見出し画像

イギリスのお葬式

先日、夫のお兄さんのパートナーの方のお葬式に参列してきました。日本のお葬式と比べながらまとめてみます。

まずイギリスでは日本のようなお通夜はありません。お葬式の場所は、(宗教的な)教会、または(非宗教的な)火葬場内のチャペルなどが一般的です。今回は後者のチャペルで行われました。日本でいうセレモニーホールのようなところでした。

次にイギリスでは日本のような喪服はありません。服装は黒や暗めのものが無難ですが、中にはピンクのジャケットや花柄のスカートなどで参列している人もいて割とカジュアルです。

そしてイギリスでは日本のような香典はありません。参列できなかった人はお花やカードを送ったりしますが、参列者は特に何も持参しなくていいようです。最近では故人と関わりのあるチャリティ団体へ募金するケースも増えてきていて、今回の式でもCancer Reserch UKというがん研究機関への募金が呼びかけられました。

〜お葬式→埋葬式→食事会の流れ(全約3時間)〜
お葬式
式の進行は、教会の場合は神父または牧師、チャペルの場合は民事司祭が行います。
・Entry Music(入場曲)
・Welcome and Introduction(司祭の挨拶)
・Remembering(故人の生い立ち紹介)
・Reflection Music(故人を偲ぶ曲)
・Poem(詩の朗読)
・The Lord’s Prayer(聖書の主の祈り)
・Closing Words(閉式の言葉)
・Exit Music(退場曲)
式で流れる曲は故人が好きだったもので、落ち着いたクラシック音楽でも明るいポップ・ミュージックでも何でもOKです。

埋葬式
故人は火葬ではなく森への埋葬(樹木葬)を選択しました。そのため棺は木製や金属製ではなく土で分解するタイプの籐製。墓標の代わりに故人が選んだ苗木が植樹されます。埋葬の儀式では棺の周りに参列者が集まり、司祭によって詩が朗読され、故人の冥福をお祈りします。今回読まれた詩は「Do Not Stand At My Grave And Weep」日本でも有名な「千の風になって」でした。

食事会
食事会の会場は教会のホールやパブなどが一般的です。今回は埋葬地に隣接するゴルフ場のクラブハウスでした。サンドイッチ、ケーキ、コーヒー、紅茶、アルコールなどの軽食がビュッフェ形式で振る舞われ、故人の写真を見たり思い出話をしたり。「いい式でしたね」と皆さん穏やかな表情で話していたのが印象的でした。

日本のお葬式と比べると全体的に明るく和やかな雰囲気でした。これは仏教とキリスト教の死に対する考え方の違いが関係しているようです。仏教では死は不幸であるものと捉えているのに対し、キリスト教では死は永遠の命の始まりで神の元へ召される祝福すべきものとして捉えています。

…とはいえ、大切な人を亡くした悲しみは同じです。宗教によって考え方は違っても、どのお葬式も故人を温かく見送り、遺族の心を慰める大切な儀式であることに違いはありません。

今回イギリスのお葬式に参列してみて、故人も遺族も前向きになれる式はいいなと思いました。そして夫と「いつかは自分たちの身にも起こること。その時にお互い慌てないように事前にある程度の準備はしておこう」と話しています。

〜ワンポイントお葬式英単語(A-Z)〜
Burial: 土葬
Coffin:
Cremation: 火葬
Crematorium: 火葬場
Deceased: 故人
Funeral: お葬式
Hearse: 霊柩車
Religious: 宗教的
Secular: 非宗教的
Woodland Burial: 森への埋葬(樹木葬)

いいなと思ったら応援しよう!