アナグラム感謝祭 no.195「続・結婚に関する名or迷文句」
アナグラムーチョ by Makoto Sakashima
(さか島まこと)です。
アナグラム感謝祭 no.195
結婚に関するフレーズ、その続編。
名文句なのか、はたまた迷文句なのか。
☆結婚生活と経済問題については、こんな
フレーズが。
Never marry for money, but marry
where money is.
「金のために結婚するな、しかし金のある
ところに結婚せよ」
一見微妙なニュアンスに思えますが、要は
「金目当ての結婚はよろしくないが、さりとて
金でひどく苦労するような結婚は、やめて
おいたほうが無難だ」という格言系フレーズ。
はなはだ合理的な考え方、ドライな精神
ですが、これまた真実なのでしょうか。
結婚生活において経済的な問題が占める比重。
これはやはり大きいでしょうから。
☆またまたかなり辛口のフレーズか?
It is commonly a weak man, who marries
for love.
「恋のために結婚するのは、一般的に弱い男だ」
恋のために結婚する、要するに恋愛結婚する
のは大体弱い男だとは、何やら穏やかじゃ
ないですね。
これは、英国の辞書編集者にして批評家だった
サミュエル・ジョンソン(Samuel Johnson
/1709-84)の言葉。
自由に恋愛をする風潮がまだまだ希薄な時代
だったのかもしれませんし、英国の例の階級社会
という複雑な事情を反映した言葉なのかもしれ
ません。
ただ一般論としても、情熱だけで、恋愛感情だ
けで結婚をするなというクールな教訓ともとれ
ますね。
その一方で現代でも、いわゆる逆玉の輿(こし)
現象も見られるわけですが、そんな打算的結婚を
勧めるフレーズの響きもなくはないですね。
そこまで行かずとも男女の出会いをセッティング
する、新たな形での見合い結婚の情報システムも
ある現代ですから、必ずしも恋愛結婚至上主義
ばかりが主流でもないわけですしね。
そう考えると大時代的な厳しい物言いのようで、
なかなか奥深いフレーズなのかもしれません。
☆結構シリアスなフレーズが続きましたが、今度は。
In married life three is company and two none.
「結婚生活では、三人ならうまく行くが二人では
だめ」
これはなかなか笑えそうなフレーズです。
ただ、英語の有名なことわざのパロディーを
含むので、その前提をチェックしておきましょう。
Two is company, three is none.
「二人なら仲間、三人はそうでない」。
要するに二人でならうまく行くところ、親密に
できるところに、お呼びでない三人目がお邪魔虫
としている、そんな局面を表現。
ところが上記フレーズでは、
three is company and two none.と数が
入れ替わっています。
「三人ならうまく行くが二人じゃだめ」。
それも「結婚生活では」とは?
お察しの通り、不倫が匂ってきますね。
愛人がいてこそ結婚生活も耐えられる、
何とか続けられる。
そんな、はなはだ勝手な理屈。ただ、
ことわざのパロディーでもあるし、上等な
ブラックユーモアとして笑えます。
ちなみにこれは、根強い人気の英国の作家、
オスカー・ワイルド(Oscar Wilde/1854-1900)の
言葉。彼が恋愛について記した皮肉たっぷりの
フレーズは数多くあるので、また登場の機会も
あるかもしれません。
☆男が女に抱く幻想めいたものがありますが....
If men knew how women pass the time
when they are alone, they'd never marry.
「女性が一人の時にどんな風に時間を過ごすのか、
もし男が知ったなら、けして結婚などしな
いだろう」
これまた問題発言系のフレーズで悪しからず。
内容的には、女性の皆さんから、
menとwomenを入れ替えてよ、こっちだってそう
思うわよと突っ込まれそうですね。
これはアメリカの短編作家、オー・ヘンリー
(O.Henry/1862-1910)の言葉です。
☆俗信らしいのですが、こんなフレーズも。
Marry in May, rue for aye.
「5月に結婚して、いつまでも後悔」
かなり古いことわざのようですが、
なかなか面白みもあります。
五月晴れとか風薫る五月とか、五月に対して
私たちは良い印象を持つ傾向にあると思いますが、
英語の暦の言い伝え(calendar lore)、言わば
俗信的に、5月に結婚すれば後悔が続く、
5月は結婚には不向きだというフレーズも
あるというわけです。
面白みとしては、Mayとayeが[ei]の音で韻を
踏んでいること。こんな風に、ちょうど良い
切れ目で韻を踏むことわざが多々あります。
極端に言えばラップしているような。
※rue「後悔する」。
for aye「いつまでも、永遠に」。
ということで、C U next time!