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アナグラム感謝祭 no.196「またも愛の名or迷文句:absenceに寄せて」

アナグラムーチョ by Makoto Sakashima(さか島まこと)です。

アナグラム感謝祭 no.196

またも愛に寄せた名文句なのか、はたまた迷文句なのか。

今回のお題、キーワードは、
absence「不在、離れていること」。
愛においては、相手と離れていること、そばに
いないことで様々な悩みや葛藤が生まれたりします。
いわゆる遠距離恋愛などではまさにそうでしょう。
 そんな少々辛い響きのabsenceではありますが、
これも愛の一断面ということで見てみましょう。

☆まずは肩慣らし的に 

Absence sharpens love.
「離れれば愛が鋭くなる」

 「不在が愛を鋭くする」とは、愛する相手が不在、
そばにいない、離れていることによって、愛が
さらに鋭くなる、強くなる、愛に磨きがかかる。
 あっさり言えば「離れてつのる恋心」といった
ところでしょう。格言系フレーズですが
これには次の長い形もあります。

Absence sharpens love, presence strengthens it.
「離れれば愛は鋭くなり、目の前にいれば愛は
強くなる」とは「離れてつのる恋心、いてくれれば
いやます恋心」といったところか。
 まあ、どのみち恋心は高まるということでしょう。
ご苦労さまと言えば良いのか、何と言えば良いのか。

☆これも納得のフレーズ

Absence makes the heart grow fonder.
「離れれば心はさらに愛着を増す」

 「離れれば心はさらに愛着を増す」とは
これまた主旨としては「離れてつのる恋心」と
いったところ。有名な格言。

→#trivia(トリヴィア)#もご覧ください。

☆この格言には良くできたパロディーが

Absence makes the heart grow fonder,
or it may wander.

「離れれば心はさらに愛着を増す。はたまた
ふらつくかかもしれない」

 これは前項格言の一種パロディー。英語的に
あまりに良くできた構造なのであえて別項として記載。
 意味的には「離れれば心はさらに愛着を増す」。
つまりは「離れてつのる恋心」という前半に
対して、「はたまた心はふらつくかもしれない」
という後半。
 要は、つのる恋心もふらついて雲行きが怪しく
なる可能性があるというわけです。遠距離恋愛を
思えば、やがて愛が冷めたり、心変わりがあったり、
誰か別の人に心が向かったりで、いかにも起こり
うることでしょう。
 さて英語的によくできたパロディーと言い
ましたが、文中の切れ目の語、fonder(フォン
ダァ)とwander(ウォンダァ)。これが韻を
踏んでいるんですね。
 別の言い方をすると、そもそもあったフレーズ、
例の格言の末尾の語fonderに対して、韻を踏む語
wanderを想起しつつ、or it may wander.の部分を
あえて配置、付加したのかと想像を膨らませたくなる。。
 見事に韻を踏ませて、しかも意味的にうまく
成立させているから本当に良くできています。
また、英語での押韻の面白味を、改めて感じさせて
くれます。(歌詞の中に頻出する押韻をさがし、
味わうことは私には無上の喜び、とはかなり
大げさで失礼しました)

[trivia]
Absence makes the heart grow fonder.
「離れていることで心はさらに愛着を増す」、
「離れてつのる恋心」。
このフレーズについての面白い話。
いやあ、久々にアナグラム登場です。
 何と、Absence makes the heart grow fonder.
この文全体、まるごとのアナグラムがあるから驚きです。
 で、どうなるかというと~
 He wants back dearest gone from here.
「彼は、ここから去った最愛の人に戻って欲しい」
 his dearestとでもなっていたら完璧かもしれないが、それでも
お見事、アッパレの文字の並べ替え、すなわちアナグラム。
 しかも、原文(Absence makes ~)の意味をふまえて
いるから、まさにアナグラムの醍醐味を味合わせてくれます。

ということで、C U next time!

※Language Art

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