H.265/HEVC

H.264/AVC (Advanced Video Codec) の次世代動画コーデックとして、2013年に国際標準規格化された H.265/HEVC (High Efficiency Video Codec) もようやく普及が進んでくるか。

記録のため、現状をメモしておく。

H.264と比較して25-40%ほどのファイル容量縮小が可能ということで、

●  Blu-rayの次世代ディスクである「UHD Blu-ray」の規格となり、

1.  携帯電話

徐々にカメラ側のHEVC対応も主に携帯電話から。

●  iPhone/iPad
iOS11(2017年9月19日) から写真・動画撮影に採用。iOS11と同時に発売された iPhone 8/8 Plus、またそれ以前のモデルとしては iPhone 7/7 Plusも対応した。(macOSは、macOS High Sierraからサポート)

※ これはこれで導入当初は混乱を引き起こした

●  Android
それまでにSONY、Samsungなどメーカー・機器毎のサポートはあったが、OSとしてのサポートは2018年の**Android 9.0 (Pie) **から。

その他、GoPro Hero6 Blackなどからアクションカムでも採用が進んだ。

2.  TVやBlu-rayレコーダー

一方家庭におけるTVやBDレコーダーも、BS4K/110度CS4Kチューナー内蔵など4K/8K対応が進むにつれ、TVではHEVCデコーダーの採用がされてきた。

BDレコーダーはTVより数年遅れての採用が増えてきた。

●  SONY
「ブランド名なし」(TVは「Bravia」)
BDZ-FBT4000/FBT3000/FBT-2000/FBT1000
2019年11月16日発売

●  Panasonic
「4K DIGA」(DMR-4W400、DMR-4W200、DMR-4S100)
2019年7月19日発売

3.  ビデオカメラ

民生機のビデオカメラは、まだHEVC採用製品はないと思われる。
(SONYが同社のデジタルカメラやハンディカムに採用している「XAVC S」というH.264を独自拡張したものの次世代規格として「XEVC」というH.265をベースとした独自規格をA7s IIIに搭載してくるという噂があるが)

業務用では、2018年に世界初 Canonから「XF705」(4K (XF-HEVC) 60p 10bit 4:2:2 160/110Mbps) が発表された。

またPanasonicからは、「AG-CX350」 (4K60p 10bit 400Mbps)を経て、2020年3月19日に「HC-X2000/X1500」(MOV形式 4K60p 10bit 200Mbps)と(MP4形式 4K60p 10bit 100Mbps)が発売された。

4.  まとめ

普及がなかなか進まなかった理由としては、特許に関連するライセンス料、特許受益者が複数であること、H.264と比較すると10倍とも言われる符号化処理(エンコード処理)による高負荷などがあるが、4K/8K TV放送の開始、UHD Blu-rayの増加、カメラの対応拡大が進むにつれてさらに普及していくことであろう。

一方で、「AV1」というHEVCよりもさらに容量を削減でき、ロイヤルティーフリーな規格の登場や、H.266(VVC)というH.265の次世代規格が2020年中に仕様確定されるということもあり、H.265の今後を注視したい。

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