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アナグラム感謝祭 no.200「恋している、恋に落ちる系の名or迷文句」
アナグラムーチョ by Makoto Sakashima
(さか島まこと)です。
アナグラム感謝祭 no.200
恋愛に寄せた名文句なのか、はたまた迷文句なのか。
今回のお題、キーワードは、in love。
be in loveが「恋をしている」、
fall in loveが「恋に落ちる」。
これら恋愛に必須のフレーズを見て
いきましょう。
☆まずは肩慣らし。
I'm in love with you.
「私はあなたに恋をしている」
be in loveが「恋をしている」「愛情を持っている」
で、恋愛関連では必須のフレーズですね。後述の、
fall in love同様、ポップスなど歌の世界、あるいは
映画のセリフなどなど、耳にたこができるくらい聞く
フレーズ。
◎ be in love with ~とwith以下が付くことが多く、
これで具体的に「~に愛情を持っている」。例文のように
人間が登場すると「~にほれている、恋をしている」。
ただ例えば、I'm in love with music.「音楽が大好き
だ」のように、with以下は、つまり愛情を持つ対象は、
人間以外の事物でもOK。なかなか幅広い表現です。
☆昨今の私、これをつぶやいています。
I wish I were in love again.
「また恋をしたいものです」
やれやれ、もう恋をすることもないのかといった、
あきらめの気分が漂ってくる例文ですね。ま、そう言わずに
何度も恋をしたいものです。
☆恋に「落ち」ましょう。
I fell in love with him the moment I met him.
「彼と会ったとたんに、私は彼と恋に落ちた」
be in loveと来れば、fall in love「恋に落ちる」。
無論、より動作的な表現というわけです。こちらもまた
fall in love with ~と、with以下で具体的に「~に恋
に落ちる」「~にほれる」。人間以外にも使用可能。
例文は、要するに「一目ぼれ」の雰囲気ですが、これ
については、また後で触れます。
◎言わずもがなですが、fall-fell-fallenと変化。
◎the moment (that) ~は「~する瞬間に・とたんに」
で、接続詞的用法。
→末尾の#trivia(トリヴィア)もご覧ください。
☆いわゆる「熱愛」?
We fell head over heels in love with each other.
「私たちは、激しく恋に落ちた」
ちょっと凄(すご)みのある例文。こういうフレーズ
も、実生活でたまには口走ってみたいものです。
◎head over heelsが「まっさかさまに」「激しく、すっ
かり」。このイディオムを加えて、fall head over
heels in love (with ~)で「(~と)まっさかさまに・
(突然)激しく恋に落ちる」。あるいは、
be head over heels in love (with ~)で「(~と)
熱愛中である」。
☆恋に落ちてはいけないケースとは?
Don't fall in love with a tennis player.
To him love means nothing.
「テニス選手と恋に落ちるな。
彼にとって、ラヴの意味はゼロ」
どこで覚えたのか記憶がはっきりしませんが、
なかなか面白いジョークです。
To him love means nothing.が、いわば謎かけに
対するそのこころ。
「彼=テニスプレーヤーにとって、愛は何の意味も
ない」。なぜそうなるのかというと、テニス用語では、
loveは「零(れい)点」。つまり、nothing(nothing
自体が「零点」の意味も)。
確かにテニスの試合を観戦すると、まずサーブ権を持
つほうがポイントを取ると、fifteen love(15対0)。
審判がこのようにコールしますね。要するに特殊なテニ
ス用語にひっかけたわけです。
これは実に良くできたジョークですが、しごく単純に
Don't fall in love with ~で、いくつか気のきいたフ
レーズもできそうです。
Don't fall in love with a dreamer.「夢想家とは恋
に落ちるな」。なるほど、夢ばかり見ている人と恋愛す
ると、後々苦労しそうです。ちなみにこのフレーズは歌
のタイトル(ケニー・ロジャーズとキム・カーンズの
デュエット曲/1980年全米最高位4位)です。
Don't fall in love with love.「恋と恋に落ちるな」
なんてのもどうでしょう。 誰かに恋をしたつもりが、
単に恋に恋をしてしまったという勘違い。このパターン
は、古来よくある話か。
◎よりなぞなぞ的に改作するなら、初めの問いかけの
部分を~
Why shouldn't you fall in love with a tennis player?
「なぜテニスプレーヤーと恋に落ちるべきではないか?」
答えは同じく、To him love means nothing.
もちろん、becauseを文頭に置いてもいいですね。
ともあれ、ネイティブにも出してみたいなぞなぞ。
☆長尺の文、余計なお世話的響きか?
It takes a great deal of Christianity to wipe out
uncivilized Eastern instincts, such as falling in
love at first sight.
「文明化されていない東洋的な本能、例えば一目ぼれ
するような本能を一掃するには、多大なキリスト教
信仰が必要だ」
長尺の文で恐縮ですが、先ほど予告した「一目ぼれ」
関連のフレーズです。
東洋人は一目ぼれしやすいと言うのでしょうが、
まさに余計なお世話の内容に思えます。
文の内容はともかく、fall in love at first sight
「一目ぼれで恋に落ちる」という形が登場しています。
ちなみにこのフレーズは、英国の作家キップリング
(Rudyard Kipling /1865-1936)の言葉です。
◎a great(good) deal of「多くの」。
◎文中のtake「(時間や労力を)必要とする」に
ついて、マライア・キャリーの歌のタイトルに
好適フレーズがありました。
Love Takes Time(1990年全米1位)。
Love takes time.「恋愛には時間がかかる」という
わけです。
☆「一目ぼれ」といえば有名な言葉が
Who ever loved that loved not at first sight?
「一目ぼれしないで、恋をした人なんているのか?」
一目ぼれに関連してこのフレーズを挙げておきます。
上記の日本語訳を別の言い方をすれば「恋をする人は、
必ず一目ぼれするものだ」ともなりますね。ここまで断
言できるかどうかはともかく、確かにこれは恋だと言え
るような気持ちになった時は、あらかた一目ぼれに
近かったような個人的感想もあるのですが。あなたは
いかがですか?
ちなみにこれは、英国の詩人・劇作家であったマーロー
(Christopher Marlow/1564-93)の言葉です。
◎whoは反語的用法。
◎Who that loved not at first sight ever loved?が
本来の形。thatは関係代名詞で、疑問詞のWhotが先行詞。
that~sightまでが関係詞節。Who~sightの主語が長す
ぎるので後置したもの。などと難解で古風なフレーズ
かも。
#[trivia]
fall in love (with ~)について少々。
◎当然ながら、歌や映画に大活躍の恋のフレーズですが
歌のタイトルでは有名なところで~
Can't Help Falling In Love With Youが。あの
エルビス・プレスリーが歌った名曲。省略された主語の
Iを補ってセンテンス表記すると~
I can't help falling in love with you.「私はあなた
と恋に落ちずにはいられない」。
イディオム的な、can't help ~ing「~せざるをえない」
が組み合わされた学習的フレーズですね。
同じく古典的名曲として有名なのが~
I'll Never Fall In Love Again(ディオンヌ・ワーウ
イック他)。
I'll never fall in love again.「けして二度と恋には
落ちない」とのことです。
◎ミュージシャンの発言では、レゲエの神様ボブ・マー
レーが、Must love woman, but don't fall in love.と
言っていました。文頭のYouが省略されていますが、「女
性は愛さなければならないが、深い入りはするな」といっ
た主旨でしょう。
◎fall in love (with ~)と反意語的なのが、fall out
of love (with ~)「愛想が尽きる」。
それでは、またお会いしましょう。
※Language Art
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