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アナグラム感謝祭 no.201「『愛される』系の名or迷文句」

アナグラムーチョ by Makoto Sakashima
(さか島まこと)です。

アナグラム感謝祭 no.201

恋愛に寄せた名文句なのか、はたまた迷文句なのか。
今回のお題、キーワードは、
be loved「愛される」。さっそく見ていきましょう。

☆まずは肩慣らし。

I want to be loved by you.
「私はあなたに愛されたい」

 単純明快 、ストレートなフレーズですね。
これは、伝説的な女優マリリン・モンロー
(Marilyn Monroe/1926-62)が歌った曲のタイトルを
参考にしたもの。
モンローの歌の原題は、I Wanna Be Loved By You。
口語的なwanna=want toを使っていました。ともあれこの
歌自体もスタンダード曲として、なかなか根強い人気のようです。

→#trivia(トリヴィア)[A]#もご覧ください。

☆ああ辛い思い。

It is dreadful not to be loved.
「愛されないことは恐ろしいことだ」

 恋愛に悩む英語圏の知人が、ふと漏らしたのがこの
印象的なフレーズ。何かの引用なのかな? 
ともあれ、誰しもこういう感慨にふけり、
悲しく暗い思いになることも一度や二度ではないでしょう。

☆愛されたいとは誰でも思うことですが。

If you would be loved, love and be lovable.
「愛されたいと思うなら、愛して愛すべき存在であれ」

 愛されたいとは誰でも願うところですが、そのためには
人をよく愛し、また他者から見て愛すべき、愛されるに
足る存在でありなさいというわけです。やはりある種の
give and takeが必要なのでしょう。
 これは米国の政治家・思想家のフランクリン(Benjamin
Franklin/1706-1790)の言葉です。

※If you would be loved, love and be lovable.
◎wouldは、if節の中では主語の意志、「~したいと思
う、~する気がある」を表現。
◎lovable「愛すべき、愛嬌のある」は、loveの形容詞。
loveableの表記も。

☆ただ一つの幸福とは?

There's only one happiness in the world,
to love and be loved.

「この世界にはただ一つの幸福しかない。
愛し愛されることだ」

 愛し愛されることの素晴らしさ、そのことへの賛歌。
いわゆる相思相愛の喜びを述べたフレーズでもあるので
しょうか。
 これはフランスの女流作家で、ピアノの詩人ショパンの
恋人でもあったジョルジュ・サンドの言葉。その英語版です。

→#trivia(トリヴィア)[B]#

☆愛されることと愛すること。

There is more pleasure in loving than in being loved.
「愛されることよりも愛することに、
より大きな喜びがある」

 愛されるよりは愛したいというのは、繰り返し言われたり
歌われてきたフレーズ、コンセプトか。
ここでも、愛の喜びは愛されることより、愛するほうだ
というのです。
 これは英国の歴史家、フラー(Thomas Fuller/1608-61)
の言葉です。

☆女性は本当にそうなのかなあ?

Sometimes a woman's love of being loved
gets the better of her conscience.

「時として、愛されたいと願う女性の気持ちは、自らの
良心を打ち負かしてしまう」

 女性は時に、愛されたいと思うあまり、自らの良心や
分別・道徳心を失ってしまうというのです。分かるような、
分からないような。そうだそうだと拍手すると、
女性からブーイングされそうですね。
 これは英国の作家、ハーディ(Thomas Hardy/1840-1928)
の言葉です。

☆至上の喜びは。

The supreme joy of life is the conviction
that we are loved.

「人生の至上の喜びは、愛されているという確信だ」

 なるほど、愛されているという確信。これがゆるぎない
ものであれば、何にもまして生きる喜びとなるはずでしょう。
そんな希望のフレーズですね。
 これはフランスの作家ユゴー(Victor Hugo/1802-85)
の言葉、その英語版です。

[trivia]
[A]
マリリン・モンローが歌った、I Wanna Be Loved By Youですが、彼女が出演した映画、Some Like It Hot(邦題
「お熱いのがお好き」/1959年)のサウンドトラック曲。
 さてこの映画の題名のフレーズ、
Some like it hot.は「なかには熱いのが好きな人もいる」ですが、
これは英語圏の童謡マザー・グース(Mother Goose)に登場
する一節。
 マザー・グース由来のフレーズは、映画や歌、新聞や
雑誌記事、テレビニュースのヘッドラインなどなどに、
多岐にわたって引用されますが、このSome like it hot.
も、そんな代表的な一例です。
 またパロディー化されることも多く、小型化する
音楽再生装置の流行について、Some like it small.
「小さなのが好きな人もいる」。あるいは、ある年の流
行色の赤について、Some like it red.「赤が好きな人もいる」。
こんな具合に様々なメディアにおける登場例を見聞しました。

[B]
パロディーといえば、ジョルジュ・サンドにはこんな
例がありました。同じフランスの哲学者デカルト(1596-
1650)の有名な言葉「我思う、ゆえに我在り」
(Je pense, donc je suis.) 。これをサンドは「我愛す、ゆえに
我在り」(J'aime, donc je suis.)。このように言い換えたとか。
いかにも愛に生きた女性ならではの表現です。
 英語で言えばデカルトのフレーズは~
I think, therefore I am.
 サンドのパロディーは~
I love, therefore I am.

 それでは、また次回にお会いしましょう。
With love,
  Makoto Sakashima

※Language Art


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