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イギリスのビザ*Q&A

ビザってそもそも何?と家族や友人から質問されることがあります。確かに当事者にならないと分からない謎のビザ。Q&A方式でまとめます。(記事内の通貨は2024年7月現在の£1=¥200で換算)

Q1 パスポートとビザは何が違うの?
パスポートは「自分の国籍がある国が発行する、世界で通用する身分証明書」。海外へ渡航する際には必携で「命の次に大切」と言われています。イギリス滞在予定が6ヵ月未満の場合はパスポートのみでOK。ビザは不要です。
ビザは「渡航先国が発行する、自国民以外の入国や滞在を認める許可証」。イギリス滞在予定が6ヶ月以上の場合はパスポートに加えてビザが必要になります。

Q2 ビザにはどんな種類があるの?
学生ビザ、就労ビザ、家族ビザなど様々な種類があります。私は「家族ビザ」で現在イギリスに滞在しています。

Q3 ビザにも有効期限があるの?
はい。パスポート同様、ビザにも有効期限があります。有効期限よりも長く滞在したい場合は、ビザの延長手続きが必要です。私の場合も永住権を取得するまでに合計4回もビザの手続きをしなければなりません。その都度膨大な書類の準備と多額の費用がかかります(泣)

Q4 イギリスのビザ取得は難しい?
はい。イギリスは移民が増え続けていて、政府は移民流入を抑制するのに必死です。今年に入ってビザの発給要件がさらに厳格化されました(詳細はQ5で)。純移民数*を30万人削減することが目的だそうです。

*純移民数: 入国した移民の数から国を離れた人を差し引いた移民の数。2022年は過去最高の745,000人に達しました。

Q5 今年のビザの変更点は?
家族ビザに関わる変更は次の2点です。どちらも財政面で相当厳しくなりました。
変更① 最低年収額の引き上げ
家族ビザ申請要件のひとつである最低年収額が£18,600(¥3,720,000)から£38,700(¥7,740,000)へ、2025年までに段階的に引き上げられます。この年収額を満たさないと家族ビザは取得出来ません。新年収額は初めて家族ビザを申請する人から適用されます。私のように既に旧年収額で家族ビザを取得している場合は、永住権取得まで旧年収額が適用されます。
変更② IHS(移民医療費)*の値上げ
年間£624(¥124,800)から£1,035(¥207,000)へ、1.5倍以上に値上げされました。ビザ申請時には、ビザ申請費とIHSの両方の支払いが必須です。

*IHS(Immigration Health Surcharge/移民医療費): イギリスの公的医療サービスであるNHS (National Health Service/国民保健サービス)を移民が利用するための費用。NHSは税金で運営されており、処方箋や歯科など一部を除き、原則無料で診療を受けることができます。

IHSが導入された2015年当初は、年間£200 (¥40,000)でした。それがわずか9年で約5倍に。IHSが導入された背景には、以前は税金を納めていない移民も無料でNHSを利用できていて、それがイギリスの財政を圧迫するようになったということがあります。

ちなみにイギリスで働いている移民はイギリス人と同様に税金を納めているので、IHSは二重課税ではないかという議論もあります。私も仕事をして税金を納めているひとりです!

最後に、私の永住権取得までの道のりを簡単にまとめます。

【初回申請】
ビザ種類: 婚約者ビザ(家族ビザの一種)
申請費用: £1,538(¥307,600)
IHS費用: 対象外
有効期間: 6ヶ月
就労可否: 不可
申請年月: 2023年2月
*このビザでイギリスに入国

【2回目申請】
ビザ種類: 配偶者ビザ(家族ビザの一種)
申請費用: £1,048(¥209,600)
IHS費用: £1,560(¥312,000)
有効期間: 2年6ヶ月
就労可否: 可
申請年月: 2023年11月
*現在このビザで滞在中

【3回目申請】
ビザ種類: 配偶者ビザ(家族ビザの一種)
申請費用: £1,048(¥209,600)*2024年現在
IHS費用: £2,587.50(¥517,500)*2024年現在
有効期間: 2年6ヶ月
就労可否: 可
申請年月: 2026年5月頃予定

【4回目申請】
ビザ種類: 永住権
申請費用: £2,885(¥577,000)*2024年現在
IHS費用: 対象外
申請年月: 2028年12月頃予定
*配偶者ビザで5年滞在すると永住権申請可

合計4回のビザ申請にかかる費用は少なくとも£10,666.50(¥2,133,300)!今後これ以上値上がりしないことを祈るばかりです。

7月4日にイギリス総選挙が行われ、14年ぶりに保守党から労働党へ政権が交代しました。新首相はキア・スターマー氏。移民に優しい政府であることを願います。

ビザ申請に関するルールは随時変更されています。申請される方はイギリス政府のホームページより最新の情報を必ずご確認ください。

家族ビザの詳細はこちら↓

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