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アナグラム感謝祭 no.197「コりずに愛の名or迷文句」
アナグラムーチョ by Makoto Sakashima
(さか島まこと)です。
アナグラム感謝祭 no.197
愛に寄せた名文句なのか、はたまた迷文句なのか。
前回に引き続き、お題、キーワードは、
absence「不在、離れていること」。
☆へー、absenceには効能もあり?
The joy of life is variety, the tenderest
love requires to be rekindled by intervals
of absence.
「人生の喜びは変化。どんなに優しい愛でも、
折にふれ離れることでまた燃えさかることが
必要だ」
どれほど情の細かい愛でもマンネリになる
可能性はある。ならば時には離れ離れになって
再点火、リフレッシュすることも必要だとのこと。
あえて、absence「不在、離れていること」の
効用を説いているわけです。
これは英国の作家・辞書編纂家、サミュエル・
ジョンソン(Samuel Johnson/1709-84)の言葉です。
☆興味深い、なるほどと思わせるたとえか?
Absence is to love what wind is to fire.
It extinguishes the small, it kindles the great.
「離れていることと愛との関係は、風と火の
関係と同じだ。小さなものはかき消し、
大きなものは燃え立たせる」
なるほどこの組み合わせによるたとえ、なかなか
面白い。風のせいで小さな火が消えるように、
はじめからちっぽけな愛は、離れ離れになれば消滅。
その逆で、大きな火が風にあおられ、さらなる
炎になるように、大いなる愛はいっそう燃え立つというわけです。
これはフランス語も達者なカナダ人の友人が英訳して
私に教えてくれたフレーズ。かなり昔の時代のフランス
の詩人の言葉のようだったような記憶が。
☆absenceの形容詞といえば、absent「不在である、
留守の」。付録的に、この語にちなむ決まり文句を
少々見てみましょう。
The absent are always in the wrong.
「不在の者がつねに悪者」
格言。日本語で言う「欠席裁判」みたいな響き
ですね。その場に不在であれば立場を悪くする
ということです。
◎He who is absent is always in the wrong.と
いうフレーズもあります。
Long absent, soon forgotten.
「長らく不在なら、そのうち忘れられる」
「去る者は日々にうとし」のようなニュアンス。
格言的フレーズです。恋愛を想定するなら、
前回に登場した、Absence sharpens love.などと
対極的意味。寂しい響きですが、これも人間心理の
常でしょう。
◎「去る者は日々にうとし」のニュアンスでは、
この格言がよく引き合いにされる。
Out of sight, out of mind.
「見えなくなると、心からも出て行く」。
ただこれは人間ばかりでなく、ごく一般的な
物にも使い、視界から外れた物に対しては
注意力も薄れ、忘れがちになるというわけです。
ということで、C U next time!
※Language Art
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