アナグラム感謝祭 no.191「愛の名文句+MLB大谷さんコラム」
アナグラムーチョ by Makoto Sakashima
(さか島まこと)です。
アナグラム感謝祭 no.191
引き続き、愛の名文句、いや迷文句?
It is impossible to love and be wise.
「恋をしてなお賢明でいられるのは不可能だ」
英国の哲学者にして政治家、
フランシス・ベーコン(Francis Bacon
/1561-1626)の言葉です。
大哲学者も、恋することの
不可思議な愚かさについて
何か言わずにはいられなかった?
ちなみに、上記フレーズをあっさり
言い換えれば。例えば~
You cannot love and be wise.
One cannot love and be wise.
ということで、C U next time!
なんですが、大谷翔平選手の軌跡を
少々振り返りたくて不肖私の旧稿を下記に。
[2017年12月]
MLB
大リーグ野球
米大リーグ(MLB)のロサンゼルス・エンゼル
スへの移籍を決めた大谷翔平選手。彼についての報
道はMLBの公式サイトをはじめ異例の多さ。英語
面でも何かと興味深い表現に遭遇します。
移籍先の本命かと思いきや、大谷選手サイドが選
んだ最終候補7球団からも外れたニューヨーク・ヤ
ンキース。中には、よくも屈指の名門球団をそでに
したなと怒り心頭の向きも。例えば地元紙「ニュー
ヨーク・デイリーニュース」は彼を評して・・・。
What a chicken!(ウァット・ア・チキン)「何
という小心者だ!」。ここでの、chicken(ニワト
リ)は、映画のせりふなどによく出てくる比喩的用
法で「小心者、意気地なし」の意。
結局、名門ヤンキースを取り巻くファンとマスコ
ミは超辛口、大谷選手はその厳しい視線に恐れをな
したと皮肉ったようだ。変な言い掛かり?
一方でエンゼルスに移籍決定後のMLB公式サイ
トには大谷選手をもろ手を挙げて歓迎する記事が。
やはり焦点は、投手と打者の「二刀流」であること。
その「二刀流」の端的な表現例が・・・。
two-way(トゥー・ウェイ)「2方向の、2通り
に使える」。で、引き合いに出すのが伝説的なベー
ブ・ルース(1895~1948年/通算714本塁打、投手
として94勝)。彼以来の注目すべき「二刀流の選手」
(two-way player)だと期待を寄せる。
その大谷選手には未知数の部分はあろうとも、と
にかく今は彼が活躍する予感を楽しもう、彼が与え
てくれる「夢の世界にひたろうじゃないか」。など
と大きな夢を託すに値するとしている。
さらにエンゼルス球団の大いなる飛躍も待ち望ん
でいる。相乗効果よろしく大谷選手自身、そして例
えばチームのスター選手マイク・トラウト外野手に
とっても今後ますます「可能性は無限」。そこで用
いているのが次なる慣用表現です。
The sky is the limit.(ザ・スカイ・イズ・ザ
・リミット/空が限界)。要は、可能性は空へと突
き抜けんばかりで「どこまでも限界はない、天井知
らず」の意。ともあれ大谷選手に注がれるのは早く
も熱い熱いまなざしです。
(コラムニスト・さか島まこと)
[信濃毎日新聞夕刊 2017 12/19 初出]
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[2018年4月]
MLB
大リーグ野球
かつて米大リーグ(以下MLB)のシアトル・マ
リナーズで活躍した佐々木主浩元投手。当時の愛称
の一例が名前のKazuhiroの後半を、hero「ヒーロー」
に変えた、Kazu-hero(カズヒーロウ)。
今年はシカゴ・カブス所属のダルビッシュ有投手。
以前テキサス・レンジャーズ入団直後に難解な愛称
的表現が登場。euphoria(ユーフォーリァ/幸福感)
の初めのeu。これを彼の名前、有=Yuに変えて同じ
発音の、Yu-phoria。「有がもたらす幸福感」に皆
がひたれるはずと活躍を期待した。
こんな具合に日本からMLBに行った選手の名前
に引っかけた面白い表現に出合うことがある。メデ
ィアが紹介する例もあれば、球場のファンが手作り
のボード類に記す例などもあります。
そして今年からロサンゼルス・エンゼルス所属の
大谷翔平選手(Shohei Ohtaniが登録表記)。名前
の翔=Shoの部分を、show(ショウ/見せる、ショ
ー)に置き換えた表現を散見。主にMLB公式サイ
トの表記に準じて以下を紹介します。
さて有名な歌と映画の「ショーほど素敵な商売は
ない」。原題の直訳は「ショービジネスのようなビ
ジネスは(他に)ない」(文表記=There's no
business like show business.)。
文末の、show business「ショービジネス」を、
Sho business「翔(の)ビジネス」に変えていわく
「翔ビジネスのようなビジネスは他にない」。こん
な引用系の一文が昨秋既に登場。要は、彼は投打二
刀流の起用を認める球団と契約したいが、そんな契
約はビジネスとして実に異例だとした。
一方でエンゼルス入団後の活躍を思えば、比類な
き投打二刀流でのプレーこそ「翔ならではの仕事」、
Sho businessそのものに思える。
他に、show off(ショウ・オフ/見せびらかす、
誇示する)をふまえた、Sho off!を目撃。「翔よ、
見せつけろ!」といった意味合い。
そして、show time「ショータイム」にかけた、
Sho timeは日本でも度々報じられる。「またも翔タ
イム!」(Sho time again!)まで登場。活躍の度
に何回でも見聞したい表現ですね。
(コラムニスト・さか島まこと)
[信濃毎日新聞夕刊 2018 4/17 初出]