エスパー・ミッドレンジ解説

 2月11日に横浜で開催されたジャパンスタンダードカップでエスパー・ミッドレンジを使用してトップ8に入りました。こんな時しかnoteを書く機会がないのでデッキの解説をしてみます。



1.デッキリストとカードの選択について



デッキ
2 放浪皇 (NEO) 42
3 英雄の公有地 (DMU) 252
3 ラフィーンの塔 (SNC) 254
1 難破船の湿地 (MID) 267
2 黙示録、シェオルドレッド (DMU) 107
2 かき消し (SNC) 49
2 復活したアーテイ (DMU) 199
3 敬虔な新米、デニック (MID) 217
4 策謀の予見者、ラフィーン (SNC) 213
3 喉首狙い (BRO) 102
3 金属海の沿岸 (ONE) 258
4 大洞窟のコウモリ (LCI) 102
1 天上都市、大田原 (NEO) 271
1 沼 (MKM) 282
3 砕かれた聖域 (VOW) 264
4 闇滑りの岸 (ONE) 250
4 コイロスの洞窟 (DMU) 244
1 地底の大河 (BRO) 267
3 忠義の徳目 (WOE) 38
3 ティシャーナの潮縛り (LCI) 81
2 切り崩し (DMU) 89
3 分派の説教者 (LCI) 113
1 苦々しい勝利 (LCI) 91
1 アダーカー荒原 (DMU) 243
1 不穏な投錨地 (LCI) 280

サイドボード
3 軽蔑的な一撃 (SNC) 39
2 切り崩し (DMU) 89
1 邪悪を打ち砕く (DMU) 17
1 アガサの魂の大釜 (WOE) 242
2 悪意ある覆い隠し (LCI) 111
2 強迫 (ONE) 92
2 ギックスの命令 (BRO) 97
1 第三の道のロラン (BRO) 12
1 ヴェールのリリアナ (DMU) 97


 こちらがジャパンスタンダードカップで使用したデッキリストです。エスパー・ミッドレンジはカードの選択肢が多く、メタゲームや好みによって構成を大きく変化させることができます。今回は『カルロフ邸殺人事件』リリース直後で環境の予測が難しかったため、アグロからランプまで幅広く戦える形を目指しました。
 カードの採用基準もそれに合わせたものとなっていて、例えば2マナ域では当初《フェアリーの黒幕》を1~2枚ほど入れていましたが、相手によって強弱が激しいと感じたため不採用としました。また、エスパー・ミッドレンジにおいて定番の《婚礼の発表》ですが、ボロス招集やドメイン・ランプのような速度の違うデッキに対してはそれほど強くないと思い、代わりにどのような相手にも仕事ができる《分派の説教者》を採用しています。
 さらに追加の3マナ域として《ティシャーナの潮縛り》を多めに取ることで、遅めのデッキにはクロック・パーミッションとして立ち回れるようにしました。《放浪皇》は環境的にはそれほど強くないと考えていますが、戦略と噛み合うことに加えて《分派の説教者》や《黙示録、シェオルドレッド》といった接死持ちクリーチャーと相性が良いため2枚にしています。
 土地については対アグロや後手における相手の2ターン目《大洞窟のコウモリ》への対処を意識して、1ターン目から黒マナが出る土地を10枚採用することで《切り崩し》を唱えやすくしました。
 サイドボードで特に活躍したのは《ギックスの命令》です。対ミッドレンジ以外にボロス招集やバント毒性にもサイドインできることが重要で、《悪意ある覆い隠し》と合わせて全体除去4枚体制で迎え撃つことができます。
 《悪意ある覆い隠し》の枠には一般的に《危難の道》や《一時的封鎖》が取られることが多いのですが、《敬虔な新米、デニック》が巻き込まれず、より有利な状況を作れる上振れを狙って採用しました。《先導者の号令》を2枚以上置かれた場合など裏目もありますが、最近のボロス招集は《門道急行の事件》が優先される傾向にあるためこのままでも良さそうです。追放効果によって《血滾りの福音者》や《這い回る合唱者》の死亡時誘発を防げることも重要です。
 《アガサの魂の大釜》は元々3枚目の《黙示録、シェオルドレッド》でしたが、各マッチにおけるインアウトを考えたときにシェオルドレッドを追加できる枠がほとんど無いことに気付きました。代わりに墓地対策かつカードパワーの高い大釜を採用することにしましたが、そもそも墓地を活用する相手以外にこれを入れるスペースなど無いので《未認可霊柩車》にするべきだったと思います。
 《ヴェールのリリアナ》はディミーア・ミッドレンジの使用者から勧められて入れてみましたが、今回の構成では手札を増やす手段が乏しいため+能力を起動したくない場面が多く微妙でした。



