換してジャンルレスともいえる色々な表情をごちゃ混ぜにしたような作品になった。初期衝動に戻ったかのようなグランジなシャウトとノイジーなギターが姿を見せたり、合間に挿入されるエレクトロニカやお得意の甘いポップソングもありとアルバムとしてはまとまりが無く全体を捉えるがちょっと難しいかもしれない。ただバンドの持つクリエイティビティやパワーは遺憾なく発揮されている全22曲80分もある大作。分かりづらいからこそ聴くほど評価が変わってくるんじゃないかな。ロックアーティストが何を伝えるかも時代によって変化しているが、聴く人の「既存の先入観をブチ壊す」という観点では確かにそれもロックだと思える。

Mura Masa 『R.Y.C』

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近年でも、もっとも注目を集めるアーティストのひとりである若きプロデューサー・アレックス・クロッサンによる2nd。映像を見るとエレクトロニカのビートの中にも本人がしっかり楽器を演奏したりと、ロック的なアプローチが感じられて好きになったんだけど、よりロックの方に寄ってきたような作品でもはやパンクと言ってもいいかも。コラボアーティストも非常に豪華でこれきっかけに彼らの事も深堀りしてみてはいかが?

Georgia 『Seeking Thrills』

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ロンドン出身の女性シンガーソングライター/マルチプレイヤーのGeorgiaもBBC Soundsノミネートのひとり。先に挙げたMura Masaの最新アルバムにもfeaturingされていたりと、80年代のテクノサウンドに影響を受けながら非常に耳障りのいいポップさを聴かせてくれる。今年のフジロックでも来日予定だったが、調べているとステージでは一人ドラムパッドを叩きながらパフォーマンスするとな!?LIVEも気になる!

Ryan Beatty 『Dreaming of David』

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去年から続く、個人的Brockhamptonブームのつながりで発見したL.Aを拠点に活動する25歳のシンガーソングライター。これまでにもケビン・アブストラクトやTyler the Creatorなどともコラボしており、「Sugar」で冒頭の歌を歌っているのが彼。James Blakeが出てきた少し後ぐらいからトロイ・シヴァンといったインディー・ポップともいえる男性シンガーを個人的に注目していて、ポップといってもなんだか気恥ずかしいような大衆さではなく、アーティスティックでいながら歌えてしまうような耳障りの良さがある。
HIP-HOPクルーやフィーチャリングでのつながりはこういった掘り起こしをしやすいのがいいですね。

Dominic Fike

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ここ最近続くHIP-HOPムーブメントの影響で、色々な新しいアーティストに出会えて嬉しい限り。今年まだアルバム作品は無いもののその流れで発見したのがこのフロリダ出身の24歳のラッパー/シンガーソングライター。拘置所に入っている間にSoundcloudに挙げた楽曲が注目されるというなかなかな逸話を持つようだが、それもそのはず。彼の楽曲「3 Nights 」「Phone Numbers」を聴いたらその魅力が一瞬でわかるからだ。ロックの生音、気だるいHIP-HOPそして最高のポップセンスを携え、すぐにでも次世代のポップスターになってしまいそうな存在(もうなってるのかもしれないが。)だと思う。

Yves Tumor 『Haven to A Tourtured Mind』

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2018年の3rd『Safe in the hands of Love』が世界的にも注目されたプロデューサー・ショーンボウイによるソロプロジェクト。Warpといったエレクトロニカ系のレーベルから作品をリリースしているが、この作品を聴いてジャンルがなにか?と問われると「ダーク、実験的、ロック、R&B、その他その他...」と一言で言い表すのが難しい。
本作もCDが音飛びしたかのようなループや、ゴスペルの要素があったりと実験的ではありながら、サイケなギターの音色が響き渡るロックアンセムになっていて、これを書くために調べているとビジュアルイメージはマリリン・マンソンやジギー・スターダストのようにグラムだったりと、複合的でいて難解。クラブミュージックというよりインテリなロックファンにハマるんじゃないかな。

King Krule 『Man Alive!』

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僕らが年を取って、ちょっと青臭い10代の楽曲を聴くなんてなんだか気恥ずかしいような気がするという固定観念をすっとぶっ飛ばしティーンエージャー、知るか!ただただカッコいいと思わせてくれたのが彼である。ノイジーなギターに乾いた低い声で、グライムのように歌詞を語るスタイルは正にボブデュランのような、詩人的シンガーソングライターの理想像を見ているような気になってしまう。

Moses Sumney 『Grae』

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Sigur Ros以来に訪れた品川チャペルでの来日公演も記憶に新しいL.Aを拠点に活動するファルセットがなんとも特徴的なシンガーソングライター。先に上げたYves Tumorもそうだけど、黒人のソロシンガーが自分たちのルーツをベースに、エレクトロニカや実験的なサウンドを組み合わせて、なんとも美しいエクスペリメンタル・ゴスペルというかソウルみたいなものを作り上げてしまっている。この作品はなんとも壮大な2枚組の作品なんだけども、ストリーミングで視聴していると2枚あるのに気づかなかった。コンポの中でCDががしゃがしゃ入れ替わっているのも今考えるとオツだったのかもしれない(余談)。

Perfume Genius 『Set My Heart On Fire Immediately』

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Perfume Geniusことマイク・ハドレアスによるソロプロジェクトの5作目。1stを聴いたときそのミニマムすぎるピアノは、非常に内省的でセンチになってしまうような退廃的な美しさがあったように思う。このアルバムは内省さというより、クラシックを取り入れたチェンバー・ポップが美しさを際立たせるが、高らかに鳴るギターは閉じこもらず自身を積極的に表現するかのような自信を見せる。独自のポップセンスが光る作品で、ソロの境地でたどり着いた一人Arcade fireとも感じた。あまり受け流さず、まずは向き合って聴いてみるのがいいかもしれない。

