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秋を感じる時

    秋刀魚(サンマ)が安かった。
   となると、さすが秋!と思う。
   秋といえば『天才バカボン』のマンガの中にあった、今も忘れられない一句がある。

秋深し
煙草ふかして
芋ふかし

    煙草を吸うのを「一服(いっぷく)」とも言う。さつまいもをふかしておやつにし、休憩をとるのも「一服」する、である。ついでにいうと、茶道でお茶をいただくのも「一服」だ。そうすると、この句は単なるダジャレのように見えるが、実は非常に奥が深い。
 「夏が逝き、暑さも落ち着いて一息つける季節が来た。さあ、この秋を感じながら、お父さんは煙草をふかして一服するぞ。お母さんや子ども達はさつまいもでもふかして一服しなさい」
 みたいな風景さえも浮かんでくる。煙草は、健康を害する社会悪になる前は、いろいろな場面で吸われ、嗜好品として豊かな時間を演出するのにも使われたのである。
 もちろん、この句を作ったのは『天才バカボン』の産みの親、赤塚不二夫先生だ。その言語感覚のすばらしさ!さすが赤塚不二夫先生!頭が下がるばかりである。

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