2.現在調整中のデッキリスト


デッキ
2 放浪皇 (NEO) 42
2 英雄の公有地 (DMU) 252
2 ラフィーンの塔 (SNC) 254
2 黙示録、シェオルドレッド (DMU) 107
3 かき消し (SNC) 49
1 復活したアーテイ (DMU) 199
3 敬虔な新米、デニック (MID) 217
4 策謀の予見者、ラフィーン (SNC) 213
3 喉首狙い (BRO) 102
3 金属海の沿岸 (ONE) 258
4 大洞窟のコウモリ (LCI) 102
1 天上都市、大田原 (NEO) 271
1 沼 (MKM) 282
4 砕かれた聖域 (VOW) 264
4 闇滑りの岸 (ONE) 250
4 コイロスの洞窟 (DMU) 244
2 地底の大河 (BRO) 267
3 忠義の徳目 (WOE) 38
2 ティシャーナの潮縛り (LCI) 81
2 切り崩し (DMU) 89
3 分派の説教者 (LCI) 113
1 苦々しい勝利 (LCI) 91
2 不穏な投錨地 (LCI) 280
1 謎めいた外套 (MKM) 50
1 島 (MKM) 280

サイドボード
3 軽蔑的な一撃 (SNC) 39
2 切り崩し (DMU) 89
2 強迫 (ONE) 92
2 邪悪を打ち砕く (DMU) 17
2 悪意ある覆い隠し (LCI) 111
2 ギックスの命令 (BRO) 97
1 第三の道のロラン (BRO) 12
1 窃取 (DMU) 102


 横浜でのトップ8入賞によって次回のチャンピオンズカップファイナルの出場権利を得ることができましたが、その後も調整は続けているので現在のデッキリストも載せておきます。
 メインにはエスパー・ミッドレンジとアゾリウス・コントロールを意識して《謎めいた外套》を入れました。アグロが多ければ《分派の説教者》の4枚目でも良さそうです。
 土地の構成を見直して《不穏な投錨地》の2枚目を積みましたが、2色土地の配分に偏りができたため色事故の確率は多少上がっています。
 サイドボードには追加のハンデスとして《窃取》が入っています。ドメイン・ランプには意外と《強迫》が外れることも多いため1枚ずつサイドインして、コントロール相手には3枚とも入れるようにしています。



3.サイドボードガイド

 各マッチにおけるサイドボードガイドです。こちらは現在調整中のデッキリストを基にしています。


ボロス招集
In
2 切り崩し
2 強迫
2 悪意ある覆い隠し
2 ギックスの命令
1 第三の道のロラン

Out
3 かき消し
2 放浪皇
2 ティシャーナの潮縛り
1 復活したアーティ
1 謎めいた外套

 追加の除去と、ボロス招集側のサイドボードに非クリーチャー呪文が多いため強迫を入れます。本来ならアグロ相手には《策謀の予見者、ラフィーン》は減らしますが、相手の生物が小さめで壁になりやすいことと《大洞窟のコウモリ》のサイズを上げたいため残しています。《先導者の号令》が入っていなかったり、《血滾りの福音者》が多い構成なら《ティシャーナの潮縛り》を残すことも考えます。《内なる空の管理人》だけで負けることもあるため単体除去は減らしません。
 バント毒性に対するサイドボードもほぼ同じですが、対ボロス招集と比べると《放浪皇》が強めなので残してもいいかもしれません。