Everyone You Know

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90年代のUKロックを生きてきた自分にとって「ねぇ、聴いて聴いて〜!」とどうしても言わずにはいられないロンドン出身の兄弟デュオ。最初に聴いたときある種衝撃を受けた「The Drive」はKasabianがフレッド・ダーストとコラボしてるのかと思ったし、90年代のダンス・ミュージック的アプローチとUKロックに、グライムやドラムンベースも組み合わさってよりエモーショナルにアプローチしてくる。
このアーティスト写真も確実に90年代を意識しているかと思われるスタイリングで、もう左は90年頃のイングランド代表のユニフォームだしな笑

The Strokes 『The New Abnormal』

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デビューアルバム『Is This It』が現2000年代最高の名盤と断言していいような作品であるからつい比較してしまうんだけど、新作からの先行シングルを聴くと毎回異なるアプローチを感じて、それに囚われないチャレンジを模索しているのかなと思う。この7年振りとなるアルバムはギターが高らかに鳴ることもなく、80'Sなシンセも控えめでゆったりめのストロークス節を楽しめることができる。そんなバンドももう気づいたら自分の年齢同様ベテランになっていて、もともと疾走感はゼロだったし、いい味出すようになってきたのかもしれない。それにしてもこの手のバンドが20年解散してないって、最近では珍しいよね。

Childish Gambino 『3.15.20』

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This is America」の注目度(グラミーまで受賞してしまった)やコーチェラでのパフォーマンスなどで新作が待ち望まれていたが、なんの前情報もなく突如リリースした本作。これまでにタイトルがあった楽曲も全体をひとつのトラックに見立てて、再生時間に合わせて"秒数"で表記するなどコンセプチュアルな作品になっているようだが、冒頭の曲は普通にタイトルが付いていたりするから不思議である。前作『"Awaken,My Love!"』も好きでよく聴いていたのだが、ラップか?と言われるとよくわからず、HIP-HOPや複雑化したポップス、エレクトロニカなどを複合的に組み合わせた21世紀のモダン・ソウルなんじゃないかと思ってる。俳優ドナルド・グローヴァーとしても活躍し、映画『ハン・ソロ』にランド役を務めていたりもするのはちょっと面白いよね。

Tame Impala 『The Slow Rush』

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当初はロックリバイバルの流れで登場したサイケなハードロックバンドの印象だったんだけど、前作『Currents』でエレクトロニカ的なアプローチが進んだからかアーティスト写真がひとりになっていて、今作で遂にケヴィン・パーカーのソロプロジェクトだったんだと気付かされた。もはや南半球的なハードロックさもサイケバンド感も無く、チルポップと呼んでいいほどポップスに傾倒したような作品。ロックファンとしては若干物足りないが、もはやコーチェラでもヘッドライナーなわけだし、Phoenixのようなポップな存在になってきているのかも知れない。

Lauv 『~How I'm Feeling~』

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けっこう前からずっと気になっていたL.Aを拠点に活動するシンガーソングライター/プロデューサー。再生すればすぐ胸を掴まれてしまうほど超極上のUSポップソングを聴かせてくれる。ポップと言っても弾けるような明るさというより切な系。2015年頃からシングル曲や楽曲提供を中心に活動しており、ようやく今年デビューアルバムをリリースしたことで、しっかり向かい実像が掴めた気がしてる。大量に楽曲をストックしていたようで全21曲とボリューム満載。コラボにはトロイ・シヴァンやBTSなども参加している。

Adam Melchor

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サイモンとガーファンクルも今でいうとビューティフル・フォークとでも呼ばれるのかもしれないが、そんな透明感のある美しい声とシンプルなフォークを聴かせてくれるニュージャージー出身のフォークシンガー。60年代のメロディのような心地よさがあり、2019年発表の「Joyride」はもうずっと聴きたくなってしまう名曲だと思う。ある種既知のものであってなにか別のインパクトや、シーンがないと難しいのかもしれないが。

Fiona Apple 『Fetch the Bolt Cutters』

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8年ぶりの作品ながらPitchforkで10点満点中10点を叩き出したまさかの作品。重苦しいピアノと低いソプラノ声が特徴的で、美しいがガリガリの体型の天才シンガーソングライターという地雷感あるイメージに本人も翻弄されてきたわけだが、自分にとって2ndの『真実』は未だに再生するほど好きな作品。ビリー・アイリッシュなどの影響もあるのかもしれないが、フィオナがこうして再評価されるのは嬉しいことだね。

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 振り返ってみると、知っているアーティストばかりに目を向けて保守的なリストに思えてきた。新規で仕入れましたというアーティストが少なかったかもしれない。


特にコロナの影響で、アーティストのリリースも慎重になったというのもあるだろうし、いやむしろこの時期に届けて少しでも力になりたいと思ってくれたアーティストには感謝しかない。

LIVEも軒並みに中止になり、自分の古巣も苦しんでいる。奇跡的に当たった日向坂46のチケットも、開催の見通しはいまだ立たない状況だ。


しかし逆に考えると、家でゆっくり音楽に向き合える期間であるとも考えられるから、いままでの学生時代に聴いたフェイバリットな音楽を振り返ってみたり、新しいアーティストを探してみたりするのはどうでしょう?

プレイリスト

各アルバムから、プレイリストをまとめたので聴きながら見てみてください。

 ちなみにスーパー余談ですが、作業中に正面にあるPCのスピーカーから音が鳴るのが邪魔だったので、思い切ってずっと気になっていたマーシャルのスピーカーを購入しました。





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