入院しました2
前回
お腹が痛い時のポーズは人それぞれであろうが、大体はいかに痛い箇所を庇うことができるかに尽きる。
1. トイレでうずくまりながら、唸る
これは冷えや下痢などの症状時に非常に良い。基本的にトイレに籠ることになるわけだから自然とこの姿勢になる。
2. 床に膝をついて、ベッドに顔を埋める
これはお腹を抱えるのにちょうど良い。ということだけ述べておく
3. りんご寝相
乃木坂ファン以外には、なんのこっちゃという感じだろうが、松村沙友理が寝る時、ベッドの上で正座しながら体を抱え込んで寝るところから来ている。これはお腹が痛い時の最上位の姿勢である。
救急車をお出迎えするにあたって、今回は誠意を持って”りんご寝”で待たせていただいた。いや、何より痛いからである。どうにかして痛くない姿勢を何個か模索してみたのだが、結局どうにもならん痛みだった。
「ぎゅっ」と締め付けられる痛みが来るたびに、どうにか腹筋を引き締めて少しでも回避するように努めてみるも、結局いつまでも続くんだもんよ。
はじめての救急車
救急車がマンションの前に着くと、自分一人に3人の救急隊員の方々がわざわざお迎えいただいた。きっと状態がわからないから念のため来てくれたのだろうが、颯爽と息も絶え絶え近くに停めてある救急車に乗り込む。
これにより今まで「俺、救急車とか乗ったことないんだよね〜」という効果が全くない意味不明マウントが取れなくなってしまった、なんたる無念。
救急車に乗ると、救急センターに相談した症状を再度説明。その間に検温・血圧・血中酸素を測るのだけど、この3データのチェックが今後もひたすら続くことになる。
乗り込んでしばらく経った後も、もちろん痛いままなのだが救急車は一切発車してなかったことに気づいた。隊員が現地で症状を再確認してから、受け入れてくれる病院を探す。
それが見つかってから走り出すんだね。
救急車が家の近くでずっと停まっていたりするのは、そういうことか。
これは後で気づいたことなんだけど、結局10分ぐらいで車は走り出した。
コロナ禍で色々受け入れ先が見つからないといったニュースが流れていたことを考えると、鎮静しているこのタイミングにお腹が痛くなったのは、不幸中の幸いと言えるのかもしれない。いや、不幸でしかないのだが…
車の中でも特に何か処置することはないので、時折痛みが込み上げて来るのだが、救急車の車内はけっこう揺れる。
一番後ろに座られされているからだろうか?
ゆっくりだが赤信号に突入したりすることを考えると、仕方ないんだろうなぁと思いながら電車と違う不機嫌な揺れに身を任せる。はよ着け!
思いのほか、すぐ病院に着いたんだが病院名を言われても一体どこに連れてこられたのか全くわからない。
目隠しをされて、いきなりバンに乗せられてきたような気分でクロちゃんや出川さんって大変ね。
前に、マドンナがツアー中に自分がどこにいるかわからないと言っていたが、建物間をひたすら移動するだけだとそうなるらしい。
昔、新幹線で大阪や名古屋に行っていたが、風景や言葉も変わらないので「ここは本当に地方か?」と思ったりしたものだ。
救急室
救急室に着くと、とりあえずまた同じように症状を説明すること3回目。
寒気で時折体がてんかんみたいにガタガタ動いてしまう手足を放置しながら(止めようとすると無駄なエネルギー使うから)、実際に寒いベッドで横になり、点滴を受ける。
点滴の管は太い。
ぶすっと刺されると思ったより痛い。
それにしてもこの点滴の効果たるやなんとも素敵。前に食中毒になって震える体で2時間ぐらい待合室で待たされたことがあるんだけど、点滴を受けただけでスッキリ回復した。
それ以来、「ポカリの成分が点滴と同じ!?」と聞くや、これまで体調不良の時はDAKARAに頼ってきたものを、ポカリ様に鞍替えした。
それほど点滴への絶対的信頼度は厚い。
今回も点滴を受けるだけで、症状は少し落ち着いてきたので「やはり点滴は神の飲み物!」と盛り上がりながら、レントゲンを受けに行く。
「ついでにCTも受けてきて」と気軽に言われたのだが、「いや、CTってあの、なんかすっごいでっかい中に入ってく怖そうなやつ、ですか!?」と、ちょっとだけ怖くなる、いやほんとちょっとだけね。はじめてだからさ!
レントゲンはいいとして、CTは思ったよりでっかい機械じゃなかった。ただ首も腕も完全に固定されて、目を瞑ってた方がいいのかすらもわからず、とにかく指示通り呼吸をする。
ちなみにここに連れてこられるまで、深夜の誰もいない少し薄暗い病院の中を、はじめて乗った車椅子に乗って進んでいると、自分が映画のカメラになったような気分になる。
それほどスムースに車椅子は地面を周り、痛みに傷ついた自分を難なく運んでくれる。車椅子から見る風景ってこんな感じなんだね。
痛みも落ち着いてきて、横になっているとお医者さんが来て症状を説明してくれた。そして一言
「腸閉塞だから、入院ね。」
「えっ!」
(つづく)
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