ドメイン・ランプ
In
3 軽蔑的な一撃
2 邪悪を打ち砕く
1 窃取
1 強迫

Out
2 黙示録、シェオルドレッド
2 喉首狙い
2 切り崩し
1 敬虔な新米、デニック

 《魂の洞窟》を置かれると苦しくなりますが、《ティシャーナの潮縛り》とクリーチャーも落とせる《窃取》で対抗していきます。
 除去を減らし過ぎると《金属の徒党の種子鮫》がサイドインされたときに対処できなくなります。《邪悪を打ち砕く》は相手のほとんどのクリーチャーに触れて《力線の束縛》も割れるため便利です。


エスパー・ミッドレンジ
In
2 ギックスの命令
2 邪悪を打ち砕く

Out
2 ティシャーナの潮縛り
1 復活したアーティ
1 喉首狙い

 最初に書いたようにエスパー・ミッドレンジは構成の幅が広く、相手に応じて細かい調整が必要となるためサイドボードが最も難しいと感じています。上記の変更はあくまで基本として、ここから相手の構成を見ながら《切り崩し》《強迫》《第三の道のロラン》あたりを追加していきます。先手なら《強迫》を入れて相手のリアクションカードを先に落とし、後手なら《切り崩し》を追加して相手の攻めを捌きやすくしますが、《フェアリーの黒幕》を見たら先手でも《切り崩し》を増やしたり、相手が同系に対して厚めの構成なら長期戦を避けるため後手でも攻めることを意識します。
 追加でカードを抜く場合《かき消し》を減らしがちですが、相手も《分派の説教者》を入れているなら《敬虔な新米、デニック》を減らすことも考えています。自分の構成は一般的なものと比較してミッドレンジに強いカードが少ないので、ゲームの軸となり得る《策謀の予見者、ラフィーン》は後手でも減らしません。
 その他のミッドレンジに対するサイドボードは省略しますが、基本的に大きく入れ替えるようなことはしていません。特に対ラクドス・ミッドレンジは発見を止められるため《ティシャーナの潮縛り》も抜かず、《復活したアーティ》を《軽蔑的な一撃》に変える程度で済ますことも多いです。


アゾリウス・コントロール
In
3 軽蔑的な一撃
2 強迫
2 邪悪を打ち砕く
1 窃取

Out
3 喉首狙い
2 切り崩し
2 黙示録、シェオルドレッド
1 敬虔な新米、デニック

 対ドメイン・ランプとほぼ同じですが、手札破壊は3枚とも入れます。こちらでも《金属の徒党の種子鮫》などが追加される可能性があるため除去は減らし過ぎないようにしています。相手の構成によっては除去を《喉首狙い》のままにしたり、《第三の道のロラン》を入れることもあります。




4.最後に

 繰り返しになりますがエスパー・ミッドレンジはデッキの幅が広く、メタゲームによって構成は変わり、構成によってサイドボードの入れ替え方も変わっていくものだと考えています。今回紹介した内容が少しでも参考になれたのなら幸いです。



































5.しょーもない話

 ジャパンスタンダードカップではスイスラウンドを8-0-2で通過してトップ8へと進出したわけですが、肝心のシングルエリミネーション1回戦目は1本目を取ったところまでは良かったものの、集中力が切れたのか2本目で手札にファストランドを大量に抱えているのに別の土地から置き始めたあたりから怪しくなり、3本目には自分が置いているはずの《不穏な投錨地》に気付かず数ターンの間《大洞窟のコウモリ》1匹で相手の《漆月魁渡》と戯れていた結果惨死。自分の場にある《不穏な投錨地》に気付いた瞬間、文字通りひっくり返りそうになりました。
 全員の条件が同じである以上、長丁場であることは理由にできません。むしろスイスラウンドでのIDが1回多かったため自分は有利だったはずです。トップ8に残って終わりではなく、そこからさらに勝てるようコンディションの整え方にも気を付けていきたいと思います。ビデオカバレージじゃなくて良かった。


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